監督:レニー・ハーリン
製作:ローレンス・ゴードン
ジョエル・シルバー
音楽:マイケル・ケイメン
出演:ブルース・ウィリス(ジョン・マクレーン)
ウィリアム・サドラー(スチュアート)
ジョン・エイモス(グラント)
フランコ・ネロ(エスペランザ将軍)
アート・エヴァンス(レスリー・バーンズ)
デニス・フランツ(ロレンツォ)
ボニー・ベデリア(ホリー)
ウィリアム・アザートン(リチャード・ソーンバーグ)
レジナルド・ベルジョンソン(アル・パウエル)
フレッド・ダルトン・トンプソン(トルーデュー)
ロバート・パトリック
コーム・ミーニー
ジョン・レグイザモ
だが、この完璧とも言える計画にも一つ穴があった。それは、ジョン・マクレーンを計算に入れてない事だった!そう、1年前にナカトミ・ビルでの戦いで武勇伝を残したスーパーヒーロー、ジョン・マクレーンがたまたま同じ日にダレス空港に来ていたのだ!
ここに、空港を舞台とした武装テロ集団VSジョン・マクレーンの激しい攻防戦が繰り広げられる事となった。果たして、生き残るのはどっちだ!?
(感想)
基本的に、続編は1作目を越えられない、というのが映画界の定説ですが、中には1作目と同等の面白さを持った2作目も存在します。で、この『ダイハード2』は、そうしたタイプに属する続編映画ですね。
確かに、私も以前は『1』の方が明らかによく出来た映画だと思っていました。その原因は、まず、この『2』は前作と比べると、脚本の緻密さに欠けるような印象がある点。そして、マクレーンが何をやられても死なない、完全な不死身の人間になってしまっている点により、リアルさが失われたように感じられたところでした。
ですが、前者に関しては、最近の、ブラッカイマー製作映画やスティーブン・ソマーズ監督映画などの力押しな映画に見慣れてきた今となっては、これでも充分、緻密で練り上げられたストーリーの映画のように思えてきました。
後者については、前作と比べて“違う要素”であって“劣る要素”ではないという事に気付きました。実のところ、「アクションヒーローが活躍する映画」として見たら、下手したら『1』よりも上なんじゃないかという気すらします。
今回、マクレーンがほぼ完全無欠なヒーローになっているわけですが、その代わり、敵側の方も大パワーアップをしています。何しろ、テロリストを装った強盗団ではなく、プロの傭兵部隊ですからね。殺しと戦術のプロフェッショナルですよ。
作戦自体も相当手が込んだもので、これまでのテロリストアクション映画の敵がとった作戦の中でも、最上級に成功率の高い作戦だったんじゃないかと思います(現実に可能かどうかは別問題として)。テロ対策の特殊部隊まで敵の一味だなんて、普通は気づかないでしょう。そんな、ほぼ隙の無い作戦を、マクレーンがいかに暴いていくかというストーリー展開には手に汗握って見入ってしまいます。
普通なら、一介の刑事が一人で立ち向かえるような相手ではないような敵軍団ですが、今回のマクレーンは、上で書いた通り、前作よりもさらにスーパーヒーロー度がアップされた描かれ方をされています(まあ、マクレーンは設定上でも“普通の刑事”というわけではないようですけどね)。そして、前作の事件を戦い抜いた実績がある事から、「プロ集団を一人で片付けてしまう」という点にまるで違和感が無いんですよね。
それ以前に、演じているのがアクションヒーローを演じる事に天性の才能があるとしか思えない男、ブルース・ウィリスだという所に最大の説得力がありますね。
また、「単なる無敵のヒーロー」というわけではなく、前作同様、戦闘中のマクレーンの様子が、「常に必死だ」という辺りがいいんですよね。スーパーヒーローなんですけど、パッと見は敵の方が強そうに見えるんです。いや、実際、敵の方が強いんだけど、何か死に物狂いで戦ったら勝ったみたいな雰囲気があるんですよね。この辺りに、ジョン・ランボーやケイシー・ライバック、マーチン・リッグスといった、他のアクションヒーローとはまた違った魅力を感じさせてくれます。
このように、「最強の敵集団」と「アクションスターが演じるスーパーヒーロー」の戦いを描いた映画なわけです。主人公の職業は刑事ですが、もはや「刑事アクション」というレベルを軽く超えたこの映画のアクションシーンの迫力は相当なものです。
マクレーンが愛銃のベレッタをバンバン連射する様は爽快極まりないですし、敵の弾は面白いようにマクレーンに当たりません。それも、「敵が外してる」というより、「マクレーンが避けてる」といった感じがするぐらいです。
クライマックスで行われる格闘シーンも、飛行機の尾翼の上というデンジャラスな場所でやりますからね。格闘時の動きの迫力以前に、その決戦場所の凄さに圧倒されてしまいます。
爆破シーンも、監督が爆破大好き人間なせいか、かなり派手にいってました。通信タワーから輸送機、旅客機とボンボン爆破していきますからね。
輸送機の爆破シーンでは、コクピットに閉じ込められて手榴弾を投げ込まれたマクレーンが、操縦席の脱出装置を使って大脱出をするという大道芸をやってのけましたが、ここの映像が最高でしたね。もう、明らかに二重映しなんですけど(笑)。このシーンは予告編でも使われていて、「本編では、どんなところで使われるシーンなんだろう」とかなり気になっていたシーンでもありました。
ただ、同じ爆破シーンでも、“旅客機の爆破”は、最初に見た時はかなりショッキングでしたけどね。「娯楽映画でここまでやってしまっていいのか?」と。最近のパニック映画なんかでは数百から数千万単位ぐらいで人が死にまくるケースもありますが、それは「小惑星の衝突」とか「天変地異」などの、フィクション度の高い事故が原因のものです。ですが、飛行機の墜落となると、そんなに高い頻度ではないものの、実際に起こっている事ですからね。しかも、墜落前の乗客やパイロットの様子などもしっかり映してきてましたし。
ですが、それとは逆に、ラストで敵の乗った飛行機が爆発する様は、それはもう気分爽快でしたね。
ここまで、敵の作戦を読み、邪魔をする事は出来たマクレーンですが、結局は後手に回りっぱなしでした。最後も、尾翼の上での格闘に敗れて、落っことされましたからね。まさに完全敗北な状況ですが、タダで落っことされたわけではありませんでした。で、ここからライターを出し、決め台詞を言い、ライター投下。一発大逆転!このクライマックスの、あまりに見事な逆転ぶりは鳥肌ものですね。
前作はアクション映画史に名を残す傑作でしたが、この『2』もその前作の面白さに引けをとらない、最上級Sクラスのアクション映画と言っていいと思います。こういうのを「名作映画」と言うんでしょうねぇ(一般的には言わないですが・笑)。