監督:ジェシー・ジョンソン
出演:マーク・ダカスコス(ライカー)
エマ・ラハナ(ジュリー)
アメリア・クック(アイシス)
ビリー・ゼイン(サイロン司令官/トム・ハンソン)
キム・コーツ(ロデリック)
ドミニク・バンデンバーグ(サルテック)
(感想)
↑は、かなり端折ったストーリーですが(笑)、まあ、所謂、定番ネタなストーリーの映画ですよ(主にB級映画界で)。でも、やっぱり面白いお話なんですよね、こういうのって。だからこそ定番ネタになってるわけですからね。
で、今回の宇宙人同士のイザコザに巻き込まれる人間は、田舎町に生まれ、外の世界に飛び出したくてしょうがないという状況の若い女です。結局、外の世界どころか、宇宙規模の話に巻き込まれる事になるんですけどね。それも、“巻き込まれる”と言うより、自ら飛び込んできてるみたいな関わり方ですよ。冒険したい願望が強いせいなのか、かなり積極的にストーリーに絡んでこようとしていて、これがむしろ、ストーリー展開に力強さを与えているかのような印象を持ったものでした。
映画によっては、主人公が話を進めるのに消極的だったりするケースもあったりしますからね。そりゃ、色々悩みもあるんでしょうけど、映画なんだから、もっとパーッと行けばいいじゃないかと思うわけですよ。
もちろん、この積極的ヒロインの言動等を見て、「そんな大それた話を簡単に信じるのか?」とか「ついさっきまで身内を殺されて沈んでいたはずなのに」というような、人物造形とか性格設定に関して疑問を持つような瞬間もあったりしましたけど、基本的に、こういう細かい所は見てて気にならないようになってるんです。何故なら、この映画自体が、全体的に、細かい所にあんまり手が行き届いてない、大雑把な作りになってるからです(笑)。
正直、ストーリーもあまり練られてるとは思えないですし、かなり雑に感じられる所が見受けられたものでしたけど、代わりに、見てて気持ちいいような豪快さというのもありまして、中盤頃にはもうすっかり「これは楽しい映画だ」という気分になっていました。
主人公の良い異星人を演じてるのがマーク・ダカスコスで、そうなると当然、アクション面に期待をしてしまうわけです。しかも、特殊な銃弾で頭を撃たれない限り死なないという設定なので、ターミネーターばりの無敵さを持っているキャラクターなんです。
でも、実はこの映画、ことアクション面に関しては、ほとんど爽快さが無い、むしろ見ててイライラしてくるようなものになってるんですよね。
ダカスコスの格闘アクションは定期的に出てきますし、動きも見せ方も悪いものではありません。ですが、先ほど、「無敵」と書きましたけど、実は、撃たれても死にはしない代わりに、弱るんですよね。撃たれるだけでなく、打撃攻撃だろうが何だろうが、とにかく、ダメージを多く受けると弱って、動きが極端に鈍くなるんです。
死にはしないですし、休めば復活するんですけど、敵との戦いの場面の、肝心な所で銃撃されて弱って戦えなくなったりとかするんですよ。特に、中盤以降はほぼ弱りっぱなしでしたからね。ザコ戦ではあんなに強かったのに、ちょっと強い敵が出るとあっと言う間にフラフラになるというのは、ちょっと、どうにか出来なかったのかと思ってしまいますねぇ。「さっきザコ戦で見せていた見事な格闘アクションを、何で中ボス戦で出来ないのか」と思ってしまいます。
それに、この良い宇宙人というのは、ヒロインの若い女に惚れられるという役どころでもあるんですけど、ちょっと、歳が離れてるのが気になってしまいましたね。もっと若々しくて、ある程度顔の整ってある程度マッチョな人が主役の方が良かったんじゃないだろうか。
でも、ダカスコスの、どこか非人間的な印象を感じさせる演技も中々良かったですし、「中年が若い女に惚れられる」というのも、夢があっていいという意見もありますしね(誰の意見だ・笑)。
夢があると言えば、外の世界に出たがっていたヒロインが、よりにもよって宇宙人と出会うというのも夢のある話ですからねぇ。しかも、そういう展開を見ても、素直に「夢があっていい」と思わせるパワーに満ちたストーリー運びですし。
所々に不満は出てしまったものの、全体としては、十分満足出来る、いい映画だったんじゃないでしょうか。
あ、そうそう。敵の悪い異星人の親玉を演じているのが何故かビリー・ゼインなんですが、最初にビリーが登場した時は、町のダイナーのウエイトレスにちょっかいを出す、単なるアホとして出てきたんですよね。あまりにアホ過ぎて、しばらくの間、このアホを演じてるのがビリーだって事に気付きませんでしたよ。
で、後に悪い異星人に体を乗っ取られる事になるんですけど、その乗っ取られた瞬間から、「どう見てもただのアホ」だったのが、一気に「敵異星人の司令官」と言われても違和感の無い威厳を出し始めるんですよね。「さすがだなぁ〜」とか思ったものでした。
残念ながら、出番はほとんど無くって、定評のある悪役演技を堪能する暇も無かったんですけどね。ゲスト出演みたいな感じで。でも、上記のような見せ場があったんで良かったです。