アローン・イン・ザ・ダーク
<ALONE IN THE DARK>
05年 アメリカ・カナダ・ドイツ合作 98分

監督・製作総指揮:ウーヴェ・ボル
出演:クリスチャン・スレーター(エドワード・カーンビー)
   タラ・リード(アリーン・セドラック)
   スティーブン・ドーフ(リチャード・バーク司令官)

(あらすじ)
数年前。悪い奴が孤児院から20人の子供を誘拐して、何かの実験を施してみたが、その内の一人が逃亡して感電した。だが、現在、その子供は立派なクリスチャン・スレーターに成長していたのだった。当時の誘拐の記憶が全く無くなっているのを不審に思い、超常現象の調査員となって謎を探っているのだ。
一方、孤児の誘拐を仕組んだ悪い奴は、今度は海底から金の箱を引き上げる作業をしていた。だが、欲に目が眩んだ船員達が勝手に箱を開けてしまい、よくない事が起こってしまう。昔、誘拐された孤児たちが、今まで普通の暮らしをしていたのに、急にマインドコントロールされたかのようにどこかへ飛び出して行ってしまったのだ。そんな中、一人、ちょっと気を失っただけで済んだ男がいた。それはもちろん、クリスチャン・スレーターだった。誘拐時に逃げだし、変な所に隠れたせいで感電した為に、体に埋め込まれていた謎の組織が破壊されていたからだった。
そしてスレーターは、チリで見つけた謎の遺物を、女友達である学者の元に持ち込んで調べてみようとするが、謎の怪物の襲撃を受けてしまう。だが、そこに特殊部隊が現れて戦闘をおっ始めるのだった。その特殊部隊は、かつてスレーターが所属していた“アーカム713部隊”だった。スレーターはなんだかんだで、713部隊と謎の怪物の戦いに巻き込まれ、隊長と共に地下世界に遠征するハメになる。だが、そこでスレーターは自身の過去にまつわる大変なものを見つけるのだった!

(感想)
『ハウス・オブ・ザ・デッド』に続いてウーヴェ・ボルが放つ、ジャンル映画ファンに対する嫌がらせ第2弾です。日本での劇場公開順では、次の『ブラッドレイン』の方が先だったので、第3弾と呼んでもいいでしょう。
それにしても、なんなんでしょうね、この人は。内容といい、キャスティングといい、この手の映画ファンの興味を思いっきりかきたてるような映画を製作してくれるのはいいんですが、その中身が悪い意味でB級なので困ってしまいますね。これが、元々未公開&ノースターのB級アクションホラーとして作られているんなら、この程度の出来でも満足出来るんですが、そこそこの予算をかけて、名のある俳優陣を集めて、何でこの程度のものしか作れないのか、もう意味が分からないです。
とは言え、私ももう、この人の映画を見るのはこれで3本目なので、最初から期待値をうんと下げて臨んでいましたよ。面白い映画になってるわけがないと。でも、それでも見たらガッカリするんですから凄い。
『ハウス・オブ・ザ・デッド』の時は、まだバカゾンビ映画として成立してたから良かったんですが、こちらは単なる出来の悪いアクションホラーでしかなかったですね。と言うのも、どうもボル本人も前回演出をハジけ過ぎたのを反省したのか、全体的に割と落ち着いた演出になってるんですよね。アホみたいに突っ走らずに、抑制を利かせて、ストーリーを語る所はちゃんと語り、ハメを外す所は外そうと。そういう意図が垣間見られるような気がする演出になってるんですが、まあ、そんな器用なことが出来る技術がこの男にあるわけもなく(爆)。面白そうなのに見てて興味が湧いてこないストーリーに、ヌルいアクション。時々出るクールを気取って失敗したかのようなダサい演出等などが混ぜ合わさった、「何だ、これ?」みたいな出来になってるわけですよ。
きっと、コイツが「映画を面白くしよう」と思ってやることは全部裏目に出るんでしょうねぇ。ある意味、凄い才能ですよ。でも、次の『ブラッドレイン』はここまで酷くなかったんで、多少は腕が上がってるのかもしれません。ただ、「次に期待!」よりも、「引退してくれ」という思いの方が圧倒的に強いですけどね。
とりあえず、「どれだけ酷いんだろう」という興味には応えてくれましたし、そんな中で孤軍奮闘するクリスチャン・スレーターの勇姿には感動したしと、個人的には、見て損は無かったですね(ただ、「映画館に見に行かなくて良かった・・・!」、とは思いますが・笑)。
だいたい、映画ファンがこの人の映画をわざわざ見ようとするのは、見終わった後に文句が言いたいからだと思うんですよ。そういう意味では、「期待通りに楽しめた映画」なんですよね、きっと。