監督:バディ・ヴァン・ホーン
出演:クリント・イーストウッド(ファイロ・ベドー)
ソンドラ・ロック(リン)
ジェフリー・ルイス(オービル・ボッグス)
ウィリアム・スミス(ジャック・ウィルソン)
ハリー・ガーディノ(ジェームス・ビークマン)
ルース・ゴードン(セノビア・ボッグス)
マイケル・キャバノー(パトリック・スカーフ)
(感想)
「ダーティファイター」の第2弾ですが、邦題が「ダーティファイター2」じゃないというのは意外というか、当時としてはかなり珍しいタイトルですね。
相棒のクライドはもちろん、弟のオービル、嫌味ったらしいママ、ブラック・ウィドーの面々も前作に引き続き登場。しかも、前作であんな別れ方をしたリンまでも再登場。これは、『ハムナプトラ2』で、前作で死んだはずのイムホテップが再登場する事を知った時と同様の驚きがありました。
そのリンのキャラクターは今回すっかり一新され、前作のイヤな女から一転して、すっかりいい女になってました。どんな心境の変化があったんだろう。
登場キャラも同じなら、映画の雰囲気も前作とよく似た感じになっています。個人的には、どっちかと言うと前作の方が面白かったですけどね。
ただ、ラストのジャック・ウィルソンとの戦いは凄かったですね。舞台を次々変えながら、延々と殴り合いが続きます。それでいて、この二人の戦いにはとっても清々しいものを感じるんですよね。何故かと言うと、この戦いに至るまでに、ファイロとウィルソンが親友のような関係になっているからです。お互い、地域ナンバー1のファイターという事で、尊敬のようなものがあるような感じです。
なので、格闘映画のラスボスとの戦いと比べると、全然違った面白さがありますね。戦いの途中で、二人で缶ビールを飲み交わして休憩するなんて、まさにこの映画ならではなシーンでしょう。
そして、このシリーズの一番の特徴と言っても過言では無い、ファイロの相棒、オランウータンのクライドも、相変わらず笑わせてくれました。今回は一瞬で車を解体するという、凄い特技を見せてくれました。
それにしても、このオランウータンは演技が巧いですねぇ。『コンゴ』のアニマトロニクス・ゴリラよりも巧いかもしれません(笑)。そう言えば『ベイブ都会へ行く』にも、いい味を出してるオランウータンが出てました。
コメディ・リリーフとして、登場しては笑いをとっていく暴走族軍団ブラック・ウィドーの面々は、相変わらず愉快ではあるんですが、新鮮味が無くなったせいか、前作ほどのパワーを感じなかったですね。ただ、終盤ではシリーズ初となる活躍シーンが用意されてました。
この映画、ジャンル的にはコメディに属すると思うんですが、主役を演じるイーストウッドは全然コメディ演技をしてないところが凄いですね。まったく、いつも通りの自然体演技です(笑)。笑いをとるのはクライドやブラック・ウィドーに任せて、自分は自分の仕事をキッチリとやる、という感じなんでしょうか。
一ヶ所、夜のモーテルのシーンで、クライドの真似をして“天井からぶら下がる”という滑稽な姿を演じたシーンがあったんですが、そのシーンだけ妙に異質な感じがしたものです。
ただ、このモーテルのシーン自体、映画中もっとも笑える箇所でもあり、シーン全体的に何か妙なテンションが満ちてましたけどね(笑)。