ハード・ウェイ
<HARD WAY>
91年 アメリカ映画 111分

監督:ジョン・バダム
出演:マイケル・J・フォックス(ニック・ラング)
   ジェームズ・ウッズ(ジョン・モス)
   スティーブン・ラング(パーティ・クラッシャー)
   アナベラ・シオラ(スーザン)
   ペニー・マーシャル(ビリー)
   L.L.クール・J(アンジー)

(あらすじ)
ニューヨーク警察殺人課のタフガイ刑事ジョン・モスは、連続殺人犯“パーティ・クラッシャー”を今一歩のところで取り逃がしてしまった。気が立っていたジョンは、インタビューにやって来たテレビのリポーターに、カメラの前で暴言を吐く。
その放映を見ていたハリウッド・スターのニック・ラングは、今最も切望している役、刑事のレイ・カサノヴァへの役作りの為に、この男に付いて“本物の刑事”の事を学ぼうと考えるのだった。
署長がニックのファンということもあり、ジョンは“ニックのおもり”という大仕事をさせられるハメとなるのだった。

(感想)
いやぁ、もう、ほんと面白い映画です、これは。ストーリーも面白いですが、何と言っても、主演の二人、マイケル・Jとジェームズ・ウッズですよ。もう、素晴らしいコンビですね。まあ、「息が合っている」という感じはあんまり無いんですが、どちらも芸達者なので、その演技を見てるだけでも面白いです。

殺人課の鬼刑事が、軟派なハリウッド・スターに付きまとわられるという話ですが、行動を真似したり、私生活に踏み込んで来たりするニックの行動は、実際にやられたらさぞや厄介な行動だと思います。ですが、それが見ていて全部笑いの方向に行くのがいいですね。それも、マイケル演じるハリウッド・スターも、ジェームズ・ウッズ演じる刑事も、かなり誇張された、コメディ風のキャラクターになってるせいですね。二人の過剰なリアクションやオーバーな演技など、見ていてかなり笑えます。もちろん、オーバーと言っても、ただうるさく喚いているわけではありません。

しかし、考えてみたら、マイケル・Jの相手役、タフガイ刑事ジョン・モスにジェームズ・ウッズをキャスティングするなんて、かなり渋いですよねぇ。この人のフィルモグラフィの中でも、こんなアクション・コメディなんて他に無いんじゃないでしょうか。本人も、こういうタイプの映画に挑戦して見ようという気があったんでしょうかね(まあ、後に低俗コメディの『最新絶叫計画』なんてのに出てましたけど・笑)。
このジョン・モス、まるで、ハリー・キャラハンを劇画調にしたような感じで、マイケルが絡まなければ、『コブラ』みたいなアクション映画の主役みたいな感じです(かけてるグラサンも『コブラ』のと似てるし)。そんなキャラがコメディをやってるという時点で、妙に可笑しい感じがします。
そして、映画のメインであるマイケルですが、もうスターのオーラが出まくっていますね。しかも、演じる役柄も超人気スター役ですから。
ですが、不思議な事にこの映画、あんまりヒットしなかったんです。何故なんでしょう?『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』の次という、人気絶頂の時期の主演作だというのに。
私なんか初めてこの映画を見た時は、「こんなマイケルが見たかった!」と歓喜したものでした。ただ、劇場公開された事を知らなかったので、ビデオで初めて見たんですが・・・。

この映画、いろいろと笑えるシーンが多く出て来ますが、中でも一番笑えたのが、終盤の劇場でのアクション・シーンで、銃撃戦が始まって観客がパニックになって逃げている中、一人だけ座ってポップコーンを食べながら映画を見続けている少年がいる所です。この少年のアホ面が最高に笑えます(笑)。
あと、街角に貼られているニック・ラングのポスターにジョンが落書きをするシーンも面白いです。無表情で落書きをしているジェームズ・ウッズの滑稽な姿は爆笑ものです。

ところで、「タフガイ刑事が、何か厄介な人物に付きまとわれるハメになる」というこの映画のプロット、同じユニヴァーサルのアクション・コメディ、スタローンの『刑事ジョー』と似てますね。
似てると言えば、シュワの『ラストアクション・ヒーロー』とも少し似てるところがあります。主演スターのでっかい人形が出て来たり、劇中劇でアクション物のシリーズをやっていたり・・・。また、劇場でアクションシーンがあるという点も共通項です。
そして、この3本全てに共通しているのは、「あまりヒットしなかった」という事(笑)。みんな、こういうアクション・コメディは嫌いなんでしょうかね?