監督:リチャード・ドナー
製作:リチャード・ドナー
ジョエル・シルバー
脚本:シェーン・ブラック
編集:スチュアート・ベアード
音楽:エリック・クラプトン
マイケル・ケイメン
出演:メル・ギブソン(マーチン・リッグス)
ダニー・グローバー(ロジャー・マータフ)
ゲイリー・ビジー(ヨシュア)
ミッチェル・ライアン(将軍)
トム・アトキンス(マイケル・ハンサカー)
ダーレン・ラブ(トリッシュ・マータフ)
トレイシー・ウルフ(リアン・マータフ)
捜査を続ける二人は、事件の背後に犯罪組織の関わる麻薬の密輸事件がある事を突き止める。だが、犯罪組織のボスの将軍と、その忠実な部下ヨシュアが秘密を知った二人を狙ってくるのだった。
(感想)
これぞまさに、刑事コンビアクション映画の最高傑作!全体的に特に非の打ち所の無い、まさに完璧な映画です。
この映画の数ある面白い点の中で、筆頭に挙げたいのはやはり主人公リッグス刑事のキャラクターですね。
妻の死のショックから立ち直れないため自殺願望があり、さらに、射撃や格闘に秀でた人間兵器でもあるという。そして、ストーリーがこのリッグスの強烈なキャラクターを完全に活かしたものになってるのが素晴らしい。
リッグスの人間兵器の点ですが、この映画以前の、例えば『ダーティハリー』のような暴力刑事物の映画の主人公は、大抵が肝っ玉がデカいだけで、特別戦闘能力が高いというわけではありませんでした。
ですが、リッグスは軍の特殊部隊出身というとんでもない刑事です。今でこそ“元、何々”という経歴をもった刑事は珍しくないですが、この頃はあんまり無かったんじゃないですかね。
で、主人公がそんな経歴の持ち主の刑事なため、敵側も強盗や人殺しのようなただの犯罪者ではなく、組織犯罪をしているヤバい連中が相手として出て来るのがいいですね。これにより、さらにアクションシーンが派手になりますから。
また、他のシリーズと比べて『1』が少し感じが違う一番の原因は、リッグスに“自殺願望がある”という点でしょうね。主に前半部で出て来る、“いかにリッグスが死を恐れてないか”を語るエピソードもどれも面白いです。エピソード自体も面白ければ、リッグスを演じるメル・ギブソンの演技も強烈で凄いです。もう、目が怖すぎ(笑)。異常者スレスレですね。でも、この時のリッグスの精神状態は、まさに異常者スレスレみたいなものでしたからね。この後のシリーズでキレた時に見せる顔とはまた違う怖さのある表情です。
で、そんな暴走刑事リッグスですが、相棒のマータフと捜査をしたり家に招かれていくうちに、段々と正常な精神を取り戻していくわけです。
特に、マータフの家に招かれた時の、見てて微笑ましいばかりの家族の描写は、リッグスにとっての理想みたいなものだったんでしょうね。
今回の娼婦の飛び降り自殺から始まった事件でリッグスとマータフはコンビを組まされたわけですが、リッグスにとってはこれが最良の結果を生んだみたいですね。
一方のマータフは、リッグスと組んだばっかりに、凶悪な犯罪者と銃撃戦をやらかす回数がうんと増えてしまいましたが(定年も近いというのに・笑)。
でも、今回の事件では、相棒が“人間兵器”であったおかげで、自分の命どころか娘の命まで助かる事になったわけですね。
今回の事件自体は、マータフの戦友が関わってるせいもあって、相棒が誰であれ真相を追っていく事にはなったでしょうからね。恐らく、相棒がリッグス以外の他の刑事だったら、この事件はマータフにとって最悪の結末を迎えた事となったでしょう。
確か原作では、娘がさらわれた辺りの段階で、マータフが「相棒がこの男で良かった」みたいな事を思う箇所があったりしました。この辺の心理描写は、映画では、終盤の、拷問を受けるマータフがリッグスの活躍で助けられる場面で、マータフが「やっぱり凄え奴だ」みたいな表情をする所で表現されましたね。
そして、ここから完全にキレたリッグスの大反撃アクションシーンが始まるわけです。東洋人の拷問を切り抜ける様も凄いですが、マータフとリアンを助けに現われ、銃を持った数人の敵を一瞬で壊滅させてしまうという、このリッグスの戦闘能力の凄さにはもう、ただ驚くばかりです。
また、この時のメル・ギブソンのまるで猫科の動物を思わせるような機敏でしなやかな動きも凄いです。
この後、マシンガンを持って道路を疾走していくシーンの迫力の凄い事!映し方とか演出云々ではなく、“リッグスが走ってる姿”にとんでもない迫力があるんです。
この一連のクライマックスのアクションシーンで、メル・ギブソンがいかにアクションの実力のある人なのかがよぉく分かりますね。
この映画、銃撃戦のシーンでの動きとか、銃器そのものに対してなどに関する事にかなりこだわって作られたらしく、ガンマニアみたいな人にも評価の高い映画らしいですね。
銃もそうですが、細部に至るまで手を抜かずに、“作り込んでいる”という印象があり、ストーリーの面白さも相まって、何度見ても面白い映画になってます。
製作と監督が変わってないせいか、シリーズのどれも同じぐらいレベルの高い映画になってるんですけど、脚本はやっぱり『1』が一番よく出来てるという気はします。