クライング・フリーマン
<CRYING FREEMAN>
96年 日本・フランス合作 102分

監督・共同脚本:クリストフ・ガンズ
出演:マーク・ダカスコス(フリーマン)
   ジュリー・コンドラ(エム・オハラ)
   チェッキー・カリョ(ニッタ刑事)
   加藤雅也(花田竜二)
   バイロン・マン(黄)
   島田陽子(花田君江)
   レイ・ドーン・チョン(フォージ刑事)
   マコ(島崎秋堂)

(あらすじ)
チャイニーズマフィアの殺し屋、フリーマン。しかし彼は自分の意思で殺し屋をやっているわけではない。雇い主であるチャイニーズマフィアに操られているのだ。
だが、ある女性と知り合ったことを境に、自分の意思を取り戻し始めるのだった。

(感想)
日本の同名コミックの映画化です。しかし、私は原作は読んでいません。と言うか、この映画の解説を見て初めてそんなコミックが出てた事を知りました。いったい、どういう経緯で映画化されることになったんでしょう?フランスでは大人気のコミックなんでしょうか。
原作では主人公フリーマンは日本人ということらしいですね。と言うか、この映画の設定でも日本人ということらしいです。主人公を演じてるのがマーク・ダカスコスなのに(笑)。

さすがフランス映画だけあって、映像がシャレてますね。きっと、監督なり編集者は芸術作品のつもりで作ってたんでしょう。自分の作ってるものに酔いしれている製作者の姿が目に浮かぶようです(嫌味で言ってるわけではありません)。
また、全体的な演出にジョン・ウーの影響がかなり感じられますね。きっと監督は『男たちの挽歌』のファンでしょう。でも、2丁拳銃とか、登場人物が戦闘中意味も無く回転するなどの丸パクリ技は一切使ってないですけどね。そのせいか、影響は感じられるものの、パクリ臭くない感じになってるので、特にアクションシーンなんかは超クールな出来です。
敵の撃った弾が何故か主人公に全然当たらないという、B級アクションでよく見られる現象がほぼ全てのアクションシーンで発生するんですが、これも手抜き臭くならないように上手く撮っていましたね。まあ、確かに見てて「何で敵の弾は当たらないんだ?」と一瞬疑問に思う箇所もありますが(何せ主人公は銃撃戦の最中、物陰に隠れるというリアクションをとらない為)、主人公をあまりにカッコよく撮っているため、「まあいいか」と思わせてしまうんです。

あと、日本のヤクザをここまでクールに描けるものなのかという所がちょっと衝撃でした。ヤクザと言えば、『仁義なき戦い』みたいなドロ臭いと言うか、血生臭そうな感じがあるんですが、この映画のヤクザは何と言うか、品格のようなものが感じられたものでした。