監督:アンドリュー・デイビス
出演:チャック・ノリス(エディ・キュサック)
ヘンリー・シルバ(ルイス・コマチョ)
バート・レムセン(カーティス)
マイク・ジェノベス(トニー)
ナサン・デイビス(フェリックス)
ラルフ・フーディ(クレイギー)
ジョセフ・グザルド(ニック)
モリー・ハガン(ダイアナ)
デニス・ファリーナ(ドラート)
クレイギーの査問会で、エディはクレイギーに不利な証言をしたため、同僚の刑事から「仲間を売った」と思われてしまう。コマチョ組のボス、ルイスのいるバーに向かうエディの応援の要請を、何だかんだ理由を付けてはねのける同僚達。エディはたった一人で事件の解決を図るのだった。
(感想)
シカゴが舞台のアンドリュー・デイビス監督の刑事アクションです。主演がマーシャルアーツ系のアクションスター、悪役がヘンリー・シルバという点においても、後のセガール主演作『刑事ニコ』とよく似てますね。
マフィアの麻薬事件に、刑事の誤射事件が絡んできて、アクション映画にしてはストーリーが少々複雑です。と言うか、『刑事ニコ』もそうですが、この頃のデイビス監督は話を小難しく撮るのが好きだったんでしょうかね。『沈黙の戦艦』以降は大分話も分かり易くなっていくんですが。
それに、ストーリーが分かりづらいなと感じるのは中盤までで、それ以降はアクションもバンバン盛り込まれて、ラストまで一気に突き進みます。そもそも、話が難しいわけじゃなく、単純に私の理解力が足りないだけという可能性もありますからね(と言うか、多分これが正解)。
主演はチャック・ノリスですが、キックなどの格闘を見せる場面が少ないです。“チャック映画”というより“普通の刑事アクションにチャックが主演している”という感じですかね。他のチャック主演作とはちょっと雰囲気が違ってて、何か新鮮な感じです。
でも、チャックの魅力は相変わらず強烈に出ていて、もしこの映画で初めてチャックを見たという人がいたとしても、きっと「この凄いヒゲ親父は何者だ!?」と驚愕するに違いありません。
演じる、エディ・キュサックという男、たとえ孤立する事になろうとも、最後まで正義を貫き通すという素晴らしい人物です。相棒の誤射事件で、庇うべきか本当の事を言うべきかで悩む若い刑事からは「あんたは、どんな問題でも即答してしまう」と尊敬されたりします。現実にも、こんな刑事ばかりだったら、町も平和になるんでしょうねぇ。戦闘力も同じぐらいだったら尚のこと(笑)。
仲間の応援が望めないため、一人で敵のアジトに突入していくんですが、ここでは演じるのがチャックという事で、エディから「正義に殉じる決意」みたいなのはあまり感じられません。見てる方は「こいつなら一人でも全員やっつけられるだろう」と思ってしまいますからね。で、結局そうなるわけなんですが(笑)。
ただ、この「一人で敵地に突入」は終盤に二回出て来て、一回目は多勢に無勢という事でやられてしまいます。ただ、もう少しで回りを取り囲む十数人の敵を全部倒せてしまいそうな勢いではありましたが。
次の突入は、そのまま映画のクライマックスとなり、舞台も前回よりかなり広い場所になります。前回失敗した為か、今回はかなり念入りな準備をしてからの突入となります。その準備とは、新兵器“機動ロボット”を連れてきた事です。
このロボット、造られた目的といい武装といい、『ロボコップ』のED209みたいなものです(外見はかなり違いますが)。ただ、この映画は現代劇なので、『ロボコップ』の世界とは犯罪の強烈さが違います。この機動ロボも、暴動クラスの犯罪を鎮圧する時などに使われるものだと思うんですが、殺傷能力がED209に勝るとも劣らないぐらい驚異的です。コマチョ組の組員を次々と血祭りにあげて行く様は、まさに殺戮マシーン。とても「POLICE」の文字が機体に書かれたマシーンのやる事とは思えないです(笑)。
「お株を奪われてなるものか」と、チャックもショットガンをバリバリぶっ放し、やはり敵達を次々と葬っていきます。いつもなら、途中に飛び蹴りシーンが挿入されたりするところですが、この映画では最後まで銃撃で片をつけます。その変わり、この銃の命中率が驚異的で、ほぼ百発百中でしたけどね。
この映画のアクションシーンの中で最もインパクトがあったのは、中盤の高架を走る列車の屋根で犯人を取っ捕まえるシーンです。何と、走行する列車の屋根を走るエディの姿を、ちゃんとチャックの顔が見えるように写してるんです。ノー・スタントという事ですね。これは驚きました。
まあ、香港映画じゃないんですから、何か安全策が講じられてるはずではあるんでしょうけどね。多分、撮影用に造られた特殊車両か何かの屋根なんでしょう。でも、それでも実際動いてる屋根の上でアクションをしてるんだから、凄い事に変わりは無いですね。
シリアスなアクション映画ですが、一カ所、ギャグシーンが入っています。それは、シカゴ市警の面々がたむろしてるバーに二人組み強盗が入って来て、銃を出して「金を出せ!」とやったら、回りの客(刑事達)に一斉に銃口を向けられるという、後に『ロボコップ3』でも使われるネタです。でも、妙に好きなギャグで、どっちの映画でも、見るたびに笑ってしまいます。