監督:ギレルモ・デル・トロ
製作:ウェズリー・スナイプス他
出演:ウェズリー・スナイプス(ブレイド)
レオノア・ヴァレラ(ニッサ)
クリス・クリストファーソン(ウィスラー)
ロン・パールマン(ラインハルト)
ルーク・ゴス(ノーマック)
ノーマン・リーダス(スカッド)
トーマス・クレッチュマン(ダマスキノス)
ドニー・イェン(スノウマン)
ダニー・ジョン・ジュールス(アサド)
マシュウ・シュルツ(チュパ)
トニー・クーラン(プリースト)
ダズ・クロウフォード(ライトハンマー)
マリット・ヴェラ・キール(ヴェルレイン)
(感想)
『ミッション:インポッシブル』シリーズと双璧をなすと言われる、俺様映画シリーズ『ブレイド』の第2弾です。スナイプスのアクションシーン、ほぼ全てに、自分をカッコ良く“魅せる”動作が含まれています。スナイプス、もはや、自分に酔っているとしか思えません(笑)。
しかし、実際のところ、スナイプスは今のハリウッド一線級スターの中で、最も動ける人と言っても過言では無いでしょう。見せ掛けだけではない、実力から来る自信が垣間見えるので、決して嫌味には映ってません。
また、面白いところとして、アクションシーンの最中、急にスナイプスや敵がCGになったりしてましたね(これは、翌年の『リローデッド』でも使われてましたね。このシリーズ、また『マトリックス』の一歩先を行ったんですね・笑)。主に、大ジャンプをしたり、吹っ飛ばされたりする所で出るんですが、ここで突如動きが格闘ゲームのキャラクターみたいな変な動きになるので、「この演出は迫力を出す為なのか、それとも笑うところなのか?」とちょっと悩んでしまいました(笑)。
内容は、ヴァンパイア映画というよりも、バトルアクション・ホラーですね。敵のリーパーズは、一応ヴァンパイアの突然変異という事なんですが(実際は遺伝子操作で作られたんですが)、もはやヴァンパイアよりもモンスターに近いです。まあ、ヴァンパイアもモンスターなんですが(笑)。動きは『猿の惑星(リ・イマジネーション版)』の猿軍団みたいですし、襲い方はゾンビ風、下水道をたむろってる姿はチャドみたいです(また、マイナーなのを引き合いに出したな・笑)。
私はどちらかと言うと、吸血鬼が敵の映画よりも、モンスターが敵の映画の方が好きです。さらに、主人公がそんなモンスター共を叩き潰せるほど強いアクション・ヒーローなら尚良しです。なので、無敵のヒーロー、ブレイドがモンスターをぶちのめすこの映画、もう最高です。
ただ、中盤以降、テンションがガタ落ちするのがちょっと痛いですけどね・・・。何しろ、序盤から、スナイプスのカッコ良さを見せ付けるのが目的と言わんばかりなアクションシーンから始まりましたからね。もう、この時点で見てる側の興奮は最高潮と言った感じでしたから。
その後の、クラブ内でブラッドパックの面々がリーパーズと戦う場面も良かったです。どいつも超個性的な連中ですから、その戦闘シーンもまた面白かったです。特に良かったのは、やっぱり、アクションアドバイザーも務めてるドニー・イェン先生自らが演じるスノウマンのシーンでしょうね。敵を指差しながら歩いて行く様がカッコ良過ぎです。
しかし、これ以降はだんだん、尻すぼみな感じになってしまうんですよね。下水道でも派手なアクションシーンがありますが、ほとんどCGによる迫力シーンなので、今までのアクションシーンほどの興奮がありません。
中盤からはストーリー展開を見せるのがメインになります。リーパーズのボスのノーマックは、実はヴァンパイアの親分の息子でした。ですが、ヴァンパイアの弱点を克服する為の遺伝子操作実験の被験者として使われ、実験の失敗によりリーパーのような化け物になってしまったんです。
そして、ノーマックは、自分を怪物に変えた父親を酷く恨んでいるんです。リーパー化を“パワーアップ”と思ってないと言う事は、自分がリーパーである事自体に苦痛を感じていたりするんでしょうね。
そういった、怪物ならではの苦悩がストーリーに出ていたりします。
ヴァンパイア親分の娘のニッサも、どことなく自分がヴァンパイアである事に喜びを感じていないような雰囲気です。血清を打ってまで血の渇きを抑えているブレイドに対し、「私はもう受け入れた」みたいな事を言ってましたからね。生粋のヴァンパイアとは思えないセリフです。本能なんですから、受け入れるも何もないはずなんですから。
ブレイド自身も、血清の注射シーンの時、凄く辛そうな表情をしていました。敵を退治している時のハジけた表情とはまるで違う、この辛そうな表情は、見てて気の毒になってくるぐらいでしたね。
そういったドラマが語られるわけですが、やっぱり、冒頭であんなテンションのアクションを見せられたからには、こちらとしては最後までそのまま突っ走ってもらいたいわけですよ。「ドラマの無いストーリーではつまらない」という意見ももちろんあるでしょうが、私はドラマよりもスナイプスが大暴れしている姿をずっと見ていたいです(笑)。
しかし、クライマックスではまた盛り返して来ます。前作のクライマックスとほぼ同じ展開なんですが、大ピンチ状態となったブレイドが大復活をし、わらわらと登場するヤラレ役をノリノリなBGMに乗せて退治していきます。
武器をとりあげられてる為に素手のみで戦うわけですが、回し蹴りなどのマーシャルアーツ系の技だけでなく、プロレス技みたいなのも途中に織り交ぜたりと、多彩な格闘技術を魅せてくれます。
そして、ザコの最後の一人を倒す方法がまたシャレてましたね。ボスキャラ風を吹かせてブレイドの戦いを高みの見物していたラインハルトの眼前でブレーンバスターですからね。あの場であんな技、普通は使わないだろう(笑)。
ところで、この映画のヒロイン役(ヒロインと言っていいのだろうか、あの役は)ニッサを演じたレオノア・ヴァレラは、『レジェンド・オブ・エジプト』でクレオパトラ役をやってた人なんですね。あの映画ではティモシー・ダルトンとビリー・ゼインをメロメロにしていましたが、この映画ではスナイプスがヤラれてしまいましたね。
また、ビリー・ゼインとは『Sea Devils』という映画でも共演し、婚約に至ったそうで。おめでとうございます(誰も興味無い話題だろうな・笑)。