監督・脚本:フローラン・エミリオ・シリ
音楽:アレクサンドル・デプラ
出演:ブノワ・マジメル(サンティノ)
ナディア・ファレス(エレーヌ・ラボリ)
サミー・ナセリ(ナセール)
パスカル・グレゴリー(ルイ)
サミ・ブワジラ(セリム)
アニシア・ユゼイマン(ナディア)
リシャール・サムエル(ヴィンフリード)
ヴァレリオ・マスタンドレア(ジョヴァンニ)
マルシアル・オドン(マルシアル)
マルタン・アミック(スピッツ)
アンジェロ・インファンティ(アベディン・ネクセップ)
(感想)
フランス版『要塞警察』といった趣の、立て篭もり型アクションです。
ストーリー面には特にこれといって面白い所はなく、主要登場人物達が主な舞台となる倉庫に集まるまでは結構退屈です。ですが、それ以降は「ここからが本当の始まり」と言わんばかりに、全編見せ場といった感じのアクション&サスペンスが最後まで続く事となります。
「僅か数分で、数千発の弾丸が乱れ飛ぶ」というのがウリの映画だけに、この銃撃戦シーンの迫力はかなりのものがあります。建物もほぼ蜂の巣状態となりますからね(タイトルが『スズメバチ』だけに・笑)。
アクション演出もかなり冴えていましたね。映像から動作まで「スタイリッシュ」というのが意識されたものになっているんですが、同時に、荒々しさのようなものも感じられるシーンも出てきたりと、かなり凝っています。
『要塞警察』の設定をただパクった映画では済まさず、この「立て篭もり戦だけで全て見せ切ってやろう」というぐらいの意地とやる気の感じられるアクションシーンになっていましたね。で、実際にそれだけで最後まで見せ切っている所が見事です。
敵は「やたら数が多く、しかも全員武装している」という事で、もう、撃ちまくってはやられ、撃ちまくってはやられ、と相当激しい事になっています。
敵側の描写は一切無く、ただひたすら突入してくるだけなんですけど、対するこちら側は武器も面子も限られているので大変です。それだけでなく、『要塞警察』みたいに、リーダーシップを発揮してくれる頼れる奴がいないうえに、「特殊警察と、たまたま居合わせた窃盗団、その窃盗団に縛られていた倉庫の警備員」という、あまり意志の疎通の出来なさそうな組み合わせが揃ってしまったので、立て篭もった者同士でまとまり合うというのがすでに難しいという状況です。
でも、敵側の凶悪っぷりと無慈悲っぷりの前には、もう協力して助け合わないとどうにもならない、という事で、頼れる奴はいないものの、各人がそれぞれ精一杯頑張って生き残ろうとする、という展開となります。これはなかなか燃えるものがありましたね。
武器も弾も人員も圧倒的に敵の方が多く、それを、建物に篭りながら、少ない人員と武器でしのいでいく、というこの緊張感溢れる展開はやっぱりいいですねぇ。舞台が建物の中に限定されてるとはいえ、『ダイハード』系等のアクション映画とはまた違った面白さがあります。こっちの方が「絶望感」みたいなのがより感じられるせいか、サスペンス度が高く感じられますね。