コンゴ
<CONGO>
95年 アメリカ映画 108分

監督・製作:フランク・マーシャル
製作:キャスリーン・ケネディ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
SFX:スタン・ウィンストン
原作:マイケル・クライトン
出演:ローラ・リニー(カレン・ロス)
   ディラン・ウォルシュ(ピーター・エリオット)
   アーニー・ハドソン(モンロー・ケリー)
   ティム・カリー(ヘルケマー・ホモルカ)
   グラント・ヘスロフ(リチャード)
   ジョー・ドン・ベイカー(R・B・トラビス)
   ブルース・キャンベル(チャールズ)

(あらすじ)
中央アフリカのコンゴに向けて、それぞれの思惑を持ったある一団が旅立った。
ブルー・ダイヤを探しに行き、連絡の途絶えた恋人を探しに来たハイテク企業の科学者に、研究をしているゴリラを故郷に返すのが目的の動物学者。幻の都市ズィンジと、そこに眠るダイヤを求める冒険家。そして一行を率いる頼もしいガイド、通称“サファリの白い狩人”(でも黒人)。

内戦が勃発し危険地帯と化した空港や国境を抜け、ジャングルを潜り、激流を下り、ついに目的地に付いた一行を待っていたのは、噂通りに存在した幻の都市ズィンジと、そこを守る謎の殺人ゴリラ達だった。

(感想)
秘境探検物のアドベンチャー映画です。『ジュラシック・パーク』のマイケル・クライトン原作という事もあり、見る前はハイテクや科学の話がバリバリ出て来たり、殺人ゴリラがゴリゴリ襲ってくるような、それこそ『ジュラシック・パーク』みたいな感じの映画かと思ってたんですが、その正体は探検行がメインの純然たるアドベンチャー映画でした。

実は私、この映画かなり好きなんですけど、そんなに評価の高い映画じゃなかった事をネットを利用出来る環境を得てから、初めて知りました。個人的には、「クライトン原作映画で、『ジュラシック・パーク』と並んで、原作に負けない面白さを持った映画」とか「冒険映画の最高峰!」という評価をしていた映画だっただけに、かなり意外かつショックな事実でしたね。
まあ、私の好きな映画が他の人にとっては面白くもなんともないというのはこの映画に限った事ではないんですが、やっぱり「自分の映画を見る目はどこかおかしいんじゃないか」と不安にもなりますねぇ。

ともかく、主観的にこの映画を見た場合、ほとんど非のつけどころが無いぐらいに面白い映画です。
もともとアドベンチャー映画は好きなんですが、それも、私のオールタイムベスト1映画が『レイダース』だというのも理由の一つでしょうね。で、この『コンゴ』ですが、こと“アドベンチャー”の要素に関しては『インディ・ジョーンズ』シリーズの上を行ってると思いますね。まあ、何しろ冒険行こそがメインの映画ですからね。
何が面白いって、そのストーリー展開です。スタート地点のアメリカの都市からゴールのコンゴのジャングルの奥地に行き着くまでに、もう、あらゆる事が起こるんです。
到着した空港ではいきなり爆破事件が発生し、その後国境付近で政府の役人に拘束されたり、乗っている輸送機をミサイルで狙われたりともう大変な事態です。

この映画には主人公と呼べる立場のキャラがいなくて、主要キャラ数人がそれぞれ平等に主役級に描かれていく事となります。
一人は、元CIAでハイテク機器のエキスパートの女、カレン。こいつはジャングル探検は素人なものの、元CIAという事で危険への対処の仕方とかも心得ている人物です。もう一人は、ただ研究対象として飼っていたゴリラを故郷に戻そうとしてるだけの学者、ピーター。こちらは、この探検行に危険があるなんてこれっぽっちも思ってなかった、遭遇する危険な事態に対して恐怖するという、観客と等身大的な立場にいる人物です。また、このピーターは、映画の肝とも言える重要キャラ、手話の出来るゴリラのエイミーを連れています。
この二人がまあ主役と呼べるような位置にいる人物で、それにプラスして準主役とも言える位置にいるのが、頼れる黒人のガイド、モンロー。この男がもう、ほんとに頼りになる奴で、しかも見るからにいい人そうというナイスガイなんです。
そしてもう一人、ある思惑をもってこの冒険行に参加してる人物がいます。それは、自称ルーマニアの慈善家のホモルカ。演じてるのがティム・カリーという事もあり、見るからに何か企んでそうな人物です。でも、その企みとは、ただ単にみなさんの目的地付近にあると言われてる幻の都市を探す事で、他のメンバーにとって特に脅威になるような目論みを持ってるわけではありません。

旅先で起こるトラブルの数々も面白いですが、それに相対して行く肝心の登場人物達がこのように多彩なのもこの映画の良いところですね。一人のヒーローが難関をくぐり抜けて行くというのは、アクションがメインのアドベンチャー映画には適していると思いますが、冒険行がメインのアドベンチャー映画においては、この映画の登場キャラの人選は見事に無駄が無いですね。
また、一行の中には、本当に“ただ付いて来てるだけ”というのもいるので(ピーターの研究仲間)、こういう、探検に対して完全な素人キャラが存在していると、見てる方にとっては感情移入し易いです。まるで、一緒にジャングルを探検してるような雰囲気にさせてくれます。
あと、何と言っても、この探検行に、手話で話の出来るゴリラが同行しているというのがユニークです。これにより、普通の探検映画には無い面白さが出てましたね。

終盤には恐怖の殺人ゴリラが襲って来て、同行していたポーターらが殺されまくる事となります。あまつさえ、今回の旅の間、ずっとビビッて愚痴を言っていたピーターの研究仲間のリチャードも惨殺されてしまいます。これはちょっと気の毒でしたねぇ。出来れば生き残らせてあげたかったです。
で、この殺人ゴリラですが、その殺傷能力の高さゆえに、かなり怖い存在です。顔も、見るからに人を殺しそうな恐ろしいツラをしてますしね。この殺人ゴリラの後に普通のマウンテンゴリラが出るシーンを見ると、妙にホッとしますね。まるで、『ジュラシック・パーク』シリーズにおいて、肉食恐竜の襲撃シーンの後に出て来る草食恐竜のシーンみたいです。
このゴリラは、どうやら本物を使ってるわけではなさそうです。動きを見ると、明らかに本物とはちょっと違うんですけど、じゃああのゴリラは何者なんだと聞かれると、実はよく分からないんですよね。多分、アニマトロニクス(本物そっくりの外見と動きを持つロボット)か着ぐるみなんでしょうけど、ロボットにしては動きが滑らかですし、着ぐるみにしてはあまりにリアルです。着ぐるみと言うと、ウルトラマンの怪獣を思い浮かべてしまうんですが、ハリウッドの特撮技術はあんなレベルではないんでしょうね(笑)。
ただ、そんなハリウッドの特撮技術ですが、この映画、ところどころでセットが凄く安っぽく見える時があるんですよね。と言うか、出来ればジャングルでロケしてほしかったところなんですが、予算の関係なのかジャングルロケは大変なのか、映画の大半はジャングルセットでの撮影みたいなんですよね。そして、たまに「見るからにセット」な場面が出て来てしまうのが困りものです。
まあ、そこで展開されているストーリーが面白いんで、ちょっと気にはなるものの、見逃してあげられる許容範囲内ですけどね。何しろ、最初に見た時はストーリーに夢中でそこがセットだなんて全く考えないで見れてましたからね。