バイオ・コップ
<MILLENIUM MANN>
00年 ドイツ映画(テレビ用) 92分

監督:ジョー・コッポレッタ
出演:マルクス・クナフケン(ニコラス・バイヤー)
   ライナー・グレンコウィッツ
   アンドレア・ルーク
   シモン・リヒト

(あらすじ)
人工で作られた新種の麻薬“アイスブルー”を追っていた刑事ニコラス(注・ニコラス・ケイジの事ではありません)だが、麻薬組織のボス、ツィンマーに襲われ瀕死の重傷を負ってしまう。
だが、犯罪撲滅組織、通称E.T.F.の改造手術により、ニコラスはバイオコップとして再生するのだった!

(感想)
あらすじを見れば分かると思いますが、要するに『ロボコップ』のバッタ物です。
ただ、何しろこの映画の製作年度は2000年です。ただ単に『ロボコップ』をパクったわけではありません。一緒に『マトリックス』もパクってるんです。凄い!クール!
ただ、『ロボコップ』や『マトリックス』のネタが使われてますが、SF映画よりも、どちらかと言うとコミックヒーロー物の映画に近い雰囲気でしたね。
バイオ技術で再生した主人公のニコラス・バイヤーですが、サイボーグ技術で蘇ったわけではないので、見た目は元の人間そのままです。当然、頭もスキンヘッドにする必要はありません。そして、切り傷が瞬時に再生する治癒能力に、かなりのスピードで走る事の出来る脚力、細い鎖を引きちぎれる腕力、照準器の能力が備わった目といった、バイオならではのパワーアップが肉体に施されています。
さらに、手から、機械に接続出来るビームや、コードを焼き切れる熱線、毒ガス、ワイヤーフックを出す事も可能です。
このように、単品でも凄い能力を持っていますが、さらに、オペレーター的立場の人から各種情報を脳に無線でアップロードする事が出来るんです。例えば「ヘリの操縦技術を教えて」と言えば、すぐにヘリ操縦のマニュアルが脳に送られてくるわけですよ。『マトリックス』と違うのは、マニュアルが送られてくるだけで、実際操作するのはニコラス自身の操縦技術にかかってる、という事ですかね(そんなわけで、ヘリを操縦するようなシーンはこちらには出てきませんでした・笑)。
いやぁ、凄い能力ですね。まさに21世紀のロボコップ。こんな凄い能力があれば、麻薬組織なんてあっという間に壊滅してしまうに違いない。
と、思うんですが、これがまた、かなり苦戦するんですよね。何故かと言うと、弱点があるからなんです。やはり、ヒーローに弱点は付き物なんでしょうね。
で、バイオコップの弱点とは、まず水に落ちたら、チップがイカれる可能性があるという事。脳に小型のチップが埋め込まれてるんで、機械にとっての弱点がそのままバイオコップの弱点にもなるわけです。
なので、機械が誤作動を起こすような場所、例えば、電磁波が飛び交っているような場所に行くなんてのはもっての他です。命に関わってしまいます。
そして、特殊能力「猛ダッシュ」を使うと、エネルギーを大量消費してしまい、休息が必要となります。で、人間と同様、動いてると腹が減るんですが、食べ物を食べてしまうと体内のバイオ組織に悪影響を与え、これまた命に関わる事態を引き起こす事となってしまいます。
さらに、以前の記憶を少し失っているんですが、「強烈な記憶」が脳裏に蘇ると、記憶が脳を駆け巡って、しばらく行動停止状態に陥ってしまいます。
って言うか、弱点多すぎ(笑)。本当にバイオコップは強いのかと思うぐらい制限がありまくりですね。で、どうも活躍シーンよりも、この各種制限事項で苦しめられてるシーンの方が多い気がするんですよね。特に、うっかりピザを食べて死にそうになるシーンには参ってしまいます。過去に「牛乳を浴びて弱るヒーロー」というのは見た事ありましたが、ピザを食べて弱るヒーローとはまた凄い。弱さではなく、強さを競い合ってくれと思ってしまいます。

全体的にアクションシーンもあまり多くなく、肝心のバイオコップの活躍シーンも少ないです。多分、生身のマッチョ刑事の方が頼りになるんじゃないかと思います(笑)。
「微妙な活躍しかしないヒーローの話」と言う事で、見ててなんとももどかしい感じがありましたね。ただ、敵の黒幕にもっとデカい組織がいるらしいというのがラストに判明したりするんで、多分、話はまだ続いていくんでしょう。テレビシリーズのパイロット版みたいな感じでしたからね。なので、今回は「紹介編」みたいなものだったんでしょう。「これから面白くなっていくんだろうな」という、期待感を抱かせる、そんな一品でした。でも、続きはリリースされてないんですけどね(そもそも、本当にシリーズ物なのかも不明ですし・笑)。