監督・原案・脚本:ロバート・クローズ
製作総指揮:レイモンド・チョウ
音楽:ラロ・シフリン
出演:ジャッキー・チェン(ジェリー・クワン)
ホセ・ファーラー(ドメニチ)
クリスティーン・デベル(ナンシー)
マコ(ハーバート)
ロン・マックス(レゲッティ)
デビッド・シェイナー(モーガン)
H・B・ハガーティ(キッス)
(感想)
この映画がジャッキーのアメリカ進出第一弾だと聞いていたんですが、舞台がアメリカというだけで、中身は香港製カンフー映画とほとんど変わらないような内容でしたね。『ラッシュアワー』とか『プロテクター』とかに比べたら、アメリカ映画らしさがほとんど無いような感じです。
ジャッキーにとっては苦い経験となった映画らしいですが、その辺の「アメリカ映画っぽくない」点がまずかったんじゃないんだろうか、と思ってしまいます。
そんな、あんまり良く無い背景のある映画ですが、なかなか面白いアクション映画じゃないですか。
とにかく、全編を通してジャッキーがよく動きます。止まると死ぬのかと思うぐらいにちょこまかちょこまかと動いて動いて動き回ってくれます。当然、一番動きが激しいのがカンフーシーンなんですが、そこでの動きも、「パンチとキックにはこんなにもバリエーションがあるのか」と感心するぐらいに、いろんな動きの攻撃を見せてくれます。
そのほとんどの攻撃が、“リアリティ”というようなものの無い攻撃で、見栄えはするものの、当たっても痛く無さそうな攻撃が主です。
でもこの映画は、格闘大会が出てくるアクション映画だとはいえ、ヴァン・ダムの『クエスト』みたいな“格闘映画”とはちょっと違うんですよね。明らかに格闘映画の体裁をとっいるものの、格闘シーンで繰り広げられるのは、むしろ“ショー”といった方が相応しいようなものです。
「見てて燃える」というより「見てて楽しい」といった類いのものですね。攻撃がヒットした時の効果音もやたらと派手で、とても人を殴った時の音とは思えないような謎の音が鳴り響きます(笑)。でも、それもこの映画のカラーにはピッタリ合ってましたね。
また、序盤の方には、何故かローラースケートでリレーをするという、謎の競技をやるシーンが出て来るんですが、ここでもジャッキーはとにかくよく動いてました。
1チーム3人で、決められたコースを一周回って、バトンを次の人に渡して行くというルールですが、途中に障害物があったり、相手の邪魔をしたり、観客が邪魔をしてきたりと、色々な障害があったりするレースです。
で、ジャッキーはアンカーとして最後に登場するんですが、この、前の二人のレースを見せてからジャッキーが登場というのは、いい演出ですね。前の二人が見事にジャッキーの引き立て役になってるんです。そして、満を持して登場のジャッキーが、前の二人が苦労していた障害をあっさりくぐり抜けていくんです。いやぁ、ジャッキーはやっぱり凄いなぁ。
この映画、ほとんどがアクションシーンで占められていて、アクションのないシーンでは、この映画に脚本家が存在してるかどうかも怪しいぐらいに超適当の、まさに箸にも棒にも引っ掛からないようなストーリーが展開します。例えるなら、スタッフの中で一番字のうまい人(物書きの才能のある人ではない・笑)が一日で書いたと言われても全然疑問じゃないような、そんなストーリーです。
まあ、メインはジャッキーのアクションを見せるという所にあるんで、はっきり言って、ストーリーなんてどうでもいいですけどね。それに、「もしストーリーが面白かったら、もっといい映画になったのでは」なんて思う余地のほとんど無いような映画なので、ストーリーの適当さが欠点になってないんです。
ちなみに、脚本は誰なのか調べてみたら、脚本&原案は監督もやっているロバート・クローズの仕事でした。『燃えよドラゴン』の監督さんです。ありゃ。
音楽も『燃えドラ』のラロ・シフリンという事で、まさにブルース・リーの二番煎じ的な扱いでの製作だったんでしょうかね。
ですが、ここだけの話、私は『燃えよドラゴン』よりこの映画の方が面白かったです(爆)。まあ、私はバリバリのジャッキー世代で、ブルース・リーにはあまり馴染みが無いというのがあるんですけどね。
で、映画のメインであるところのジャッキーアクションですが、これが、映画が進む事にどんどん激しさを増すという、バランス感覚の凄くいいものです。最初に見せるアクションは、「暴力嫌いの父親の前でマフィアを倒す」というシチュエーションなので、ジャッキーは「自分から攻撃してるように見せないように戦う」という戦法を披露します。
最後のアクションは、格闘大会の大ボス、スキンヘッドにオヒゲのマッチョ(しかも名前がキッス)を超連続攻撃で一気にKO!なんて事をします。素晴らしいなぁ、カッコいいなぁ。
ちなみに、この映画のジャッキーは、相手が誰であれ、苦戦をするような事がなく、ほとんど楽勝に近い勝ち方をしていきます。これがまた、無敵ヒーロー好きの私にとって、見ていて凄く爽快で良いんですよね。あ、もちろん、何回か殴られては痛そうな顔をしたり、という事はしますけどね。