ノーウェイ・アップ
<NO WAY UP>
05年 アメリカ映画 87分

監督・製作・脚本:ジェームズ・シール
製作・脚本:ニール・エルマン
出演:グレイソン・マッコーチ(トム・ウィーバー)
   エイドリアン・ポール(ギャビン)
   エイミー・ロケイン(モリー・ウィーバー)
   ダン・マンデル(エディ)
   ミシェル・ベイズナー(レベッカ)
   ジェファーソン・アルカ(ビクター)

(あらすじ)
深夜の地下駐車場で、謎のトラックが襲い掛かってくる。

(感想)
『激突』を思わせる、「謎のトラック系スリラー」です(何だ、そのジャンル・笑)。
舞台が深夜の地下駐車場で、出入り口はこの時間帯はパスカードを使わないと開ける事は出来ないんですが、主人公はある理由によりパスカードをあえて自宅に置いてきている、という状況です。
そんな主人公トムのスタート地点は、最下層である地下5階。来る時に乗ってきた車は壊されていて動かす事は出来ません。非常階段はドアがロックされていたり鎖で施錠されていたりして開ける事が出来なくなっており、携帯電話は圏外で、もう少し上の階に上がらないと繋がりません。また、監視カメラはコードが切断されており、火災報知器も壊されています。
という状況の中、主人公がトラックに追い掛け回される事となります。この逃げ場無しの状況からどうやって脱出するのかというのと、「一体、誰が犯人なのか」という謎の絡み合う、B級未公開映画界屈指の緊迫感とストーリー的面白さのある映画となっていましたね。

この駐車場内には、主人公と犯人の二人だけでなく、これから帰ろうとしてる人とか車を盗もうとしてる人、たまに巡回に来る警備員など数人の人がいるんです。
ですが、敵のトラック野郎は恐ろしい事に、こういった無関係の人達を轢き殺したり銃で撃ち殺したりとかするんですよ(車泥棒は主人公と揉み合ってるうちに事故死するんですが・笑)。
まず、敵が「銃を所持している」というのが厄介な点ですね。こういう映画の場合、「自分ならどうするか」というのを考えながら見るのが面白いものですが、私は「持っていたバールでトラックを襲撃する」みたいな事を考えていたんですよ。場所がそんなに広い空間があるわけでもない所ですし、柱をうまく利用すれば轢かれずに攻撃する事も可能そうじゃないですか。ですが、相手の技が「轢き殺し」だけではないとなるとまた話は違ってきますからね。
ただ、トラックは時々いなくなったりするんで、その隙に密かに先に進めたり出来ないものなのかな、というのはちょっと気になりましたね。1フロア上がるのにだいたい一時間近くかけてるんですよね、この主人公は(劇中の時間で1時間です)。
それに、ある程度上がればケータイが使えるようになりますし、朝になればまた駐車場が開いて次々車が入ってくる事になるんで、どこかにずっと隠れて朝まで待っているという作戦も有効だったんじゃないんだろうか。

という疑問点も出てきますが、映画では定期的に「もしかしたらアイツが犯人なんじゃないだろうか」という回想シーンを挿入してきて、サスペンスを維持してきます。で、犯人かと思った人が次の展開で「やっぱり違った!」とかなったりするんですが。
で、最後の方まで引っ張って、ついに明らかになる犯人の正体!もちろん、「宇宙人の仕業だった!」なんて事にはならず、伏線のはられていた、きちんとした犯人が登場してくれます。ちなみに、犯人の動機が中々ユニークで面白かったですね。実際にはまず有り得ないと思えるような動機なんですが、その気持ちも分からないでもないとも思えました。