監督:ツイ・ハーク
脚本:スティーブン・E・デ・スーザ
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム(マーカス・レイ)
ロブ・シュナイダー(トミー・ヘンドリクス)
レラ・ローション(カレン・リー)
マイケル・ウォン(ハン)
ポール・ソルヴィノ(ハリー・ジョンソン)
(感想)
ちょっとあらすじを端折り過ぎましたかね。もうちょっと詳しく書くと、香港でジーンズの販売業者かファッションデザイナーかどちらかの仕事をしてるヴァン・ダムことレイが、ロシアマフィアか何かの爆弾テロ事件に巻き込まれる事となる、というような内容です。
曖昧な書き方ですが、実は、見ていてよく意味が分からなかったんですよね。レイの職業とか、敵の目的とか。とりあえず、ジーンズのボタンに仕掛けられるような超小型爆弾を開発した、元KGBのロシアマフィアみたいな連中が、香港のバッタ物業者と手を組んで模造品ジーンズに爆弾を仕込んでアメリカに出荷しようと企むわけです。
これに、「事件を追うCIA」と「敵の一味に寝返ったCIA」「裏切り者を探しているCIA」なんかが絡んでくる事となります。CIA大忙し。
何か込み入ったストーリーみたいですけど、見ていて「難しい映画だ」とはこれっぽっちも思えないんですよね。何しろ、アクションがメインな映画ですし、そのアクションの質がまたエラく高いんです。ぶっちゃけた話、ストーリーなんてどうでもいいぐらい、アクションシーンを見てるだけで楽しいという、そんな映画なんです。
で、見終わった後「そういや、どういうストーリーの映画だったんだろう?」と思い返そうとしてみると、所々分からない箇所が出て来るという。でも、これで困るのは、後であらすじを書く時ぐらいなんで、この映画を評価するうえでは全く問題無い事です。
アメリカ映画ですが、舞台が香港で、しかも監督がツイ・ハーク。という事で、香港映画テイストの濃い内容になっています。当然、アクションシーンも香港仕様で、ジャッキーの映画で見たような感じのするシチュエーションのアクションやら、ワイヤーを使った華麗なスタントアクションやらが出て来る事となります。
そして、そんな中を、ヴァン・ダムがまるで水を得た魚のごとく元気に動き回る事となります。アメリカ人監督のアメリカンなアクション映画よりも、香港テイストなアクションの方がヴァン・ダムは全然活きがいいですね。前の『ダブルチーム』のアクションも凄かったですし。
この映画以降、『マトリックス』やら『M:i−2』といった香港テイストなアクション映画が出てきましたが、どちらのアクションシーンにも、一回目の鑑賞ではほとんど衝撃を受けなかったんですよね。それは、多分この映画でのヴァン・ダムのアクションを見ていたのが原因のような気がしてなりません。キアヌもトム・クルーズも確かにカッコいいアクションを見せてはいましたが、「華麗さ」「迫力」「筋肉」のどれかが欠けているような印象でした。それが、この映画のヴァン・ダムのアクションにはその全てがバリバリ感じられましたからね。
ただ、話によると、ヴァン・ダムはアクションスターのくせにスタントダブルによるアクションシーンを出す事が多いらしいんですよね。なので、この映画のヴァン・ダムのアクションのうち、ハッキリ顔の確認出来ないシーンは代役がやってる可能性もあるんですが(“危険なスタントシーン”とかは当然代役でしょうけど。さすがにあれはジャッキークラスじゃないと出来ないでしょうからね・笑)、顔の確認出来るアクションシーンもちゃんとあるので、やっぱり凄い事に変わりはありません。
レイの相棒、トミーを演じているのが、コメディアンとして有名なロブ・シュナイダーです。と言う訳で、この映画もアクション・コメディとして演出されています。
ただ、特に笑えるようなギャグが出て来るというわけでもなく、全体的にコメディ映画のような雰囲気が漂っている、という程度です。ですが、いつにも増してオーバーな“コメディ演技”を見せるヴァン・ダムの姿はちょっと微笑ましかったですね。