バトルフィールド・アース
<BATTLEFIELD EARTH>
00年 アメリカ映画 117分

監督:ロジャー・クリスチャン
共同製作:ジョン・トラボルタ
原作:L・ロン・ハバード
音楽:エリア・クミラル
出演:ジョン・トラボルタ(タール)
   バリー・ペッパー(ジョニー)
   フォレスト・ウィテカー(カー)
   キム・コーツ(カーロ)
   リチャード・タイ(ワイルド・ウッズマン)

(あらすじ)
西暦3000年の未来。地球はサイクロ星人に支配されてしまっていた!
人間は奴隷として死ぬまでコキ使われる運命にあった。しかし、一人の勇者が立ち上がった!
人類最後の大反撃!滅ぶのはサイクロ人か、人間か!?

(感想)
2001年のラジー(ゴールデンラズベリー)賞を総ナメにした超問題作。なんですが、いやあ、素晴らしい映画でした!製作者陣には「よくぞこんな映画を大金かけて作ってくれた!感動したッ!」と言いたいです。

まず、主役二人のキャスティングが素晴らしいです。悪役のトラボルタと人類のリーダー役のバリー・ペッパー。二人とも、この映画、この内容にピッタリの演技をしています。特に、バリー・ペッパーの力みかえった演技は『死霊のはらわた』のブルース・キャンベルを思い出してしまいました(演技が似てるってわけじゃないですが)。
そして、トラボルタ演じるトラボルタ星人(笑)のアホみたいな高笑いも素晴らしい。映画のグレードを確実に上げています。

全体的な演出も全く無駄が無いです(ややアクションシーンの編集が急がし過ぎる感じもありますが)。
サイクロ人のメイク、メカのデザイン、時たまモロ二重映しに見える特撮シーン、先にも挙げた主演二人の演技、全ての要素が完璧です。完璧に『バトルフィールドアース』という映画を形作るように機能されてるんです。
ちなみに、ここで言う「完璧」とは、一般観客や評論家にとっての「完璧」という意味ではないです。「バトルフィールドアースにとって完璧」という意味です。

終盤は『インデペンデンス・デイ』を思い起こさせるような展開になります。戦いの規模も一気にグレードアップし、戦闘機がミサイルを撃ち合う空中戦が展開されたりするんですが、特撮が『インデペンデンス・デイ』よりもチャチイ感じがします。でも、きっと計算通りの演出でしょう。ここで『スターウォーズ』並に映像的に優れた戦闘シーンが始まったら、そこだけ『バトルフィールドアース』的ではなくなってしまいます。同じように、たまに見受けられる他のSF映画と似た感じのシーンも、全てが『バトルフィールドアース』的になっています。
そう、この映画はどこを切り取っても『バトルフィールドアース』なんです。一本の芯が通ってるとでも言いましょうか。近年、稀に見る完成度の高さです。もう一度言いますが、素晴らしいです。

また、一つ『バトルフィールドアース』的とは違うんですが、まともに感心した演出がありました。人間とサイクロ星人は互いに違う言語を喋ってるんですが、観客にはどちらも英語を喋ってるように聞こえるという、「英語吹き替えシステム」が導入されてるんです。
人間側もこの時代は言語が英語ではなく、サイクロ人同様、本来は意味不明な言葉を喋ってるんですが、喋ってるうちにだんだん声質が変わっていって、英語を喋ってる声に変わるんです。設定としては英語は喋ってないんですけど、観客の為に英語吹き替えで喋ってるという感じです。
こんな新しい演出法を忍び込ませてるあたり、抜け目が無いですね。