監督:クリス・ナオン
共同制作/共同脚本:リュック・ベッソン
原案:ジェット・リー
音楽:クレイグ・アームストロング
出演:ジェット・リー(リュウ)
ブリジット・フォンダ(ジェシカ)
チェッキー・カリョ(リチャード)
(感想)
悪い男に娘を人質にされ、無理やり娼婦の仕事をさせられている可哀相な女ジェシカ。そんな、“悪魔のような男”に飼われるような生活を送るジェシカの前に現れたのは“天使のような男”・・・ではなくて、ドラゴンだった!というストーリーです。
『リーサル・ウェポン4』でハリウッドデビューして以来、『ロミオ・マスト・ダイ』『ザ・ワン』などのアクション映画に主演してきたジェット・リーですが、この映画は他のハリウッド製の映画とは違い、フランスとアメリカの合作映画で、製作にはリュック・ベッソンが関わっています。それにより何が変わったのかと言うと、なんとジェット・リーの生身のアクションが久々に活かされた映画になっていたんです。どうやら、アメリカよりもフランスの方がカンフーアクション映画はうまく作れるみたいですね。
アクションシーンのレベルが高すぎて、ストーリーからやや浮いた感じになってしまっているのも、香港映画と似ています。
この映画、主人公はジェット・リー演じる中国警察のエリート捜査官リュウなんですが、アクションシーンの間はリュウではなく、ジェット・リーが大暴れしてるようにしか見えないんですよね。
とは言え、ジェット・リーのアクションを魅せるのがメインの映画でもあるんで、これはこれで別にいいんですけどね。要するに、「ストーリーを盛り上げる為にアクションがある」のではなく、「アクションシーンだけでは映画にならないから、ストーリーを入れた」という感じなんでしょう。もちろん、私はこういうタイプのアクション映画支持派です(どっちが面白いかは、その映画の出来によりますが)。
ジェット・リーは、背の低い、見るからに「小僧」という感じの外見なので、チンピラの類の敵は最初ナメてかかってくるんですよね。それがあっという間にノされてしまう様は痛快です。
また、敵のボスクラスの相手は、必ず素手で襲ってくるというもルールに乗っ取ってるようでいいです。しかも、ちゃんとファイティングポーズをとって、これから大格闘シーンが始まる事を見てる人にアピールしてきます。スポーツマン・シップみたいなものでしょうか。何だか見ていて清々しいです。
ちなみに、タイトルの『キス・オブ・ザ・ドラゴン』とは、カンフーの達人の中国人(よくドラゴンと称される)がキスをするという意味ではありません。主人公リュウは、針をツボに刺して、相手の自由を奪うなどの怪しい秘術の達人です(『北斗の拳』の秘孔のようなもの。でも、変な効果音は鳴らない)。これの技の一つが“キス・オブ・ザ・ドラゴン”と呼ばれるもので、これを喰らった人は、体中の血液が頭に集まって、鼻や目、耳などから出血して死亡するという、大変デンジャラスな技です。
この技は映画のラスト、大ボスのリチャードを葬るのに使われます。そんな危ない技が出てくるような、割とバイオレンス度の高い映画です。その辺が同時期にハリウッド進出をした大スター、ジャッキー・チェンの映画と大きく違う点ですね。