撃鉄2 クリティカル・リミット
<BLACK DAWN>
05年 アメリカ映画 96分

監督:アレクサンダー・グラジンスキー
出演:スティーブン・セガール(ジョナサン・コールド)
   タマラ・デイビス(エージェント アマンダ・スチュワート)
   ジョン・パイパー・ファーガソン(ジェームズ・ドノバン)
   ジュリアン・ストーン(マイケル・ドノバン)
   ニコラス・ダビドフ(ニコライ)
   ティモシー・カーハート(グリアー)
   ドン・フランクリン(マックス)

(あらすじ)
フリーの工作員であるジョナサン・コールドは、ある武器商人の脱獄の手助けをした。その武器商人は、弟と共に、テロリストに核兵器を売ろうと企んでいた。実はコールドは、その核兵器の奪取という任務を帯びているのだった。
だが、CIAの方でもその武器商人兄弟の動向を監視していた。さらに、CIAの中にも裏切り者がいるようで何やらややこしい事になるのだった。

(感想)
セガール映画史上、日本で初のビデオスルー作となってしまった本作。そしてその内容も、「これじゃしょうがないかな・・・」と思うような微妙なものとなっていました。劇中、トラックやヘリ等、乗り物に乗った時の「登場人物の背景に映る窓から見える景色」の映像が『珍テロ』みたいに“明らかな合成”だったのには怯んだものでした。多分、最近作の中でも製作費がかなり少ないんじゃないだろうか。

そんなこの映画。タイトル通り、何故か『撃鉄』の続編で、セガールが演じるのは前作同様、フリー工作員のジョナサン・コールドです。沈黙シリーズみたいに、邦題で強引にシリーズにされてるわけではないんですね。
前作は、とても続編が作られるとは思えないような地味な映画でしたが(それこそ、邦題で無理にシリーズにする必要が何一つ無いような・笑)、でも、「スパイ映画風セガール映画」という設定そのものは面白いものでした。ジョナサン・コールドのキャラクターも『ローニン』のデ・ニーロを思わせるもので、とてもいいです。元々、デ・ニーロ以上に、こういう「プロの仕事人の役」が似合う男ですからね。

さて。前作はストーリーが非常に混乱したもので、何ともまとまりの悪い展開を見せていました。その代わりに、セガール拳の見せ方は“破壊力”というのを強調したような雰囲気で中々良かったです。セガールの持つ圧倒的な強さがよく伝わってきましたからね。
そんな前作と比べ、今作はストーリーはかなり分かり易くなりました。その代わり、アクション方面がもう酷い事になってしまってましたね。何が酷いって、セガールのアクションシーンのほぼ全てがスタントダブルなんですよねぇ。もう、今回のセガールほとんど動いてないですよ。電池が切れたのかと思ってしまうぐらいです(さすがに、歩いたり、銃を撃ったりとか基本的な事はしますが)。
ストーリーの方は、中々緊張感があって良かったんですけどね。核爆弾を巡って、テロリストに武器商人、CIA、セガール、そして黒幕と色々と関わってくるんですけど、「2つ以上の組織が登場すると混乱を始める」という私の脳をもってしても展開が理解出来たという分かり易い見せ方がされていました。
まあ、それも、この映画のストーリーが『24』のパクりだったせいというのもありますけどね(笑)。特にシーズン3のストーリーを参考にした形跡がかなり感じられましたね(クライマックスはシーズン2っぽかったですが)。
でも、ジャック・バウアーがあれだけ苦労してたのと同じような事件を、セガールが息を切らせる事もなく解決する様はなかなか爽快でした。
こういう、「他の映画なりドラマなりで見た大変な事件」を思い出させるようなものを、セガールがあっさり解決してしまう様は、まさにセガール映画の醍醐味です。
これで、セガールが面倒臭がらずに、アクションシーンをちゃんと演じてくれてたら、相当違った印象になったでしょうね。惜しい一本でした。

ちなみに、事件に関わるCIAの女エージェントは、「ジョナサン・コールドの元教え子」という設定が与えられてましたが、「コールドに鍛えられ、現在は一級のエージェント」という設定の割にへっぽこでしたね(そのクセ、出番は妙に多かったですが)。コールド氏、人に技を伝授するのは苦手だったんでしょうか(笑)。
もう一点、突っ込みどころ、というか、面白い点として、終盤で出て来るある建物(アパートか何か)において、「エレベーターが故障している」という点が妙に強調されてたんですが、「伏線かな?」と思ったら何でもなかったですね。なんだったんだろう(笑)。