ブラックホーク・ダウン
<BLACK HAWK DOWN>
01年 アメリカ映画 145分

監督・製作:リドリー・スコット
製作:ジェリー・ブラッカイマー
音楽:ハンス・ジマー
   リサ・ジェラード
出演:ジョシュ・ハートネット(マット・エヴァーズマン二等軍曹)
   エリック・バナ(“フート”ギブソン一等軍曹)
   ユアン・マクレガー(ジョン・グライムズ特技下士官)
   トム・サイズモア(ダニー・マクナイト中佐)
   ウィリアム・フィクトナー(ジェフ・サンダーソン軍曹)
   サム・シェパード(ウィリアム・F・ガリソン少将)
   オーランド・ブルーム(トッド・ブラックバーン上等兵)
   ロン・エルダード(マイク・デュラント准将)

(あらすじ)
93年、ソマリアの内戦鎮圧の為に派遣されていた米兵達に、敵対するアディード政権の本拠地への奇襲作戦が下された。
だが、町には武装した民兵が大量にいた為に、激しい市街戦が巻き起こってしまうのだった。ブラックホーク・ヘリが墜落したり、次々と米兵に死傷者が出る中、兵士達は負傷した仲間の救出に奮闘するのだった。

(感想)
最初に映画館で見た時はあんまりいい印象を持てなかった映画でした。特に考えさせられるようなドラマが語られるわけでもなく、ただ戦闘シーンばかりが延々と続くという内容で、しかもその戦場の描写は『プライベート・ライアン』ほどの恐怖感も臨場感もありませんでした。なので、「中途半端な戦争映画」というのが第一印象でした。
ですが、DVDをレンタルして吹き替え版で見てみたら、もう思わず膝を叩いてしまいたくなるぐらいの大発見をしてしまったんですよ。「そうか、これはこういう映画なのか!」と。
この、中身のほとんどが戦場での戦闘シーンで構成されているという点。激しい銃撃のオンパレードに、迫力満点のヘリ墜落シーン。飛び交うロケットランチャー。そう、この映画は戦争映画ではなく、戦場アクション映画だったんです。『ランボー3』の仲間だったんです(爆)!
いやぁ、この点に気付いて以来、もうこの映画が大好きになってしまいましたね。何せ、アクションの密度の濃さと迫力において、恐らく戦場アクション映画の中で唯一『ランボー3』に匹敵するパワーを持っているであろう映画ですからね。これは凄いことです。

いったい、どこの誰がこんな映画を作ったのかと思いきや、監督こそリドリー・スコットですが、製作にあの男が名前を連ねてるじゃないですか。あの男とはもちろん、ハリウッドを代表するスーパー・ヒゲ・プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマー!!
なるほど、ブラッカイマーが関わると、戦争映画もこんなに変わるんですねぇ。この映画の作られた時期には、他にジョン・ウーの『ウインドトーカーズ』や、メル・ギブソンの『ワンス・アンド・フォーエバー』など、戦闘シーンにアクション映画臭の漂っていた映画がありましたが、どちらも、戦争映画というのを意識しすぎたのか、観客に考えさせるようなドラマ的な面をストーリーに組み込んできていました。
ですが、この映画にはそういった、およそアクション映画にとって不要な面をバッサリ削ぎ落とし、頭から尻まで銃撃と死体の山のみで構成された「戦場アクション超大作」として作られているのです。
凄いのは、頭のいい映画ファンが真面目に論じられるような余地もちゃんと残しているという点ですよ。これは『ランボー3』では出来なかった点ですからね。
ついでに、ハンス・ジマーのスコアも結構熱めでしたね。下手したら、同じく戦場アクション映画の仲間である『ティアーズ・オブ・ザ・サン』の時よりもアクション度の高い曲だったんじゃないだろうか。

また、キャストが粒揃いなのも粋でいいですね。ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガーなど、若手の中でもすでに売れてる連中の他に、エリック・バナ、オーランド・ブルームみたいな、今後伸びて行く事となった人材もしっかり混じってますし、さらに『プライベート・ライアン』にも出ていたトム・サイズモアまで出てる始末です。
最初に見た時は、顔を知ってるのがサイズモアだけだわ、みんなヘルメットを深く被ってて誰が誰だか分からないわで登場人物の区別がまるでつかなかったものでしたが(これも、第一印象を悪く感じた原因の一つでしたね)、よくよく見てみると、エリック・バナがやたら頼もしい、それこそランボーみたいな兵士を演じていたり、ジョシュ・ハートネットの「“一学年上の先輩”っぽい感じのリーダーシップ」が爽やかだったりと、それぞれに面白い特徴がちゃんとあるんですよね。
アクションヒーローが孤軍奮闘する戦場アクションもいいですが、こういう、大勢の一般兵士達が頑張ってるというタイプもいいものですね。