北斗の拳
<FIST OF THE NORTH STAR>
95年 アメリカ・日本合作 92分

監督・共同脚本:トニー・ランデル
出演:ゲイリー・ダニエルズ(ケンシロウ)
   コスタス・マンディロア(シン)
   鷲尾いさ子(ユリア)
   クリス・ペン(ジャッカル)
   マルコム・マクダウェル(リュウケン)

(あらすじ)
北斗神拳の使い手、ケンシロウは、恋人のユリアを南斗聖拳の使い手、シンに奪われてしまった。しかもシンはケンシロウの父、リュウケンも殺害していたのだ。
怒ったケンシロウは町をフラフラしながらザコを殺したりしつつ、何だかんだでシンの居城シン・タワーへ到達。ザコを回し蹴ったりするのだった。

(感想)
いや〜、これは凄い映画でした。何が凄いって、この映画の圧倒的且つ奇跡的なつまらなさですよ(爆)。あまりのつまらなさに、見てて楽しくなってきてしまうほどです。どうなってるんでしょう、これは。

とは言え、この映画の予算で「北斗の拳」を実写映画化するのもかなり無理があったんでしょうね。『マッドマックス2』の世界観をパクった原作なのに、その実写映画版が全然『マッドマックス2』っぽくないのは困ったところです(でも、真似をするわけにもいかないんでしょうけどね)。
この映画を見てしまった100人中99人は「俺の方がもっと面白く作れた」と思った事でしょうが(1人ぐらいは満足した人もいるかもしれない)、どうも、企画段階で無理があったような気がしないでもないです。
こんな映画に関わってしまった主演のゲイリー始め、キャスト・スタッフ陣の皆さんの心中、察するに余りあります。

「北斗の拳」ならではな要素である、ザコの「あべし」「ひでぶ」な死に様も、実写にすると奇妙なだけでしたね。もう、笑うしかないような有様でした。しかも“秘孔をつくとああなる”という説明が確かなされていなかったので、原作を見てないと何で頭がボコボコ膨らんでくるのか意味が分からないんじゃないかと思います。
しかも、リンの盲目を怪しげな動きで治す(原作では盲目ではなくて口がきけなかったような)描写があるので、ケンシロウが“カンフーを使う呪い師”と解釈されそうです。

ケンシロウのキャスティングがゲイリー・ダニエルズだというのは、まあいいでしょう。そのおかげで、ラストのシン・タワー(注・私が勝手に命名しただけで、そんな名前の建物ではありません。)のザコ十数人を蹴り倒す場面は見応えがありましたからね。
ただ、日本人の名前であるケンシロウに外人がキャスティングされ、外人の名前っぽいユリアに日本人がキャスティングされてるのはどうした事なんでしょう。いくら原作が日本だといっても、無理に日本人を出さなくていいと思うんですけどね。

何か、5分に一回はおかしな所が出てくる映画なんですが、そんな映画の上映時間が92分というのは長過ぎでしたね。もうあと15分は短縮しても良かったんじゃないだろうか(ラストのゲイリーのアクションを5分ほど残して、87分短縮するのが最良かも・笑)。