監督・脚本:アルバート・ピュン
出演:キース・クーク(チャンス・オブライエン)
ゲイリー・ダニエルズ(ザオ)
ティナ・コート(ジョー)
トム・マシューズ(ウォートン・ブラッドフォード)
ノーバート・ウェイザー(ツェル・トン)
ジャヒ・J・J・ズーリ(タル・アジズ)
マリー・コートニー(レフェリー)
(感想)
『クエスト』『モータル・コンバット』のような異種格闘大会物のアクション映画です。ビデオ・パッケージを見た限り、主演はゲイリー・ダニエルズみたいですが、ゲイリーが演じるのは主役のオブライエンではなく、敵のザオです。クレジットでも“and”扱いで、出番もそんなに多く無かったりします。
主役を演じるのは、キース・クークという聞いた事も無い男。動きはなかなかなものですが、顔にあまり特徴が無いので、これ一作では覚えられないです。
なぜ、この当時はもうB級アクション界で名の知れていたはずのゲイリーを敢えて敵に配したのか、ちょっと疑問のあるところです。「他の選手はみんな増強されてる中、一人、増強無しでチャンピオンの座についてる」という、強い男なんですから、ゲイリーが演じてくれた方が燃えたんですけどね。
ただ、この主人公には、序盤の方に「悪い奴らにからまれて気絶したところを、その辺にいたお子様達に身ぐるみ剥がされる」という、情けないシーンがあるんで、それを考えると、知らない奴が主演でも良かったかなと(笑)。
ちなみにこのシーン、あろうことかパンツまで持っていかれ、その後、全裸で街中を疾走するという展開になります。ちょっとした「最近のジャッキー」状態ですか(笑)。で、結局その格好のまま大会の開催地の島へ向かうボートに飛び乗ったりしてました。何を考えてこんなシーンを撮ったんでしょう(笑)。
本当の見せ場である、大会での格闘シーンは、どれもスピーディで見応えがあります。この場面が良ければ、もうこのジャンルの映画としては成功したも同然ですね。もう、マーシャル・アーツ合戦のオンパレードといった感じです。出場選手の格闘スタイルも、『クエスト』ほどじゃないにしても、微妙に異なっていて面白いです。
また、囚われた主人公の婚約者ジョーが、意味も無く裸にされるというお色気シーンまで登場します。
ただ、ストーリーの肝である、“サイバー増強”の設定が何か意味不明です。要するに人体にサイバーな組織(?)を入れて筋肉増強をしてるものなのかと思ったら、どうも人間をそっくりサイボーグに変えてしまう技術みたいなんですよね。顔をぶち割られた選手が火花を散らして、エンドー・スケルトン(ターミネーターの中身のアレ)みたいな顔を皮膚の下からのぞかせてましたし。これはもう“増強”とは言わないんじゃないんだろうか。