監督・共同製作:レニー・ハーリン
製作総指揮:マリオ・カサール
共同脚本:シルベスター・スタローン
音楽:トレバー・ジョーンズ
出演:シルベスター・スタローン(ゲイブ・ウォーカー)
マイケル・ルーカー(ハル・タッカー)
ジョン・リスゴー(クエイルン)
ジャニン・ターナー(ジェシー)
レックス・リン(トラバース)
キャロライン・グッドオール(クリステル)
レオン(キネット)
ラルフ・ウェイド(フランク)
(感想)
スタローン主演の超大作山岳アクション映画です。普通、見せ場メインの超大作系の映画は、誰が主演しても同じようなものですが、この映画はスタローンならではです。と言うより、この映画に主演出来るのはハリウッドではスタローン唯一人でしょう。命綱付きとはいえ、あんな高所でのロケのアクション映画に挑戦出来る唯一の男です(後にトム・クルーズが似たような事をやり始めましたけど)。
内容自体は見せ場がメインで、今の技術を使えばスタローンじゃなくても主演が務まるんでしょうが、それではやっぱり本物の迫力と言うのは出ないですからね。
また、全編スタローンならではなアクションシーンのオンパレードです。冒頭の、命綱が切れて落ちかけた女性を寸でのところで捕まえたスタローン演じるゲイブ。この時の表情の凄い事!もうリキみまくりです。そりゃそうですよね、人一人の命が懸かってるんですから(まあ、結局助ける事は出来ないんですが)。
あと、テロ達に登山道具や防寒具を奪われた状態で絶壁をよじ登っていくところなんかも、他の俳優がやったらウソ臭くなってしまいます。なぜスタローンがやると説得力が出るのか?それは何と言っても、超人的な行動をしてる時のスタローンの表情です。「ぬおおおっ!!」という吹き出しが似合いそうなあの顔でやるからこそ、説得力が出るんですよね。
ちなみに、普段の生活においても、重い物などを持ち上げる時、寒くて冷たくてどうしようもないときなどに、この映画のスタローンのキバってる時の表情を思い浮かべると何とかなりそうな気になってしまいます(「寒さ」に関しては“無駄だった”という報告が一件ありますが・笑)。
また、細かい事ですが、この映画のスタローンは一対一の格闘戦があまり強くありません。黒人のテロリストと戦う場面があるんですが、何だかやられっぱなしです。これは、スタローン演じるゲイブの職業が山岳レスキュー隊という、およそ格闘の経験の無いような男だからなんです。
スタローンの演じるキャラは皆ランボーかロッキーに見えたりするらしいですが、よくよく見るとそれぞれのキャラにちゃんと特徴が出てるんですよね。
この映画、娯楽大作の映画にしては結構、暴力シーンの激しい映画です。最初に見た時はそれが原因で、見終わった後に爽快感と一緒に多少の不快感も残ってしまったんですよね。ポール・バーホーベンの映画みたいに、最初からバイオレンスシーンがある事が分かってれば対応できるんですが・・・。
映像だけじゃなく、テロリストのリーダーを演じるジョン・リスゴーの演技もまた凶悪で、ヘドが出るぐらいのイヤな奴なんですよね。しかも、「2,3人殺せば殺人者だが、1000人殺せば征服者だ」とか「俺を殺したいか。なら、順番を待て」など、超悪なセリフをバンバン吐いてきます。
この当時に見ていたアクション映画の悪役達の中でも、イヤな奴度では『デルタフォース2』のビリー・ドラゴと1,2を争うぐらいでしたねぇ。仲間を簡単に撃ち殺してしまうシーンなんで、まるでギャング映画みたいです。
スタローン演じるゲイブと共に、テロリストに酷い目に遭わされる救助隊員ハルを演じるのはマイケル・ルーカー。A級映画ではたまに脇役で見かける人ですが、B級映画界ではたまに主演を務めたりしてる人です。
自分にも責任があるのを棚に上げて、やたらゲイブを非難してくるという役どころだったせいか、当時は演じるマイケル・ルーカー自身にもあんまりいい印象を持てずにいたんですが、後にB級映画での主演作を見ていく内に「いい俳優だな」と思えるようになってきました。今では「スタローンだけでなく、マイケル・ルーカーも出てる!」という事でこの映画の価値がまた一段上がったように感じられます。