監督:ジョン・ヘス
共同製作・脚本:トーマス・イアン・グリフィス
出演:トーマス・イアン・グリフィス(テリー・マケイン)
ランス・ヘンリクセン(デブリン)
ジェームズ・アール・ジョーンズ(ジェイク)
シャーロット・ルイス(アンナ・ギルモア)
バート・ヤング (サル・ディマルコ)
トニー・トッド(フランク・ホーキンス)
トム・ホッジス(ディラン)
W・アール・ブラウン(ビニー・ディマルコ)
リチャード・マウェ(サム)
(感想)
タイトルだけ見ると、つまらないB級アクション映画みたいですが、中身はちゃんとしたアクション映画です。
主演のトーマス・イアン・グリフィスは、主演だけでなく、製作にも関わってますし、何と脚本も書いているんです。まさにB級アクション界をしょって立つ男、ここに誕生!という感じですが、なぜかあまり芽が出なかったみたいですね。
ヴァン・ダムやチャック・ノリス、ゲイリー・ダニエルズのようなマーシャル・アーツ型のアクション俳優で、アクションシーンでは、本来はパンチを使うような近距離でもハイキックを放ったりと、かなり「蹴り」にこだわった格闘スタイルで、見た目にもかなりの華麗さです。そして、もともと背が高いのか、映し方がいいのか、蹴りを放ってる時、とっても足が長く見えるんです。この蹴りのリーチの長さはヴァン・ダムやチャックを越えてそうです。
さらに、劇中、常に黒のロングコートを着ていて、それを翻しながらのアクションがめちゃくちゃかっこいいです。また、容姿に関しても、マーシャル・アーツ型アクション俳優のカテゴリーでも悪く無い方です。
こんな素晴らしい逸材がなぜ埋もれてしまってるんでしょう。この人の出てる映画は他に『ヴァンパイア最期の聖戦』『トゥームハンター』を見ていますが、どちらもマーシャルアーツを使ってくれてません。ああ、もったいない・・・。
映画の方は、一見B級映画ですが、その質はかなり高いです。初期セガール主演作クラスはあるでしょう。それに、製作がニュー・ライン・シネマで、日本でも劇場公開されたようです。キャストにも、ランス・ヘンリクセン、ジェームズ・アール・ジョーンズ、トニー・トッドなど、有名な人が出ていたりします。
内容は、「暴力刑事が暴力で謎の敵の陰謀を暴く」といった感じです。まず、黒幕と思われていたマフィアのボス、ディマルコが序盤で何者かに殺されるという捻った展開を見せてくれます。でも、こうなると、主人公の上司役のランス・ヘンリクセンがきっと怪しいんだろうと見てる方は思ってしまいますがね(笑)。ただの上司だったらこの人をキャスティングしないでしょうからね。
ただ、黒幕ではないにしても、背後には意外な人物が関わっていて、これは意表を突かれました。
監督の撮り方も上手く、B臭さというのがあまり感じられないんですよね。何よりも、トーマスの格闘アクションの撮り方がとっても上手かったのは素晴らしい。何しろ、これが一番の見せ場ですからね。映画の序盤、最初の格闘シーンでいきなりカカト落としを出させるとは、見てて思わずビックリしてしまいました。
さらに、次に起こる銃撃シーンでは2丁拳銃も披露します。ちなみに、この映画の製作は、ジョン・ウーがアメリカに上陸する前なので、昨今のB級映画でやってるような、“ジョン・ウーのパクリ演出”とは違う感じの2丁拳銃演出です。
とにかく、見応えのある、レベルの高いマーシャルアーツシーンが一定の間隔で挿入されてくるので、見ていて飽きないですね。ストーリーにも多少の起伏があり、特に中だるみや尻すぼみもなく、常に一定の面白さを保ったまま話が進んで行ってくれます。
あと、主人公に「ピアノが得意」という、特に意味の無い特技が用意されてますが、私はこういう、主人公のキャラクターを表す場面はわりと好きだったりします。
さらに、中盤のアクションシーンで、敵の落とした銃を拾って、それを使おうとする主人公が、ちゃんと弾が残ってるか確認をする作業を見せてくれます。意外に、細かい所にも手が行き届いている、マーシャルアーツだけが見所じゃない映画になってるんですね(でも、一番印象に残るのは、結局トーマスの足技なんですが・笑)。