監督・製作総指揮:ウーヴェ・ボル
出演:クリスチャン・スレーター(エドワード・カーンビー)
タラ・リード(アリーン・セドラック)
スティーブン・ドーフ(リチャード・バーク司令官)
(感想)
『ハウス・オブ・ザ・デッド』に続いてウーヴェ・ボルが放つ、ジャンル映画ファンに対する嫌がらせ第2弾です。日本での劇場公開順では、次の『ブラッドレイン』の方が先だったので、第3弾と呼んでもいいでしょう。
それにしても、なんなんでしょうね、この人は。内容といい、キャスティングといい、この手の映画ファンの興味を思いっきりかきたてるような映画を製作してくれるのはいいんですが、その中身が悪い意味でB級なので困ってしまいますね。これが、元々未公開&ノースターのB級アクションホラーとして作られているんなら、この程度の出来でも満足出来るんですが、そこそこの予算をかけて、名のある俳優陣を集めて、何でこの程度のものしか作れないのか、もう意味が分からないです。
とは言え、私ももう、この人の映画を見るのはこれで3本目なので、最初から期待値をうんと下げて臨んでいましたよ。面白い映画になってるわけがないと。でも、それでも見たらガッカリするんですから凄い。
『ハウス・オブ・ザ・デッド』の時は、まだバカゾンビ映画として成立してたから良かったんですが、こちらは単なる出来の悪いアクションホラーでしかなかったですね。と言うのも、どうもボル本人も前回演出をハジけ過ぎたのを反省したのか、全体的に割と落ち着いた演出になってるんですよね。アホみたいに突っ走らずに、抑制を利かせて、ストーリーを語る所はちゃんと語り、ハメを外す所は外そうと。そういう意図が垣間見られるような気がする演出になってるんですが、まあ、そんな器用なことが出来る技術がこの男にあるわけもなく(爆)。面白そうなのに見てて興味が湧いてこないストーリーに、ヌルいアクション。時々出るクールを気取って失敗したかのようなダサい演出等などが混ぜ合わさった、「何だ、これ?」みたいな出来になってるわけですよ。
きっと、コイツが「映画を面白くしよう」と思ってやることは全部裏目に出るんでしょうねぇ。ある意味、凄い才能ですよ。でも、次の『ブラッドレイン』はここまで酷くなかったんで、多少は腕が上がってるのかもしれません。ただ、「次に期待!」よりも、「引退してくれ」という思いの方が圧倒的に強いですけどね。
とりあえず、「どれだけ酷いんだろう」という興味には応えてくれましたし、そんな中で孤軍奮闘するクリスチャン・スレーターの勇姿には感動したしと、個人的には、見て損は無かったですね(ただ、「映画館に見に行かなくて良かった・・・!」、とは思いますが・笑)。
だいたい、映画ファンがこの人の映画をわざわざ見ようとするのは、見終わった後に文句が言いたいからだと思うんですよ。そういう意味では、「期待通りに楽しめた映画」なんですよね、きっと。