監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)
クリストフ・ヴァルツ(ブロフェルド)
レア・セドゥ(マドレーヌ・スワン)
レイフ・ファインズ(M)
ベン・ウィショー(Q)
ナオミ・ハリス(マネーペニー)
アンドリュー・スコット(C)
モニカ・ベルッチ(ルチア・スキアラ)
イェスパー・クリステンセン(Mr.ホワイト)
デイヴ・バウティスタ(Mr.ヒンクス)
(感想)
クレイグボンドになってから、シリーズが「リブート&エピソード0からスタート」みたいな形になって、完全に仕切り直しになったわけですが、前作で、いわゆる「ボンドの過去」が全て語り終わって、今回からいよいよ本格的にボンド映画としてのシリーズが復活する、という所まで来たわけです。
と言う事は、これまで鳴りを潜めていた「超兵器搭載ボンドカー」とか「スーパースパイグッズ」とかも出てくるんだろうなと思っていたんですけど、これが以外とそんな事はなく、これまでのクレイグボンドとだいたい同じような雰囲気なんですよね。ボンドカーもせいぜい尻から火が出る程度でしたし、スパイグッズも「時間が分かる腕時計(アラームがちょっとデカい)」が出て来ただけでした。
まあ、何しろ監督が前作と同じサム・メンデスですからね。明らかにアクション派の人じゃないんで、この辺に期待してた方が間違ってたってな話ですよ。
ただ、これまでのボンド映画っぽさが無いのはまあいいんですけど、やっぱり2作続けてアクションがメインじゃないのに来られるとちょっとツラい所はありますね。個々のアクションシーンは悪くはないんですけど、同時代の他のスパイ映画(『ミッション・インポッシブル』シリーズや『ボーン~』シリーズ等)と比べると普通過ぎでしたし、一つのアクションシーンが無駄に長くてテンポが悪く感じられたのも残念な点でした。
アクションよりもドラマ面を重視した、という事なんだと思いますけど、今作のドラマ的な見どころってどの辺りだったんでしょうかね。新しい恋人候補とのロマンス?因縁の宿敵との決着?このどちらにもそれほどの面白さが見出せなかったんで参ってしまいました。
多分、過去のシリーズでも出てきた因縁の敵であるブロフェルドとの対決が一番の目玉だったと思うんですけど、もの凄いデカい組織が相手のはずなのに、敵の親玉とボンドに昔の因縁があった為に、「対組織」ではなく、個人的な対決で割と簡単に決着が付いてしまったんですけど、これで良かったんでしょうかね。タイトルは『スペクター』なのに、このスペクターという組織自体とはほとんど絡み無く終わってしまいましたし。
そして、ボスのブロフェルド自体も、パッと見強そうに見えないんですよね。悪の大ボスというより、気のいいおじさんに見えてしょうがなかったです。最後も特に根性を見せるわけでもなくあっさり御用になってしまいましたしね。本当に強敵なのかこの人は。悪役集会で出てきた時は「いかにも悪の大物!」という感じだったんですけど、あの時は顔が陰になっててよく見えなかったのが良かったんでしょうかね。
と言う訳で、ちょっと不満点が多かったんですが、オープニングは歌も映像もシリーズ中でもベスト級に良かったんで、ここに引っ張られて、「トータルではいい映画だった」と思えなくもなかったです。それぐらいいいオープニングでした。ブロフェルドも、このオープニングみたいなタコ怪人として本編でも出てきた方が良かったんじゃないかと思うぐらいです(いや、007でそれやったらマズいか)。
ただ、このサム・メンデスの気取ったノリの映画が2作続いてたんじゃなければ、この内容でももうちょっと満足出来た気がするんですよね。こういうのは最低でも一作置きぐらいにして欲しかったです。