インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説
<INDIANA JONES AND THE TEMPLE OF DOOM>
84年 アメリカ映画 118分

監督:スティーブン・スピルバーグ
製作総指揮・原案:ジョージ・ルーカス
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:ハリソン・フォード(インディ・ジョーンズ)
   ケイト・キャプショー(ウィリー・スコット)
   キー・ホイ・クァン(ショート・ラウンド)
   ロイ・チャオ(ラオ・チェ)
   アムリッシュ・プリ(モーラ・ラム)
   フィリップ・ストーン(ブランバート)

(あらすじ)
上海のレストランでマフィアと遺物の取引をしていたインディだが、なんだかんだで銃撃戦となり、人質としてとった歌手のウィリーと、相棒のショート・ラウンドと共に飛行機で上海を脱出する。
だが、その飛行機もマフィアの罠だったのだ。墜落する飛行機から脱出したインディ達は、インドの山奥に降り立った。
村を訪れた一行だが、その村は邪教集団によって伝説の秘宝“サンカラ・ストーン”が奪われ、さらに子供達も拉致された寂れた村だった。
インディは村人達に、サンカラ・ストーンの奪取と子供達の救出を頼まれ、邪教集団の巣食う山奥の宮殿、パンコットに向かうのだった。

(感想)
アクション・アドベンチャー映画の金字塔『インディ・ジョーンズ』3部作の中でも、異色の一本ですね。舞台となる国がほぼ一ヶ所だったり、ナチスが出てこなかったり。
また、「大量の虫!」「ゲテモノ料理!」「心臓掴み取り!」など、悪趣味大全開です。これらだけを見たら、まるで変態が監督したキワモノ映画みたいですが、実際は名匠スピルバーグが監督です。見た印象も決してキワモノ映画ではなく、ちゃんと一級の娯楽アドベンチャー映画になってるんだから凄いです。

シリーズの中では、やっぱり一作目が一番人気だと思いますし、私も一作目が一番好きです。でも、そんな一作目に負けない魅力を持った続編ですね。むしろ、『キル・ビル1』&『2』みたいに、『レイダース』と『魔宮の伝説』、セットで『インディ・ジョーンズ』だと評価したい(『最後の聖戦』はオマケ。いや、これも相当面白い映画ですけど)。

そんな、個人の勝手な言い分は置いておいて、シリーズ2作目の『魔宮の伝説』の話ですが、多分、ストーリーはシリーズの中で一番単純だと思います。どちらかと言うと、ストーリー展開よりアクションがメインといった感じですかね。その分、アクション度に関してはシリーズ最強、いや、全アクション・アドベンチャー映画の中でも最強と言っていいぐらいです。
とにかく、一度アクションシーンが始まると、一段落つくまでに次々とアクションが巻き起こります。それも、「息つく暇も無い」とはまさにこの事と言わんばかりの危機また危機の連続攻撃です。
そして、そのアクションの見せ方も上手いんですよね。「主人公が絶体絶命のピンチに陥る」という展開が起こるんですが、見ていて「主人公なんだから死ぬわけないしな」と醒めるような瞬間を全く起こさせない、緊張感漲るサスペンスをプラスしたアクションシーンになってるんです。
さらに、そういった危機を切り抜ける主人公インディのキャラクターがもう素晴らしいです。まさに、映画史上最高のヒーローと言っていいぐらいです。この映画を初めて見た時は、そのあまりのカッコ良さにシビレまくったものでした。
まあ、インディが凄いヒーローだというのは、『レイダース』を先に見ていたので知っていましたが、今回の方が、より凄く感じられたんですよね。と言うのも、迫り来る危機にバリエーションがあるんですよね。小型飛行機に取り残されたりとか、天井が迫ってくる小部屋に閉じ込められたりとか。それこそ、アクション・アドベンチャー映画10年分の見せ場がこの一本に入ってるんじゃないかと思うぐらい、あらゆる危機が迫ってくるんですが、それらを見事に切り抜けていく様が、もうあまりにカッコ良過ぎでした。

この映画を見た当時、洋画自体をあんまり見て無かったというのも大きいと思うんですが、私にとって、インディの一挙手一頭足が新鮮だったんですよね。ウルトラマンみたいに超人に変身したりもしなければ、ジャッキーみたいに超絶なカンフーを使うわけでもない。比較的リアルなヒーローですよ。離れた足場に移動するのに、“大ジャンプ”ではなくてムチをロープのように使って移動するなんて、まさに現実的です。
もちろん、これまでにもリアル風味のヒーローは何かで目にしてると思うんですが、肝心の“カッコ良さ”がインディと比べて著しく欠けていたんでしょう。
そんなわけで、この映画を見た当時は(劇場ではなく、テレビ放映でしたが)「インディ・ジョーンズごっこ」と称して、その辺に落ちてた紐を手に持って町内の荒地や舗装されてない箇所などを練り歩いたものでした。もちろん、手に持ってる紐はムチの代わりです(笑)。
ちなみに、上記の行動は『魔宮の伝説』を見た後ではなく、『レイダース』を見た後だったような気もします。実は、『レイダース』と『魔宮の伝説』、私がより影響を受けたのはどっちだったのか、よく覚えてなかったりします(笑)。
ただ、私が初めて自分の金でレンタルした洋画が『魔宮の伝説』だというのはよく覚えてますね。

私の映画人生において、『インディ・ジョーンズ』シリーズが残した影響は計り知れないでしょうね。この映画(とジャッキー映画)をあの当時に見た事からくる「すりこみ」みたいなのが頭に残っていて、現在でも、映画を評価する際に多少なりとも影響を与えているような気がします。