24エスケープ
<BET YOUR LIFE>
04年 アメリカ映画(TV用) 86分

監督・脚本:ルイス・モーノウ
原案・脚本:ジェフ・ウェルチ
製作総指揮:ジョエル・シルバー
出演:ショーン・キャリガン(ソニー・ブリッグス)
   ビリー・ゼイン(ジョセフ)
   コリーン・ヴァン・リック・ド・グルー(カーメン・ロリンズ)
   リチャード・ピエール=ルイ(チャック)

(あらすじ)
ギャンブラーのソニーは、ついに借金取りの殺し屋に追われるハメとなってしまった。だが、逃げてる途中、同じように何者かから逃げている男と出くわした。そして次の瞬間、男は目の前で何者かに射殺されてしまうのだった。
男のポケットから会員制クラブのカードを盗み取ったソニーは、自分を追っている殺し屋から逃れる為に、その会員制クラブに入って行く。
だが、そこでソニーに接触を図ってきた男がいた。そして、「24時間、追撃から逃れる事が出来たら、240万ドルを支払う」というゲームへの誘いをかけてくるのだった。先ほど目の前で殺された男は、このゲームに参加していたのだ。
ソニーは金欲しさに、このゲームへの参加を決意する。果たして、24時間逃げ切る事が出来るのか!?

(感想)
「何故、ジョエル・シルバーが関わってるB級映画はどれも面白く無いんだろう」そんな事を思ってしまうような、困ったアクション映画でした。
そもそも、私はこの映画が「ビリー・ゼインが主演だ」と思っていたので、オープニングのクレジットでビリーが“and”扱いだったのを見ていきなり出鼻を挫かれたような気分にさせられたものでした。
そして、代わりに主役で出てきたのが、また何とも華の無い男なんですよね。主役より脇役の方が似合ってそうな雰囲気で。演じるキャラクターも、取り立てて面白いところの無い、普通のキャラクターでしたし。
さらに厄介なのが、その主人公を追って来る殺し屋の女ですよ。コイツがまた、私の大嫌いなタイプの顔立ちをしてやがるクセに、しつこく現れては主人公の行動、と言うか、ストーリー展開の邪魔をしてくるんですよ。「早く死ねよ」と思いながら見ていたら、死ぬどころか、中盤から主人公と手を組んだりするじゃないですか。もう勘弁してくれ。

と、映画の出来とは関係無いところでつまずきまくってしまいましたが、それらの個人的マイナス面を相殺してくれるぐらいのイカした点もこの映画にはありました。
それはもちろん、ビリー・ゼインの悪役っぷりです。それも、ただの悪い奴と言う訳ではありません。かなりユニークな悪い奴なんです。
基本的に、自分の仕掛けたゲームに参加した標的以外は狙わないので、他のアクション映画の悪役、例えばテロリストとかと比べると、もう悪役と呼んでいいのかも微妙なぐらいの悪っぷりです。なので、主人公側が見てて応援したくならないような連中だったせいか、見てる間はビリーの方の勝利を願いながら見ていましたね。
そして、演じるジョセフという男が、「イカれてる」のと「ユニークで楽しい奴」の中間ぐらいのキャラクターで、時々おかしなポーズをとって見せたり、意味も無くハーモニカを吹いてみたりと、行動が一々奇妙で、見てて飽きない楽しさがありました。まるで、自分に酔ってるかのような行動と言うのか。
数人の部下を引き連れて標的を追ってくるんですが、この部下達からも慕われてる様子でしたね。確かに、こんなのがボスだったら仕事が楽しいだろうなと思います(笑)。
しかも、部下にはサポート的な事を頼んでるだけで、多くの仕事を自分でこなそうとしてる辺りもいいですね。車のボンネットに飛び乗ったりだとか、ヘリから半身を出して銃撃したりだとか、危険な事は全部自分でやってるんです。
そして、時々カッコいいんだかカッコ悪いんだか分からない、微妙なカンフーを使ってくる辺りも最高です。このカンフー技術は、『インビンシブル』の時に習得したものなんでしょうかね(そう言えば、あの時同様、今回スキンヘッドでしたね)。

と言う訳で、「ピリーの活躍が見たい」という当初の希望は叶えてもらえた映画でした。これで、主人公側にもっと魅力ある配役&キャラ造形がなされていたら文句無しだったんですけどね。ストーリーも面白いものでしたし。