監督:ロジャー・スポティスウッド
音楽:デビッド・アーノルド
出演:ピアース・ブロスナン(ジェームズ・ボンド)
ジョナサン・プライス(エリオット・カーバー)
ミシェル・ヨー(ウェイ・リン)
テリス・ハッチャー(パリス・カーバー)
リッキー・ジェイ(ヘンリー・グプタ)
ゲッツ・オットー(スタンパー)
ジョン・ドン・ベイカー(ジャック・ウェイド)
ビンセント・スキャベリ(ドクター・カウフマン)
ジュディ・デンチ(M)
サマンサ・ボンド(マネーペニー)
(感想)
何を隠そう、この映画が私の中での「ベスト1、ボンド映画」です(元々隠すつもりも無いですけど・笑)。
『007』シリーズの中には何作か「アクションメイン」的な作りのものがあるんですが、この『トゥモロー・ネバー・ダイ』もまさにアクションメインという内容で、何しろ、ボンドガールが「ロマンスよりカンフー」のミシェル・ヨーですからね(本国でロマンス映画の実績があったら申し訳ない)。
そして、この映画が、私が初めて映画館で見たボンド映画だというのも、この映画が好きな理由の一つかもしれないですね。もちろん、内容が私好みだったという事もあったんですけど、最初に見た時はかなり衝撃的でしたからね。「『007』というのは、なんて面白い映画だったんだ!」と。
それに、今思うと、結構「ボンド初心者に最適」とも言えるような内容なんですよね。
他のアクションヒーローと比べてボンドの何が面白いかって、スーツでアクションする所ですよ。いや、他にも色々理由はあると思いますけど、私はコレを一番に推したいです。で、この映画、前半は(オープニングのドンパチシーンを除いて)ほぼスーツ姿でのアクションシーンなんですよね。
ボンドが、スーツを着た、ただの女たらしではなく、戦闘能力も身体能力も高いんだという事を示すシーンも所々に出てきますし、危機を切り抜けた後にはキメ台詞的なジョークを言う余裕を見せたりもします。もう、見てて頼もしいったらないですね。この武闘派ダンディズムな所には、もう見ててメロメロですよ。
また、潜入等をする時も、秘密兵器のスパイグッズを駆使するという、「道具を使って危機を切り抜ける」という点とか、凄い装備の施された“ボンドカー”によるアクションシーンとか、シリーズならではの要素もしっかりと、そして印象的に出てきました。
音楽も、お馴染みのテーマ曲を他のシリーズにも増して頻繁に使っていましたね。この曲が流れる度に「今、『007』を見てるんだな」という気にさせてもらえて、シリーズの世界観にどんどん引き込まれていくかのようでした。
あと、ボンドガールも「ボンドと寝た後に殺される脇役の方」と「中盤以降一緒に行動を共にするメインの方」の二人が出てくる所とか、敵側にも「悪い事を企んでいる、頭脳派の黒幕」と「その部下の武闘派」の2種類がいる所とか、後に他のシリーズを見た時にもちょくちょく見かけた要素がほとんど入ってるんです。
そういう、シリーズのお約束的な面を盛り込みつつ、一本のスパイ・アクション映画として抜群に面白いという内容から、もうこの映画で完全にボンドのファンになってしまいましたね。逆に、これ以降に見る全てのシリーズに物足りなさを感じてしまうという弊害も出てしまったんですが・・・(笑)。
この映画の面白い所は、そのまま「『007』の面白い所」と繋がっているわけですが(私にとっての、ですけど)、それ以外にも、敵の陰謀を早く突き止めないと、第3次世界大戦が始まりかねないというように、ストーリーにタイムリミットが設定されているおかげで、話の展開のテンポがいいというのもあると思います。ついでに、緊迫感も高まりますしね。敵が“メディア王”という、ただの金持ちみたいな奴なのに、こんなにもスケールのデカい話になっているのも面白いです。
その、敵のメディア王を演じたジョナサン・プライスの怪演も非常に見応えがありました。やっぱり、アクション映画は敵役がしっかりしてるとグッと締まりますね。