監督:ウィリアム・タネン
出演:チャック・ノリス(ダニー・オブライエン)
ブリン・セイヤー(ケイ)
ジャック・オハローラン(サイモン・ムーン“テラー”)
ジェフリー・クラマー(ドワイト)
ビリー・ドラゴ(ハイウォター医師)
(感想)
『13日の金曜日』のジェイソンのような殺人鬼と、シュワやスタローンのようなアクションヒーローが戦ったら、どっちが勝つだろう。そんな妄想に応えてくれるのがこの映画です。ジェイソンと言うより、『暴獣のいけにえ』の怪人に近い強靭な狂人(シャレ)と、B級界最強のアクションヒーロー、チャック・ノリスが大激突します。
上映時間の大半はチャックと妊娠中の恋人とのラブラブシーンで占められているんですが、全体的に暗いムードが漂ってます。と言うのも、チャック演じるダニー刑事が、内面ではこの凶悪な殺人鬼に恐怖しているという設定なので、その心理が画面に現れてるんでしょう。
何故、チャックのような無敵のヒーローが恐怖しているのかと言うと、冒頭で語られるんですが、逮捕する際の格闘で危うく殺されかかってるからなんです。何しろ相手は普通の強靭な狂人(またか)とは違う、かなりホラーの入った奴で、いくらチャックが回し蹴りを放ってもあまりダメージを与えられないような存在なのです。
劇中、そんな奴の逮捕に成功したという事で、ダニー刑事はマスコミから“ヒーロー”と呼ばれていたという設定になっています。そして殺人鬼の愛称が“テラー”。と言う事で、原題が『ヒーロー・アンド・テラー』というわけなんですね。で、その“ヒーロー”の部分を抜き取って、『地獄のヒーロー4』という邦題が付けられたわけなんでしょうね。
チャックの主演作の中には、同種の『バイオニック・マーダラー』という映画がありますが、あちらがホラー風味の映画だったのに比べ、こちらは「恋人とのラブラブシーンが多い」という事で、いまいち面白味に欠ける印象もあったりします。 でも、あの体毛と男臭漂うチャックがラブシーンを演じているというのは珍しいと言うか興味深いと言うか、他の主演作では得られない面白さがありますね。 それに、悪役である“テラー”ことサイモン・ムーンの無敵っぷりはまさにジェイソン級ですし、それに対し、恐れを抱きながらも勇気をもって対決するチャックの姿はやはりカッコいいです。 ちなみに、精神病院に収容中のサイモン・ムーンを担当をしていた精神科医役で、ビリー・ドラゴがちょこっと出てきます。悪役の多い人なので(チャックと共演した『デルタフォース2』でも悪役でしたし)、精神科医というのは意外な役ですが、けっこう様になってましたね。