狼よさらば
<DEATH WISH>
74年 アメリカ映画 94分

監督:マイケル・ウィナー
製作総指揮:ディノ・デ・ラウレンティス
出演:チャールズ・ブロンソン(ポール・カージー)
   ビンセント・ガーディニア(フランク・オチョア)
   スティーブン・キーツ(ジャック・トビー)
   キャサリン・トーラン(キャロル・トビー)
   ホープ・ラング(ジョアンナ・カージー)
   ウィリアム・レッドフィールド(サム・クルッツァー)
   スチュアート・ジェインチル(エイムス・ジェインチル)

(ストーリー)
大都会ニューヨークに住む善良な市民ポール・カージーの妻と娘が町のチンピラに暴行を受けてしまった。妻は死に、娘はショックで廃人となる。警察も「犯人を捕まえられる“可能性”がある」という頼りない事を言い出す始末。

ある日、仕事の出張先で知り合った男から銃をプレゼントされたカージーは、「コイツを使って、町のダニ共を退治してやろう」と思いつく。銃の扱いの才能があったカージーは、自ら治安の悪そうな所に出向いては、ノコノコやってきたカモを血祭りにあげていく。
いつしかカージーの行動はマスコミから注目されるようになり、町の犯罪件数を激減させるという効果をも生んでいくのだった。
一方、カージーによる連続殺人を捜査していた警察も、カージーに目星を付けつつあるのだった。

(感想)
ブロンソンの代表シリーズの記念すべき第一作です。
警察に代わって犯罪者を退治する行動の是非を問う社会派アクション映画、だと思うんですが、私には、町のゴミを掃除する清掃人を描いたクリーンな映画にしか見えません(笑)。
確かに、町のチンピラ共にも人権があったりするんでしょうし、「なぜ、悪の道に走るようになったのか」という点に同情の余地があるのかもしれません。でも、こういった連中に実際に被害に遭う恐れのある我々一般市民にとっては、もう、早急に排除してもらいたい連中なんですよね。この手の連中を改心させるには相当の苦労と労力がいりそうですし、平穏な生活の為にはとっととぶち殺すのが一番手っ取り早いと思いますよ。
とは言うものの、現実に「悪党は即殺しても良し」という考えがまかり通るようになると、色々と困る面も出てくると思うので、実際にはやらない方がいいとは思います。でも、映画の中の世界では、チンピラは問答無用でバンバン撃ち殺して欲しいですね。見ててスカッとします。
で、この映画のブロンソンも、もう情け容赦なくチンピラを撃ち殺していくんですよね。銃を手にしたのは何十年も前という平和主義者の一市民という男だったのに、いつの間にか西部の早撃ちガンマンみたいな銃捌きで悪党を撃ち殺せるようになっているんです。もはや、完全にアクションヒーロー状態ですね(笑)。
そんなカージーに対する警察の対応もなかなか興味深かったですね。もう逮捕出来る証拠はあがっているのに、すでにマスコミによって英雄に祭り上げられている事や、カージーの行動で実際に犯罪件数が激減している事を考慮して、即逮捕に踏み切らないんです。
この辺りも、自警を正当化してるみたいで、個人的には気分がいい描写でした。

ただ、全ての発端である、カージーの家族を襲った暴行犯達が最後まで捕まりも殺されもしないというのは残念でした。結局、一番死ななきゃならない連中が、この映画の世界では野放しのままなんですよね。せめて、エンドクレジットの最後におまけ映像として、こいつらが車に撥ねられたりだとか、狂犬病の犬に噛まれたりだとかしてる映像が出てきてくれれば良かったんですけどね。
ちなみに、このチンピラの中に若かりし頃のジェフ・ゴールドブラムが紛れてるんですが、もう変質者にしか見えないツラしてるんですよね。とても、後に大作映画で頭のいい人の役をやる事になるとは思えないぐらいです(笑)。