ダーティファイター
<Every Which Way But Loose>
78年 アメリカ映画 114分

監督:ジェームズ・ファーゴ
出演:クリント・イーストウッド(ファイロ・ベドー)
   ソンドラ・ロック
   ジェフリー・ルイス
   ビヴァリー・ダンジェロ
   ルス・ゴードン

(あらすじ)
ストリートファイトで負け知らずの猛者ファイロ・ベドーが、クラブで歌うカントリー歌手の女に一目惚れ。見事口説き落としたかと思ったら、デートの当日、急に姿を消してしまった。
「東へ向かった」との情報を得たファイロは、オランウータンの相棒クライドと弟の3人(2人と1匹)を引きつれ、東へと旅立つのだった。

(感想)
何故かイーストウッドみたいな、およそ格闘アクションの似つかわしくない男がストリートファイトの猛者役です。やっぱりというか、ファイトシーンはもっさりした動きで、あまり強そうに見えないんですが、劇中ではイーストウッドの放つパンチは面白いように当たり、敵のパンチはあらかじめかがんでおいたイーストウッドの頭上で空を切ります。
こんなファイトシーンが冒頭から出てきたり、ストーリーも何が目的の話だかよく分からなかったりと、正直、あまりノレなかったんですが、見ていくうちに段々とこの映画の持つ魅力が感じられるようになってきました。
話の目的がハッキリしだした中盤辺りから(一目惚れしたカントリー歌手を追って旅に出る辺り)俄然、面白くなってきましたね。

ジャンル的にはアクションではなくて、コメディ(ロードムービー風)なんですね。
東に向かうファイロの事を追って来る悪者が2グループいるんですが、どっちもアホな連中で笑かしてくれます。特に、行く先々で喧嘩を売っちゃあ痛い目に遭う暴走族集団ブラックウィドーの面々は、もう最後の方は出てきただけで笑ってしまいます。
また、イーストウッドの相棒がオランウータンというのも凄いです。いったい、誰がこんなこと思いついたんでしょう(笑)。

ラスト、実はファイロが追っていた女は、行く先々で男を騙すイヤな女だったことが判明するんですが、詰め寄るファイロは逆ギレされ、罵られながら叩かれ続けるというシーンが出てきます。
このシーンを見た私は「なんて身勝手な奴だ!もし自分がファイロなら、こんな女、火星までぶっ飛ぶMAXパワーパンチをくれてやる!」と憤っていたんですが、ファイロは殴り返すどころかガードもせず、相手の気が済むまで殴らせっぱなしなんです。そして立ち去る。この後姿を見て、気付きました。真の強さってこういうものなんだなあと。