監督:ジョセフ・ジトー
製作:メナハム・ゴーラン
脚本:ジェームズ・ブラナー
チャック・ノリス
アーロン・ノリス
音楽:ジェイ・チャタウェイ
出演:チャック・ノリス(マット・ハンター)
リチャード・リンチ(ロストフ)
メリッサ・プロフェット(マクギール)
アレクサンダー・ゼイル(ニコ)
アレックス・コロン(トーマス)
エディ・ジョーンズ(キャシディ捜査官)
ジョン・デ・ヴリーズ(ジョンストン)
ジェームズ・オサリバン(ハーパー)
ビリー・ドラゴ(ヤクの売人)
(感想)
ちょっとあらすじを端折りすぎましたかね(笑)。もうちょっと詳しく書くと、アメリカへの侵略を企てるテロリスト集団が、とりあえずマイアミに現れるわけです。ですが、テロの幹部であるロストフとかいう悪人は、昔、悪事を働いている最中、チャックにボコボコにされたという過去があり、それがトラウマとなっていて、このマイアミに住んでるチャックを襲撃して倒しておかないと気が済まないという心理状態になっています。そこで、数人の部下を引き連れて、ノリス邸を襲撃するんですが、結局、たまたま遊びに来たチャックの友人の爺さんの殺害と家の破壊だけして帰っていってしまうんです(あと、チャックの飼っていた謎のペットも死んでしまったようですね)。で、怒ったチャックが反撃に出て、町で行われるテロ行為の数々を食い止めていくと、そういうストーリーです。
このテロリスト軍団がなぜアメリカ侵略を企んでいるのかは不明で、しかもそのテロ行為が「首都の襲撃」といった規模のデカいものではなく、郊外の民家の襲撃とか、バーの入り口でたむろする若者の襲撃、デパートの爆破、スクールバスの爆破、教会の爆破と、非常に規模の小さいものです。ですが、市民目線で見ると、非常にイヤにテロですね。
しかも、テロの直前には、その標的となる市民の平和な日常風景が映されるんです。最初のテロである民家襲撃の前には、その家に住む一家の「いかにも幸せなアメリカの家庭です」と言わんばかりな描写が出てきたりします。
このような、観客と等身大の市民目線で描かれる平和が、狂ったテロ集団の手によって一瞬にして崩壊する様は恐怖と同時に憤りを感じずにはいられません。
ですが、この映画はテロの恐怖を描いたスリラーではなく、チャック・ノリス主演のアクション映画です。悪いテロ集団に、我らがチャックが溜飲下がりまくりな天誅を下してくれるわけですよ。
特に、上で挙げたテロ行為のうち、「教会爆破」と「スクールバス爆破」はチャックが見事未然に防いでくれます。しかも、その防ぎ方がまた最高なんですよね。
例えば、スクールバスのケースでは、子供達を乗せて高速道路を走るバスの車体にテロ一味が爆弾を取り付けて去って行くんですが、バスに追いついたチャックが、車を横付けにして爆弾を取り外し、そのままカウントダウンの続く爆弾を持ったまま前方を逃げ走っている敵の車を追いかけて行きます。そして追いつくと、「おい、忘れ物だぞ」と言って爆破数秒前の爆弾を車内に投げ込んでやるわけですよ。もう、この決めゼリフを聞いた瞬間、拍手喝采の大爆笑をしてしまいましたね。なんて素晴らしいシーンなんだ(笑)。
この映画のチャック演じるマット・ハンターは、いつにも増して強力な男として描かれています。格闘能力は、あんまり見せる機会が出ないんですが、相変わらず凄いです(当然)。敵と対峙した際、まるでファイティングポーズをとらないんですけど、それでも全身から「スキの無さ」と「殺気」が発せられてるのが感じられるんですよね。私が悪漢なら、あんなのが目の前にいたら尻尾巻いて逃げ出しますね。ブタの尻尾のようにクルクルと巻いて。
そして、銃撃戦での活躍度がまた凄いんです。二挺サブマシンガン装備という攻撃力の高さも凄いですが、何よりもその反応速度が神懸り的なんですよね。背後から狙ってきたやつを振り向きざまに射殺する所とか、ロケットランチャーの爆風を横っ飛びでかわす所とか、もう、相手が撃つ前に反応して動いてるとしか思えないぐらいです。この反応速度と直感の鋭さはまさにニュータイプ並ですね(一般には分かりにくい例えで申し訳無いんですが・笑)。
まあ、映画なんですから、全てのアクションの動きは事前に決められたものだというのは分かってます。でも、それをいかにもっともらしく、迫力を込めて演じられるかというのは、やはりアクションスターとしてのチャックの貫禄&経験のなせる技ですからね。
敵との戦いでは、チャックはほとんどダメージを受ける事もなく、余裕で勝利していきます。これは、「無敵のアクションヒーロー」が好きな私にとっては、もう最高でしたね。チャックが暴れる前には、敵がいかに卑劣な連中なのかというのが散々描かれるので、チャックのアクションシーン全てに「悪漢共を正義の味方が薙ぎ倒す」という、勧善懲悪の爽快感が満ちているんです。
やっぱり、悪党を問答模様で叩きのめす様というのは見てて痛快ですね。これぞアクション映画の醍醐味だと思います。悪党側の内面を描いて暴力の正当性云々を語るのは社会派映画とかにまかせておけばいいんですよ。