ストリートファイター
<HARD TIMES>
75年 アメリカ映画 93分

監督・脚本:ウォルター・ヒル
製作:ローレンス・ゴードン
原作・脚本:ブライアン・ギンドーフ
      ブルース・ヘンステル
編集:ロジャー・スポティスウッド
出演:チャールズ・ブロンソン(チェイニー)
   ジェームズ・コバーン(スピード)
   ストローザー・マーティン(ポー)
   マイケル・マクガイア(チック・ギャンディル)
   ブルース・グローバー(ドーティ)
   ジル・アイアランド(ルーシー)
   マーガレット・ブライ(ゲイリン)
   ニック・ディミトリ(ストリート)

(あらすじ)
路上ファイトのプロモーターをやっているスピードの元に、マンダム臭漂う男がぶらりとやってきた。試しに戦わせてみると、その男がまた強いのなんの。 「これは金になる」と踏んだスピードは、マンダム改めチェイニーになんとかデカい試合をさせて大稼ぎをしようと目論む。
結果、チェイニーの大活躍により見事大金を手に入れるスピードだが、元手を作る為に高利貸から借りた金を返さなかった為に、ヤクザに狙われるハメになる。しかも、肝心のチェイニーは「もう戦わない」などと言い出す始末。
だが、前回の戦いで自慢のファイターが負けて恥をかいた大物プロモーターのギャンディルが、スピードの借金を肩代わりすると言い出す。その代わり、余所から連れて来た猛者とチェイニーとの再戦を条件として出すのだった。
戦いを渋っていたチェイニーだが、女にフラれたのを期に町を出ようと考え、ついでにちょっと寄り道してスピードを助けてやる事にするのだった。

(感想)
“賭け、路上ファイト”を描いた映画で、男VS男の熱い殴り合いが出てきます。もちろん、ブロンソンは波動拳的な技は使いません。
この、リアル・ストリートファイト物の映画では、他にヴァン・ダムの『ライオンハート』という傑作がありますが、こちらもそれに負けず劣らずのいい映画でしたね。
ドラマ面は特にどうという事はないんですが、ストーリーよりも、ブロンソンの生き様、カッコ良さがもうとにかく熱い事になってるんですよ。無駄な事を喋らない寡黙な所といい、戦えば超強いファイターだけど女には奥手で不器用な所といい、何かもう、いかにもマンダムな雰囲気ですよ(どんな雰囲気だ・笑)。
ファイトシーンでも、もういい歳なのに、本当に強そうに見える辺りもさすがアクションスターですね。筋肉ムキムキのスキンヘッドを相手にして勝ってしまうのにも、ちゃんと説得力が感じられました。「体力やら攻撃力では劣っているんだろうけど、戦い方のうまさで勝ってる」というような感じなんですよね。まさにベテランの凄味。『ライオンハート』のヴァン・ダムにも勝てるんじゃないかと思うぐらいですよ。

中盤頃でブロンソンにやられる事となるスキンヘッド・マッチョですが、本来なら、ラスボスとして出てきてもおかしくないような存在です。なので、ソイツとの勝負が中盤で早くも出てきたのにはちょっと驚きましたね。「ここでブロンソンが負けて、後半は再戦しようとするみたいな展開になるのかな」とも思ってしまいました。
で、クライマックスにはまた別のファイターが挑戦者として出て来るわけで、コイツが真のラストボスとなるわけです。ですが、コイツがパっと見、弱そうなんですよ。ガタイもそんなにいいわけでもないですし、顔もあまり怖く無いです。たまに、こういうタイプには「でも、全身から危険な香りが漂っている」みたいなのもいるんですが、それも無しです。どう見ても普通のファイターで、明らかに、中ボスのハゲ・マッチョの方が強そうなんです。
「何でこんなのが大ボスなんだろう」と思ったんですが、実はコイツがチェイニーと同じような、「勝ち方を知ってる」みたいな、筋肉ではなく経験で勝つタイプの奴のようなんですよね。なので、さすがのチェイニーもダウンを奪われたりと苦戦をするわけですよ。いやぁ、これはかなり見応えのある戦いでしたね。

この映画のファイトシーン、全体的に、一見するとただの地味な殴り合いにしか見えないというものなんですけど、よくよく見ると、マーシャルアーツ系の格闘映画にも負けないぐらい熱いファイトをしてるんですよね。アクション映画好きとして、素直に唸らされた格闘シーンでした。
そして、何と言っても、ブロンソンの漢っぷりは最高でしたね。強さだけでなく、その全てが渋くてカッコいいんです。ラストシーンの去り方もまた良かったですねぇ。「伝説の男の姿を見た!」というような気になってきます。