監督:マーティン・キャンベル
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:アントナオ・バンデラス(アレハンドロ/ゾロ)
アンソニー・ホプキンス(ドン・ディエゴ/ゾロ)
キャサリン・ゼタ・ジョーンズ(エレナ)
スチュアート・ウィルソン(ラファエル・モンテロ)
マット・レッシャー(キャプテン・ラブ)
それから20年後。どうにか脱獄に成功したディエゴは、町で血気盛んな若者をスカウトし、二代目ゾロに育て上げようとするのだった。その若者、アレハンドロは、少年時代ゾロに憧れ、今は義賊のような事をやっている正義感の強い男だった。
ディエゴから剣術や気品を学んだアレハンドロは、ラファエルの催したパーティに貴族として潜り込み、この悪代官が何を企んでいるのかを探ろうとする。そこで、ラファエルの娘のエレナといい仲になるが、エレナこそ、かつてディエゴからラファエルが奪っていった、ディエゴの実の娘なのだった。
(感想)
ゾロと言えば、その昔『怪傑ゾロ』みたいなタイトルでテレビ放映をされていた有名なヒーローで、私も名前だけは知っていました。実際に動くところを見るのはこの映画が始めてだったんですが、見てみたら、顔の上の部分だけマスクで隠している所とか、黒ずくめなファッション、特殊な能力を持っていない所など、ちょっとバットマンを思わせるようなヒーローでしたね。
この映画の面白いところは、「ゾロの世代交代」が行われる所ですね。“ゾロ”というヒーローが個人ではなく、象徴のような扱われ方をされているんです。これは、言ってみればブルース・ウェインが二代目バットマンを育成するようなものなので、最初に見た時は何とも画期的なストーリーだと思いましたね。
そして、先代ゾロを演じるのが、レクター博士でお馴染みのアンソニー・ホプキンス。二代目ゾロであり、物語の主人公がアントニオ・バンデラスです。
バンデラスがメキシコ方面のヒーローをやる、というのはイメージにピッタリなのでいいんですが、それよりも、アンソニー・ホプキンスの元祖ゾロを演じてる姿の様になりっぷりには驚きましたね。「なんであんなお爺ちゃんがアクションヒーローを演じているのに違和感を感じないんだ!」と、最初に見た時は驚愕したものでした。
ストーリーもなかなかドラマチックでしたね。先代ゾロのディエゴには最愛の娘エレナがいたのですが、20年の獄中生活の間、宿敵ラファエルの娘として育てられていたのです。エレナはラファエルの事を父と呼び、再会してもディエゴの事をまるで覚えていないという(赤ん坊の時に連れ去られたので当然なのですが)。
これまで、ゾロとして正義の為に戦い続けてきたディエゴですが、その行いが全く報われずに20年も牢屋に入れられてしまったうえに、娘は自分を牢に入れた張本人にとられてしまった、というのは何とも悲しすぎる現実です。
ですが、二代目ゾロとして育て上げたアレハンドロとエレナがいい仲になっていく、というのはディエゴにとってはこの上ない喜びだった事でしょうね。
また、ディエゴとアレハンドロの出会いも、「ただ町で見込みがありそうな若者をスカウトしてみた」というわけではなく、メダルを介した運命的な繋がりがあったというのもいいですね。
深みの感じられるストーリーですが、この映画が「娯楽アクション」だという事を考えると、少々重い面も確かにあります。ですが、主人公のアレハンドロの明るくユーモアのあるキャラクターのおかげで、「暗い」とはほとんど感じませんでしたね。
ただ、確かに暗くはないんですが、ドラマを語る事に重点を置き過ぎて、娯楽アクションとしてはやはり少々の物足りなさを感じてしまいましたね。アクションシーンも、華麗な剣術アクションを見せたり、馬の曲乗りをしてみたり、大爆発が起こったりと派手なんですが、こちらも何かちょっと物足りないものがありました。何と言うか、アクションシーンのテンションがあんまり高くない感じがするんですよね。そのせいか、いい映画だとは思うんですが、個人的な評価は数多のヒーロー物アクション映画の中にあって「普通」といった感じの映画でした。