監督:F・ゲイリー・グレイ
音楽:ジョン・パウエル
出演:マーク・ウォールバーグ(チャーリー・クローカー)
エドワード・ノートン(スティーブ・フレゼリ)
シャーリズ・セロン(ステラ・ブリシャー)
セス・グリーン(ライル)
ジェイソン・ステイサム(ハンサム・ロブ)
モス・デフ(レフト・イヤー)
ドナルド・サザーランド(ジョン・ブリジャー)
フランキー・G(レンチ)
1年後。行方をくらませていたスティーブがロスにいる事を突き止めたチャーリー達は、復讐の為に、スティーブの自宅の金庫に保管されてる金塊を奪い返す計画を立てる。そして、ジョンの娘で錠前屋のステラを仲間に加えるのだった。
(感想)
03年に公開され、見に行こうかどうしようか迷った末に見に行かなかった映画ですが、後で家でDVDを見て大後悔。あぁ、こんなに面白い映画を見逃してしまったとは・・・!と思うぐらいに楽しい娯楽アクション映画でした。
盗みのプロ達が金庫破りをするという、最近でも『スコア』とか『オーシャンズ11』などがあった人気ジャンルですが、盗みの計画がとんでもなくユニークです。それは、「金庫の真下の床を爆破して金庫を落下させ、金庫ごと頂く」というものです。「金庫までいかに潜入するか」に面白さと緊張感があった他の金庫破り映画とは、また違った面白さがありましたね。
もちろん、「金庫を持ったまま逃げられない」とか「結局金庫を開けなければ意味が無い」という問題がありますが、それらに関してもちゃんと見事な作戦が立てられています。
これは、映画冒頭の盗みで使われる技で、映画のメインの目標である盗みの場面ではまたさらに手の込んだ作戦が使われてきます。
そんな奇想天外な作戦を思いつくのは、主人公であり、盗人チームのリーダー、チャーリーです。この人は、このように柔軟な発想力でもって完璧な強奪計画を立てるのを得意としています。
他の仲間には、天才的なハッカーに爆破のプロという、この手の映画になくてはならない能力を持った人達に、運転のプロ(&ナンパのプロでもあり・笑)に金庫破りのプロというメンバーで構成されています。
この仲間達のキャラクターもどれも親しみ易いもので、演じてる俳優もそこそこ名の知れた人達です。まったくもってバランスのいい人数とキャスティングです。これを見ると、『オーシャンズ11』のメンバーが無駄に多いだけのような気がしてしまいます(まあ、あちらはこの映画の標的よりも、もっと難度の高い場所へ盗みに入ってますから、あの人数になるのもしょうがないんですが)。
また、この映画は盗み以外の見せ場として、「ミニ・クーパーでのカーチェイス」というのがあります。盗んだ金塊をこの小型の車に積んで、狭い通路を逃げ道に使う、という作戦の為に用いられる事となります。
終盤、かなり長めのチェイスシーンが出て来るんですが、「迫力のカーチェイス!」という感じはあまり無かったですね。小さい車が3台並んで走る様は、何だか「可愛らしいカーチェイス」といった感じでした。スピード感もあんまり無いんですが、かと言ってつまらないチェイスシーンかと言うと、決してそんな事は無いんです。車が走るなんて考えられないような場所を走行していくミニの映像は、普通のカーチェイスとはまた違う面白さがありましたね。『ボーン・アイデンティティー』でも小型の車でのカーチェイスが出てきて、独特の面白さを出していましたが、この映画も似たようなタイプの楽しさがありました。
このように、一見「よくあるタイプの娯楽映画」と思いがちですが、金庫破りにしろカーチェイスにしろ、パターンを微妙に外してきてるのがいいですね。
主人公を演じるのは、00年近辺でよく姿を見かけたものの、私の見るような映画にあまり出ていなかったのか、その後しばらく姿を見なかったマーク・ウォールバーグです。少し見ない間にすっかりスターっぽい風格が出ていましたね。「ジョージ・クルーニーの弟分」的ポジションというイメージがありましたが(『スリー・キングス』と『パーフェクト・ストーム』のせいでしょうね・笑)、犯罪チームのリーダーとしての存在感はもはや『オーシャンズ11』のクルーニー以上だったかもしれません(あっちの映画は、脇にスターオーラをバシバシ放ってる連中がいましたからね・笑)。
ヒロイン役のシャーリズ・セロンですが、この映画を見て改めて美人な人なんだなぁと思いましたね。これまで見た中で一番キレイに映ってましたね。ただ、『コール』を劇場で見てようやく顔を覚えられたぐらいなんですけど(笑)。
あと、どうでもいい事ですが、この映画のセロンは髪形によってはT−Xに見える時がありましたね。『コール』を見てなかったらクリスタナ・ローケンとの区別がつかなくなってたかもしれません。
悪役を演じるのは、演技派で知られるエドワード・ノートン。「なんでこの人がこんな軽めの映画に出る気になったんだろう?」と思ってたんですが、どうも、契約の関係で嫌々出る事になったらしいですね。そんなわけで、ほとんどやっつけ仕事なんだそうな。その話を聞いて、この人の事をますます嫌な奴だと思うようになったものでしたね。
この映画でノートンが演じてるスティーブというキャラは、登場人物全員から憎まれているという嫌な奴なんですが、その設定以上にムカつく奴に見えてしょうがなかったです。でもふと、「それも全て計算づくだったとしたら凄ぇな」なんて事を思ってしまいました。まさに、ノートン・アプローチです(笑)。