ダブルチーム
<DOUBLE TEAM>
97年 アメリカ映画 93分

監督:ツイ・ハーク
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム(ジャック・クイン)
   デニス・ロッドマン(ヤズ)
   ミッキー・ローク(スタブロフ)

(あらすじ)
出産を間近に控えた妻と南仏で引退生活を送る元CIAの腕利き秘密工作員、ジャック・クイン。
彼は宿敵である巨大テロリスト組織と対決する任務に失敗し、<コロニー>と呼ばれる脱出不可能の孤島に収容される。そこは世界各国の有能な工作員たちが秘密裏にテロリストの情報分析を行うためのシンクタンクだった。
だが、妻がテロリストの手に落ちたと知った彼は<コロニー>を脱出し、闇社会の兵器ディーラーのヤズを仲間に、決死の救出のためローマへ向かう。(プログラムより)

(感想)
とにかく、全編を通じて異常なテンションと言うか、空気が満ちている怪作です。
ハリウッドの監督の元ではあまり活かされなかったヴァン・ダムの美麗なアクションを、香港のツイ・ハーク監督が見事に演出しています。特に、序盤の遊園地を舞台にした一連のアクションシーンの映像の凄いこと!
主人公クインと、宿敵スタブロスの視点の映像が時折挿入されるんですが、群集の中から敵のみを見分けるという妙技を上手く映像で表現しています。さらに、華麗さでは『マトリックス』のキアヌを上回る、ヴァン・ダムの「銃弾回避シーン」まである大サービス!
その後の、コロニーからクインがどうやって脱出するかという展開も面白いです。脱出だけでなく、それに備えたトレーニングシーンも、まさにヴァン・ダムならでは。当然、開脚有りです。

また、この映画はヴァン・ダムだけでなく、相棒役のデニス・ロッドマン、敵役のミッキー・ロークもイカしてました。
映画史上、ここまで怪しい登場人物がいただろうか?というぐらい奇天烈な男、ヤズ。演じるのがバスケット選手のロッドマンのせいか、会話のほとんどにバスケットネタが入ってきて、聞いてて逆に恥ずかしくなってきそうです(無理にバスケットネタにしなくてもいいのに・笑)。
まず、この映画を楽しめるかどうかのキー・マンでしょうね。この男のノリについていければ、もうこの映画はあなたの中で傑作となります(笑)。
終盤には格闘アクションも披露してくれますが、これがまたカッコいい!あの長身、そして長い足を使った格闘スタイルはかなり珍しいです。

そして敵役のミッキー・ローク。肉体だけならヴァン・ダムに匹敵するマッチョ野郎で登場します。
息子を殺され、復讐に燃える男なんですが、ラストバトルでは全くヴァン・ダムに歯が立たないという。なんだか、悲哀のようなものが感じられてきます。そしてあのやられ方。最後の無念の表情が、何か、心に訴えるものがありますね。

ところで、アクション俳優+本業が俳優じゃない黒人の相棒+香港アクションというこの映画、後の『ロミオ・マスト・ダイ』『DENGEKI電撃』とコンセプトが似てますね。もしかしたら、時代に先駆けていたのかも!?
ただ、ジョエル・シルバー物の2作が、必ずしも主演俳優の魅力を最大限に引き出せていたとは言えないものだったのに比べ、こちらは、監督が香港の人のせいか、主演のヴァン・ダムの魅力を十二分に引き出していましたね。

また、この映画、上映時間が約1時間半というのも、最後まで一気に見せてくれていいです。この手のお気楽アクションが2時間あっても、無駄なシーンが増えるだけの場合が多いですからね。