ブレイド
<BLADE>
98年 アメリカ映画 121分

監督:スティーブン・ノリントン
製作:ウェズリー・スナイプス他
脚本:デビッド・S・ゴイヤー
出演:ウェズリー・スナイプス(ブレイド)
   スティーブン・ドーフ(フロスト)
   クリス・クリストファーソン(ウィスラー)
   ウンブッシュ・ライト(カレン)
   ドナル・ローグ(クイン)
   ウド・キア(エルダー)

(あらすじ)
人の生き血を吸う魔物、ヴァンパイアは実在した!しかも、普通の人間と変わらない外見を活かし、人間社会に密かに溶け込んでいるのだ。
そして、そんなヴァンパイア達を人知れず狩っている男がいた。その名はブレイド!ヴァンパイアと人間のハーフとして生まれ、ヴァンパイア並の生命力と身体能力を持ち、人間のように、にんにくや日光を弱点としない、まさにハイブリッドなブラザーだ!

そんなブレイドの前に強力な敵が現れた。フロストという名の、一見ただの若造としか思えないヴァンパイアだが、その心の内には「世界征服」いう野望を秘めた熱い男だ!

頑張れブレイド!負けるなブレイド!世界の命運はおまえの決めポーズにかかっている!!

(感想)
『マトリックス』よりも一歩早く“弾丸避け”と“ビルからビルへジャンプ”といったアクション演出を見せた、アクション・ホラーの傑作です。

元々はコミック原作の映画ですけど、このブレイドというキャラクターがスナイプスの為に作られたものではないというのが信じられいぐらいですね。それぐらいのハマりっぷりです。
この映画の面白い点はいくつかありますが、その中に、「アクションシーン中のスナイプスの動きを見てるだけで楽しい」というのがあります。アクションの華麗さはいつも通り素晴らしいですが、今回はそれだけでなく、「どうだ!」というスナイプスの心の声が聞こえてくるかのような、見事な”決めポーズ”みたいなのがアクションの合間に挿入されるんです。これがもう、そのポージングがあまりにキマり過ぎてて笑ってしまうぐらいです。これがやれるハリウッドスターはスナイプスただ一人と言っても過言ではあるまい。

『マトリックス』の一歩先を行っていただけあって、アクションの演出は実に見事です。ホラー映画的なショック描写も有り、見た目の楽しさは全アクション・ホラー映画の中でも屈指のレベルだと思います。
アクション面では、主演のスナイプスの華麗なアクション演技と相まって、「あまりにカッコ良すぎて、見た瞬間爆笑してしまう」というシーンが何ヶ所か出て来ます。特に、冒頭のアクションシーンの素晴らしさはもう言葉は不要ですね。「とにかく見ろ!」といった感じです(要するに、このシーンの素晴らしさを言葉にする能力が私に無いだけなんですが・笑)。
このシーン唯一の欠点は、「あまりに凄すぎて、これ以降、どんなアクションが出て来ても冒頭ほどのインパクトが感じられない」という点でしょうか。贅沢な欠点ですが(笑)。
あと、一瞬ではありますが、クライマックスの「とられたグラサンを取り返すシーン」も最高でした。

実はストーリー展開にはそれほど面白味は感じられなかったんですが、悪役が最高なのでそれも帳消しです。何しろ、この映画を最初に見た時、最も印象に残ったのはスナイプスではなくて、悪役のフロストを演じたスティーブン・ドーフの方でしたからね。
何か、どう見てもヴァンパイアに見えないんですよね、この人。あと、全然強そうに見えないです。それなのに、ある種のカリスマ性みたいなのがしっかり感じられるんです。
ちょっと間違えたら「ただイキがってるだけの若造」に見えかねないところだと思うんですが、冒頭であれだけのアクションを披露したスナイプスの相手役として全く不足を感じない「悪の魅力」というのがバリバリ感じられるんですよね。
その見た目の「強そうじゃない」という点と、それでも全身から感じられる悪のカリスマ性。このギャップがたまらなく魅力的でした。