アルティメット・マシーン
<HEATSEEKER>
95年 アメリカ映画 91分

監督・脚本:アルバート・ピュン
出演:キース・クーク(チャンス・オブライエン)
   ゲイリー・ダニエルズ(ザオ)
   ティナ・コート(ジョー)
   トム・マシューズ(ウォートン・ブラッドフォード)
   ノーバート・ウェイザー(ツェル・トン)
   ジャヒ・J・J・ズーリ(タル・アジズ)
   マリー・コートニー(レフェリー)

(あらすじ)
サイバー・テクノロジーの目ざましい発展を遂げた2019年、その技術を各社が競っているという状況だった。その技術はもっぱら、ヘナチョコ野郎がマッチョになる為や、格闘家がさらなるパワーアップをする為に使われていた。格闘大会では、ほとんどの選手が“サイバー増強”というのをしていて、その増強率は10%以下と定められていた。
そんな中、サイバー増強をしていない、生粋の人間ながらチャンピオンの座を守り抜いてる男、チャンス・オブライエン。オブライエンにまんまと敗れたサイバー戦士ザオの所属するシアノン社は、ザオにさらなるサイバー増強を施し、自らが所有する島で格闘大会を開くのだった。この島ではなぜか「増強は10%以下」という法律が適用されず、50%まで増強すさせる事が出来るのだ。
この、ザオのデモンストレーションの為に開かれたような大会に、人間のチャンプ、オブライエンも参加を要請されるが、あっさりと断ってしまう。
そこで、この大会を画策した張本人シアノン社のトンは、オブライエンのトレーナー兼セコンド兼婚約者のジョーを誘拐し、「返してほしければ参加しろ!」と脅迫するのだった。

(感想)
『クエスト』『モータル・コンバット』のような異種格闘大会物のアクション映画です。ビデオ・パッケージを見た限り、主演はゲイリー・ダニエルズみたいですが、ゲイリーが演じるのは主役のオブライエンではなく、敵のザオです。クレジットでも“and”扱いで、出番もそんなに多く無かったりします。
主役を演じるのは、キース・クークという聞いた事も無い男。動きはなかなかなものですが、顔にあまり特徴が無いので、これ一作では覚えられないです。
なぜ、この当時はもうB級アクション界で名の知れていたはずのゲイリーを敢えて敵に配したのか、ちょっと疑問のあるところです。「他の選手はみんな増強されてる中、一人、増強無しでチャンピオンの座についてる」という、強い男なんですから、ゲイリーが演じてくれた方が燃えたんですけどね。
ただ、この主人公には、序盤の方に「悪い奴らにからまれて気絶したところを、その辺にいたお子様達に身ぐるみ剥がされる」という、情けないシーンがあるんで、それを考えると、知らない奴が主演でも良かったかなと(笑)。
ちなみにこのシーン、あろうことかパンツまで持っていかれ、その後、全裸で街中を疾走するという展開になります。ちょっとした「最近のジャッキー」状態ですか(笑)。で、結局その格好のまま大会の開催地の島へ向かうボートに飛び乗ったりしてました。何を考えてこんなシーンを撮ったんでしょう(笑)。

本当の見せ場である、大会での格闘シーンは、どれもスピーディで見応えがあります。この場面が良ければ、もうこのジャンルの映画としては成功したも同然ですね。もう、マーシャル・アーツ合戦のオンパレードといった感じです。出場選手の格闘スタイルも、『クエスト』ほどじゃないにしても、微妙に異なっていて面白いです。
また、囚われた主人公の婚約者ジョーが、意味も無く裸にされるというお色気シーンまで登場します。

ただ、ストーリーの肝である、“サイバー増強”の設定が何か意味不明です。要するに人体にサイバーな組織(?)を入れて筋肉増強をしてるものなのかと思ったら、どうも人間をそっくりサイボーグに変えてしまう技術みたいなんですよね。顔をぶち割られた選手が火花を散らして、エンドー・スケルトン(ターミネーターの中身のアレ)みたいな顔を皮膚の下からのぞかせてましたし。これはもう“増強”とは言わないんじゃないんだろうか。