ダイ・ハード3
<DIE HARD:WITH A VENGEANCE>
95年 アメリカ映画 129分

監督・製作:ジョン・マクティアナン
音楽:マイケル・カーメン
脚本:ジョナサン・ヘンスレー
出演:ブルース・ウィリス(ジョン・マクレーン)
   サミュエル・L・ジャクソン(ゼウス)
   ジェレミー・アイアンズ(サイモン)
   ラリー・ブリッグマン(コッブ警部)
   コリーン・キャンプ(コワルスキー)
   グラハム・グリーン(ランバート)

(ストーリー)
NYで爆弾テロ事件が発生。犯人はマクレーン刑事を指名して、「クイズに答える事が出来たら、次の爆弾のありかを教える」というゲームを仕掛けてくるのだった。
ひょんな事から事件に巻き込まれる事となった電気屋店主のゼウスと共に、犯人のゲームに付き合わされるマクレーン。だが、このゲームは犯人のある計画の一部に過ぎないのだった。

(感想)
『ダイハード』シリーズ待望の3作目という事で、公開当時はそれは期待して見に行ったのですが、ちょっと、期待を裏切られる内容の映画でしたね。
まず、今までのシリーズのお約束だった要素が無くなってしまったのはかなり残念でしたし、敵の設定の「爆弾魔」というのが、前年に公開された『スピード』と被っていて、二番煎じな雰囲気がちょっとだけ感じられてしまいました。
個人的に大好きなシリーズでしたし、アクション映画の頂点という思いもあったので、そのシリーズの新作にそういうマイナスなイメージがついたのは少々ショックでした。

ですが、決して悪い映画ではないんです。アクション映画としての完成度は恐ろしく高いんです。だから、最初に見た時も、期待を裏切られた感はあったものの、満足度は決して低くはなかったんですよね。
ストーリーも、2転3転する凝ったものになっていながら、見ててそれほど混乱するような事はないという、割とスッキリした感じのものでしたし、サイモンの出してくるクイズは、見てる観客も一緒になって考えてしまうような、観客参加型な面白さがありました。特に、2本のボトルを使って水の量を計る問題は、劇中で正解を言うマクレーンの説明が分かり辛い為、映画を見終わってからも「どうやったんだろう」と考えてしまいます。
あと、今回も犯人一味の計画が相当練られているんですよね。その計画が犯人の行動によって段々と判明していく辺りには、パズルを解いていくような楽しさがあったりしました。もしマクレーンが絡まなかったら、きっと成功していたに違いない、緻密かつ大胆かつ綿密な作戦なんですよ。さすが、ハンスの兄が計画しただけの事はあります。
そして、この完璧と思われた計画にマクレーンが気付いていく所も非常に燃えますね。毎回、事件に巻き込まれるマクレーンが「運が悪い」という事になってますけど、本当に運が悪いのは敵の側なんですよね。マクレーンさえいなければ成功間違いなしの完璧な策を練ってきてるんですから(でも、今回は敵の側からマクレーンを巻き込んでるんですよね。余計な事しなけりゃ良かったのに・笑)。
で、今回、どらちかと言うと、アクションよりも謎解きがメインみたいなストーリーになってて、「アクションシーンの見せ場」というのが少ないような気がするんですよね。銃よりも頭で対決するみたいな感じで。これはこれで面白いんですが、アクションの見せ場ももう少し欲しかったような気もしますね。

キャスト面の話ですが、犯人一味のリーダーを演じたジェレミー・アイアンズも、実にクールで格好いいですし、マクレーンの相棒ゼウスもいいキャラクターでした。しかも、演じてるのが今をときめくサミュLのとっつぁんですからね。当時は「誰だよ、コイツ」とか思って見てたんですが(笑)、今ではブルース・ウィリスとサミュLの共演なんて、かなりの豪華共演ですよ。
それに、ここまで事件に一緒に巻き込まれたり立ち向かったりする相棒というのは今までいなかったので、コンビプレイをするマクレーンの姿は中々新鮮です。そもそも、同僚の刑事達が出てくるというのも、今回が初でしたからね。シリーズ3作目でようやく地元が舞台になったんですねぇ(笑)。

と言う訳で、いい映画なんですけど、でも、やっぱり今までのシリーズからすると、この『3』は「ちょっと違う・・・」という印象が残るんですよね。
「シリーズ3作目で新たな方向性を打ち出す」というのは悪く無い考えだと思いますが、それで成功したシリーズってあんまり無いような気がするんですよね。
ところで、この『3』のストーリーは、『2』からの繋がりは皆無ですが、『1』からは多少の繋がりがあります(監督も『1』と同じ、ジョン・マクティアナンですし)。
なので、もし『2』が存在していなければ、『3』の内容に「ちょっと違う」と思うような事は無かったと思うんですよね。
だから、このシリーズは、『1』をスタートそして頂点として、その後に2種類の別種の続編が作られた、という事にした方がスッキリ行くような気がします。今回のは『3』ではなく『裏2』みたいな感じで臨んでいたならば、第一印象は相当違っていたんじゃないかなと思いますね。