監督:イヴ・シモノー
出演:マイケル・マドセン(フランク)
マリオ・ヴァン・ピープルズ(ヘンリー・ジョーンズ)
ロン・リビングストン(ドニー・アンダーソン)
レイ・ベイカー(ハリス)
ダグラス・スペイン(ボビー・マルティネス)
アンドリュー・ブリニアースキー(ラリー)
オレッグ・タクタロフ(エミル)
クレア・ケアリー(フランクの妻)
アレックス・メネセス(ゴメス)
ジュリアン・ドゥルス・ヴィダ(ルイス・リビエラ)
(感想)
タイトルの『44ミニッツ』というのは、『15ミニッツ』のバッタ物という意味ではなく、この映画で描かれる銃撃戦の時間を表したものです。なんと、この事件、実際に起こったものらしいんですよね。さすが銃大国アメリカです(実際の事件での銃撃戦が本当に44分間だったのかは不明ですが・笑)。
とにかく、この44分間の銃撃戦の迫力は凄かったですね。何よりも、44分間も50人の警官隊の一斉射撃に耐えた犯人側の防御力と、44分間撃ち続けられるほどの弾薬を犯人側が持っていたという点に驚きです。
犯人が使用していた武器はAK47ライフルなるものです。私は銃器にはとんと疎いんで、これがどんなに凄い武器なのかは知りませんが、パトカーを破壊するほどの攻撃力と、遠くで見物してる住民に怪我を負わせるほどの射程を持つ、エラい兵器らしいです。
対する警官隊達は、武器はいわゆるハンドガンです。『バイオハザード』では、ゾンビ一体倒すのに何発も弾が必要になる武器ですね。もう、攻撃力の差は歴然です。人数は警官隊の方が多いですが、相手の武器は連射可能なので、もう完全に押され気味です。しかも、装備が「単なる警官の制服」という事で防御力も限りなく低いです。もう、次から次に負傷しまくりで、ついにはマリオ・ヴァン・ピープルズまでも負傷してしまいます。一応、現場にはマイケル・マドセンがいて地味に活躍はしてるんですが、この状況を好転させるほどの役には立ってませんでした。
これはもう、マーチン・リッグスかジョン・マクレーン、マリオン・コブレッティ辺りを連れてこない限りどうにもならないような状況です。ですが、残念ながらこの人達は実在の人物ではありません。
しかし!アクションヒーローはいませんが、ロスにはSWATがいるんです!
と言う訳で、最終的にはこの人達が片を付ける事となるんですが、現場から遠くにいた為に、到着が遅れに遅れます。しかも、途中で渋滞にハマったりもします。「遅れて到着する」という劇的な登場の仕方をかましてくるとは、さすがヒーローチームSWATです。ちなみに、登場時に例のテーマは鳴りません(残念)。
さて。この映画は普通のアクション映画と違い、「事件の再現映像を盛り込んだテレビ番組」みたいな演出で作られています。時折、事件に関わった人達(警官やら人質の一人やら)のインタビュー映像が挿入されるんです。ちなみに、本物の再現ドラマではないので、実際に事件に関わった人が現れるわけではありません。
いわゆる、“ドキュメンタリー・タッチ”という雰囲気で、これがなかなか臨場感を出していましたね。製作費の低いテレビ映画ですが、この演出のおかげか、銃撃戦シーンにかなりの迫力が感じられました。
この事件の起こった時期、ロドニー・キング牧師の事件等で、ロス市警の評判はあまりよくなかったようなんですが、何やら、この事件で一気に評判を上げたようなんですよね。あの戦場のような大銃撃戦の最中、一人も逃げ出した警官がいなかったという勇気と、最終的に市民の犠牲が一人も出なかったという事で、一転して英雄扱いされる事となったようです。ラストは「ロス市警万歳!」みたいな映像がふんだんに出てきてエンドクレジットに突入する事となります。でも、この銃撃戦に悪徳警官が参加してた可能性は無いんだろうか、というのがちょっと気になったりならなかったり(笑)。