チャック・ノリス in 地獄の銃弾
<THE CUTTER>
05年 アメリカ映画 91分

監督:ウィリアム・タネン
出演:チャック・ノリス(ジョン・シェパード)
   ジョアンナ・パクラ(エリザベス・テラー)
   ダニエル・バーンハード(ディーク)
   バーニー・コペル(アイザック・テラー)

(あらすじ)
警察が真面目にとりあってくれない事件を主に手掛けるバイオレンス・ディテクティブのジョン・シェパードに、誘拐された伯父を探して欲しいという依頼がきた。だが、依頼を受けた次の瞬間から刺客に襲われるという、大変デンジャラスな事件なのだった。
誘拐された伯父は、かつてナチスの収容所でダイヤのカットの仕事をさせられていた職人だった。そして、この誘拐の背後には、インターポールも関わっている遺物強奪事件があるのだった。

(感想)
無敵のヒーロー、チャック・ノリス久々の主演映画です。ですが、アクション映画ファンがチャックに期待する所である、「マーシャル・アーツを使った無敵の活躍」は、この映画では見る事が出来ないんです。自分の歳を意識し始めたのか、「この歳にしては強い探偵」という程度の強さしか持って無い役柄なんですよね。下手したら、その戦闘力はハリソン・フォード辺りと同程度ぐらいのものです。敵と格闘になるシーンはちょこちょこ出て来るんですが、苦戦をするだけでなく、やられたりするんですよ。これは今でのチャックからは考えられない事態ですよね。まあ、今だに現役の無敵超人であるセガールに比べたらリアルではあるんですが(笑)。
この「年齢による弱体化」を体現したチャックの姿をどうとるかは人それぞれだと思いますが、やはり個人的には少々残念でしたね。どんなに歳をとろうが、どんな役柄だろうが、常に無敵のヒーローでいて欲しい人でしたからね。

と言う訳で、いわゆる「チャック・ノリスのアクション映画」として見ると期待外れの感はある内容ですが、映画自体は面白かったです。まず、基本的に私は探偵物のストーリーが好きなんですよね。調査をしながら、段々と真相に近づいて行く、というストーリー展開には見入ってしまいます。
また、主人公の友人達のキャラ設定とか描写とかも面白かったですね。かつての同僚であり、過去にいい仲だった感のありそうな女刑事の存在とか、弁護士の友人がいる所とか、捜査に協力してくれる警部みたいな人とか、こういった仲間達との過去の交流とか活躍とかが目に浮かぶようでしたね。テレビリーズ化されたらきっとレギュラーとして出て来る面々なんでしょうね。

ストーリー的には、アクション映画ではなく、サスペンス映画として作ってもいいようなものなんですが、敵役に『ダイナソー・ファイター カンフーVS巨大恐竜』でカンフーの役を演じていたダニエル・バーンハードを配していたりと、アクション映画として作る気満々といった感じです。
ダニエルの格闘シーンも結構出て来るんですが、さすがに若いだけあって動きにキレがありますね。チャックとの一対一のバトルが出てきますが、あのチャックよりも強そうでしたからね。
せっかく、格闘に秀でた人を敵役に迎えてるんだから、もっと激しいバトルを繰り広げて見せて欲しかったんですが、生憎、今回のチャックはあまり強くないバージョンなので、格闘アクションとしての面白さよりも、「強敵とのバトルに主人公大ピンチ!」という、普通のアクション映画の面白さが出ていましたね。
そういうチャックの姿も確かに珍しくて面白くはあるんですが、同時に、こういう、普通の俳優がやれるような事をチャックが敢えてやらなくてもいいんじゃないか、という気もしてしまいますねぇ。う〜む、難しいところです。