マキシマム・スピード
<MAXIMUM SPEED - RENN' UM DEIN LEBEN!>
02年 ドイツ・テレビ映画 93分

出演:ヘンドリック・ディラン(フランク・トラーバー)
    ジュリア・スティンホフ(スザンナ・コンランディッツ)
    レネ・シュタインケ(トム)
    エルドゥアン・アタレイ(ゼミル)
    シャルロット・シュエップ(エンゲルハート)
    ダーク・マーテンス
    ハインリッヒ・シュマイダー

(あらすじ)
高速警察が誇る破壊屋コンビ、トムとゼミルが、アウトバーンを走行中、ド派手な爆破事故に巻き込まれて病院送りとなってしまう。
その爆破は事故ではなく、爆弾による爆破事件であった。犯人はアウトバーンに爆弾を仕掛け、警察に金を要求してきた。アウトバーンが人質となってしまったのだ。
この事件に、負傷したトムとゼミルに代わり、新人のフランクとスザンナが事件の捜査に当たる事となる。当初は憎まれ口をたたき合っていた二人だが、爆破をくぐり抜けているうちに次第に打ち解け合っていくのだった。

犯人は金をまんまと頂戴しつつも、再び金の要求をしてきた。今度の標的は建設中の陸橋で、橋の上には社会科見学に来ていた学生達がいるのだった。フランク・スザンナコンビは陸橋に急行し、学生達を避難させようとするが、フランクと他数名が逃げ遅れ、道が崩れて孤島と化した陸橋に取り残されてしまうのだった。
フランクとスザンナはこの窮地を脱出し、犯人を捕まえる事が出来るのか!?

(感想)
『アウトバーン・コップ』『インター・チェンジ』に続く、高速警察の活躍と破壊を描いたドイツのテレビシリーズスペシャル版です。
確か、『インター・チェンジ』の感想で、「テレビドラマのスペシャル版が劇場用映画と同じレンタル料金なのは納得いかない」みたいな事を書きましたが、それはこの『マキシマム・スピード』には当てはまらない事ですね。もうこれ、ヘタな劇場公開アクションよりも面白いし派手です。この、アクション映画としてのレベルの高さには驚いてしまいました。

前回は『スピード』をパクったネタを使ってましたが、今回は、主人公達と爆弾魔の攻防という、よく見るネタではあるものの、特にこれといったパクりはしていないストーリーになってました。
そして、前作の主役コンビ、トムとゼミルが冒頭で文字通り吹っ飛び、新たに加わったメンバーが主役として事件の捜査に当たる事となります。
ちなみに、吹っ飛ぶといっても、バラバラになって死ぬわけではなく、それぞれ縦回転&横回転しながらスローで吹っ飛んだ後、救急車で運ばれるだけです。本来なら間違いなく死んでるぐらの吹っ飛びっぷりでしたが、まあそれは映画のマジックという事で(テレビドラマですが)。そもそも、あんなに見事な回転を披露したキャラに対して、「何で生きてるんだ」なんて失礼な事を言うのはよくないです(笑)。
前作の冒頭でも、『デッドコースター』の冒頭を越える超玉突き事故を魅せてくれましたが、今回の冒頭もこのように、「かつての主役が吹っ飛ぶ」という見事なつかみを見せてくれます。もちろん、爆破自体も主人公を吹っ飛ばすぐらい派手なものです。

で、今回の主役の二人ですが、「行動派の男」と「頭脳派の女」という、『ピースメーカー』みたいな組み合わせです。最初はいがみあっていたものの、次第に打ち解けていくというのもちょっと似た雰囲気です。打ち解けるきっかけになるのが、爆破から命からがら逃れるというものなんですが、この映像とかシチュエーションも『ピースメーカー』のラストの爆破とちょっと似てましたね。もしかしたら製作側もあの映画を少しは意識していたかもしれないですね(ただ、こちらは脱出の際、一瞬、二人が完全に炎に飲まれてましたけど・笑)。
そして、このフランクとスザンナというキャラクターも、それぞれかなり魅力的に見えましたね。申し訳ないですが、前作のトムとデミルより好印象です(笑)。フランクのマッチョっぷりもカッコよくていいですし、スザンナも美人だし無駄にマッチョじゃないしでとってもいいです。それに、二人とも、捜査の能力とか戦闘力とかが変に誇張されてないのがいいですね。完全なヒーローキャラよりも親近感が持てます。フランクは格闘シーンがあるんですが、相手はボス格でもないのにほぼ互角の戦いをしてましたし、スザンナは爆破から命からがら脱出した際、完全にビビってましたからね。
ただ、二人とも、車に乗ると途端にパワーアップするようで、踏切を走る電車を飛び越えたり、崩れて隙間の出来た陸橋の間を飛んだりしてました(笑)。さすが新人とはいえ、高速警察の一員です。

定期的に挿入されてくるアクションシーンはどれもかなりハイレベルで、爆破もかなり派手です。なんですが、クライマックスの陸橋のシーンでは途端に爆破がCGになり、陸橋も模型だか安いCGだかで描写されるシーンが出たりと、B級っぽくなってしまってました。ここのストーリー展開がかなり白熱したものになってるだけに、「誰か予算を出してくれる人はいなかったのか」と悔しくなってしまいますね。
爆破の映像はショボくなったものの(規模はデカいのに、見るからにCGの爆破なので迫力に欠けてしまってるんですよね)、ラストの脱出劇はかなり見応えのあるアクションシーンになってました。それに、「これが最後の見せ場アクションだろう」と思ったアクションシーンのまたすぐ後に、「今度こそこれが最後の見せ場アクションだろう」というのが出て来たりと、最後の最後まで飽きさせませんでした。