監督:フェリックス・エンリケス・アルカラ
共同製作:スティーブン・セガール
出演:スティーブン・セガール(ジャック・タガート)
マージ・ヘルゲンバーガー(サラ・ケロッグ)
クリス・クリストファーソン(オーリン・ハンナー)
ブラッド・ハント(オーリン・ハンナー・ジュニア)
スティーブン・ラング(アール・ケロッグ)
ハリー・ディーン・スタントン(コットン・ハリー)
(感想)
劇場公開時、「沈黙シリーズ完結編!」という、意味不明な宣伝文句がつけられていた問題作。「これ以降もセガール映画のタイトルに沈黙が付いてるじゃいか!」と怒る人もいるかもしれませんが、もともと沈黙シリーズとは、『沈黙の戦艦』の後、配給のワーナー・ブラザースがセガールの次の新作映画の邦題に勝手に「沈黙」をつけて、あたかもシリーズ物であるかのように見せていた事に始まります(これが『沈黙の要塞』)。
実は、後の『沈黙の陰謀』や『沈黙のテロリスト』は配給元がワーナーではない、違う所なんです。だから、この映画公開時の段階ではウソではなかったわけですね。事実、ワーナーは次のセガール映画を『DENGEKI』という、沈黙を使わないタイトルで公開しました。
ワーナー的には「沈黙シリーズは俺らが考えたもので、それはもう断崖で終わりにした。後の事は知らん」といったところなんでしょう。
そんないわく付き(?)のこの映画ですが、アクションシーンが少ないので、ファンの間でもあまり評価が高くない(らしい)んですが、私はこれ、かなり好きです。
前半は恋愛物のような展開で、後半はアクションメインになるんですが、私はどっかと言うと、前半の部分が好きです。あまり話にメリハリがあるわけでもなく、淡々と流れていくんですけど、それが環境ビデオに近い感じで、見てて落ち着いた気分になるんですよね。セガールの落ち着いた語り口調もいい雰囲気です。
途中で挟まれるアクションシーンも、まるで水の流れを見てるような流麗さ。もう、素晴らしいです。
また、怪しさ爆発のセガールの衣装も見所。あんな奇妙な服を着こなせるのは世界広しといえども、この男だけでしょう。
また、他の映画では見られない、色々なセガールが見られるのも魅力の一つです。
先に挙げた恋愛をするセガール(ほのぼのとしたものですけど)。ギターを弾いて歌うセガール。店で買い物をするセガール。大工仕事をするセガール。大工仕事で使うのに買った木材で敵を殴るセガール。そしたら材木が痛んだので、やっぱり素手で殴るセガール。町の警官(悪)に囲まれ脅されるが、ひるまないどころか逆に脅し返すセガール等など。
少々「いつものセガール」も交じってる気もしますが、気のせいという事で。
で、終盤はいつもの「無敵超人セガール」が暴れまわるお約束の展開。まさに、一粒で二度美味しい展開です。
この頃のセガール映画は、敵役に、トミー・リー・ジョーンズ、マイケル・ケイン、エリック・ボゴシアンなど、クセのある役者を起用してきましたが、今作ではクリス・クリストファーソンがセガールの敵となります。
もちろん、セガールと拳を交えるような真似はしません。影の大物という感じで、セガールと対峙する場面も少ないです。ですが、飄々としたようで、憎々しい感じのあるナイスな悪党を演じていて、とてもいいです。