ボーン・アイデンティティー
<BOURNE IDENTITY>
02年 アメリカ映画 118分

監督:ダグ・リーマン
音楽:ジョン・パウエル
出演:マット・デイモン(ジェイソン・ボーン)
   フランカ・ポテンテ(マリー・クルーツ)
   クリス・クーパー(テッド・コンクリン)
   クライヴ・オーウェン(教授)
   ブライアン・コックス(ウォード・アボット)
   アドウェール・アキノエ・アグバエ(ニクワナ・ウォンボシ)

(ストーリー)
記憶喪失の男が海でイタリア漁船の乗組員達に救われた。虫の息だった男は、背中に数発の銃弾を受け、腰には銀行の口座番号の浮き出る装置が埋め込まれていた。
身元も経歴も何もわからないとはいえ、男は戦う術を心得、語学に堪能で、自己防衛能力に優れていた。これは、彼の危険に満ちた過去を語るものだった。
男は、ひょんなことから知り合った女、マリーの助けを受けながら、自分の身元を突き止め、なぜそれほど多くの人々に命を狙われるのかを知ろうと、懸命な捜索に乗り出す(公式サイトのイントロダクションより抜粋)。

(感想)
マット・デイモンが初めてアクションに挑戦した映画ですが、あまりアクションが似合うとは思えないような人なのに、中々のはまりっぷりを見せてきました。
この当時、「何かしらの特別な技術や才能を持った人の役」を演じる事が多かったですが、今回はまさに色んな方面に秀でた人の役でしたね。何しろ、CIAが作り出した最強の暗殺者という役柄ですよ。普通の演技力だけでなく、アクション演技も問われる役だというのに、ほとんど粗を見せませんでしたからね。やはり、相当の才能を持った人なんでしょうねぇ。
そのマット・デイモン演じるジェイソン・ボーンもいいキャラクターでした。まず、設定が面白いんですよね。記憶は失っているものの、動作は体で覚えているという。
そして、その覚えている動作というのがまた、銃の扱いだったり、武術だったり、超高度なドライビング・テクニックだったりととんでもない技ばかり。この辺の技術を、文字の読み書きやコーヒーのいれ方と同じレベルで覚えてるところが凄いです。まさにプロ中のプロだったんだろうと思わせてくれます。劇中でも、このプロの技を所々で見せてくれますが、こういうのは、見てて単純に「すげぇ!」とか思ってしまいますね。最初に映画館でこの映画を見た帰り道、私も意味も無く、視界に入ってる人の数を数えようとしてしまいましたよ(笑)。

映画自体も、ストーリーからアクション演出まで、非常にレベルの高いものでしたね。まさに、上質のサスペンス・アクションといった感じで。余計なテーマ性などの無い、エンターテイメントに徹した作りになってるのも嬉しいところです。
また、主人公が記憶を失っているという事で、主人公と一緒になって謎を解いていくみたいな面白さがあって、ストーリーにのめり込んで見る事が出来ます。
しかも、主人公の過去に何の関係も無いヒロインが加わる事で、この「記憶を失ったスパイ」の謎解きの旅に、観客と同じ目線の視点が加わるんです。これで、ストーリーへの入り込み易さがさらにアップですよ。
その上で、“カリ”とかいう、セガール拳を早回しにしたような振り付けの格闘アクションやら、小型の車を使ったカーチェイスといったアクションシーンが出てきたりするんですから、もう見てて盛り上がる事。
また、主人公と同じ訓練を受けた敵の暗殺者達が襲ってくるというのも実に燃える展開です。で、その敵の暗殺者たちが、ジェイソンに歯が立たないという所も凄いですね。暗殺者達の中でも一番若そうなんですが、腕は最強だったみたいですね。これは、強い主人公が好きな私にとってはたまらない演出でした。

ところで、劇中でジェイソンを追ってくる敵の組織はCIAですが、この、ハイテクを駆使して追跡してくる様は、『エネミー・オブ・アメリカ』のNSAみたいでした。ただ、追跡に衛生は使ってこなかったですが。
果たして、海外でCIAに追われるのと、アメリカ国内でNSAに追われるのとでは、どっちが大変なんでしょうね。