監督:エリック・カーソン
出演:チャック・ノリス(スコット・ジェームズ)
アート・ヒンドル(A.J.)
タダシ・ヤマシタ(セイクラ)
リー・ヴァン・クリーフ(マッカーン)
カレン・カールソン(ジャスティン)
キャロル・バグダサリアン(オーラ)
スコットの友人の殺し屋マッカーンもセイクラを追っていて、スコットにも協力してくれるように頼むが、セイクラと戦いたくないスコットはそれを拒否する。
だが、親友のAJが何故か一人でセイクラのアジトを潰しに向かったのを知ると、AJを助ける為に仕方なく後を追うのだった。
(感想)
「チャック・ノリスVS忍者!」この映画の全てはまさにこの一言に集約されてるといっても過言ではないでしょう。この言葉を聞いて何とも思わない人は、この映画は一生見ない方がいいです。ですが、この言葉を聞いて胸に熱いものが込み上げてくるという人は、是非とも見るべき映画です。
チャック演じる主人公のスコットは何故か登場人物達から、忍者組織のボスと戦ってくれるように頼まれたり望まれたりします。テロの片棒を担いでいる危険な組織で、本来なら民間人のスコットが関わらなきゃいけない事はないんですが。
さらに、スコットの友人AJは、なぜかこの組織を潰す事に情熱を燃やしています。しかも、こいつは別に強い男というわけでもない、まさにただの民間人です。
何で民間人が忍者と戦う事わ強いられるハメになってるかと言うと、「彼らがアクション映画の登場人物だから」と言う他ありません。忍者が敵として出てくる映画に出た以上、戦うのが宿命というものです。
スコットの友人の殺し屋、リー・バン・クリーフ演じるマッカーンが、戦いを渋るスコットへの説得に使った言葉のうちの一つに「俺では奴(セイクラ)に勝てない」というのは素敵でしたね。何てアクションなセリフなんでしょう(謎)。でも、殺し屋に勝つも負けるも無い気がするんですが。わざわざ正面から格闘で殺すつもりなのか。
殺し屋がこんな事を言ってるという時点で、この映画が「いかにヒーロー・チャックが忍者軍団と戦う事を決意するか」というのに重点が置かれているというのが分かりますね。それさえ描ければ、物語とか人物描写とかは適当でいい、そんな精神すら感じとる事ができます。
こういった、この映画のスピリット、本来なら「いかがなものだろうか」と思いがちなところですが、これは「チャック・ノリスVS忍者」の映画なんです。なので、こういう内容になってる事はむしろ必然であり当然と言うべきでしょう(意味不明な理論・笑)。
ただ、製作がもう数年後だったら「チャック・ノリスVS忍者」という題材をもっと面白く映画に出来たんじゃないかとは思いましたけどね。この映画、ストーリーがあまりに面白く無いですから(笑)。でも、この当時の娯楽アクション映画(それもB級)としては、これが精一杯だったんでしょう。昔のアクション映画は、今と比べて、見せ場の出し方とかがあまり上手くない映画が多いですからね。
ですが、クライマックスではついに重い腰を上げたチャックが忍者軍団の訓練場に殴り込みをかけてくれます。そしてここから始まる、まさにアクション映画ファンにとって至福のひと時(笑)。周囲から忍び寄ってくる忍者達をひたすらに殴り、回し蹴るチャック!もう、見てるだけでヨダレが出そうです。
さらに、先に進むと、アスレチック場みたいな、足場の不安定な場所でザコ忍者と戦ったり、闘技場みたいな場所で中ボスとの戦闘があったりします。
特に、この中ボス、実は劇中で一番強い敵です。これまでに、こいつが「いかに強い奴か」というのを見せるシーンが途中に入っていたため、映画を見てる我々にもこいつがとんでもなく強い奴だというのが分かってるんです。そんな状況で始まるチャックとの一騎打ち!いやぁ、素晴らしいですね。
映画のテンションはここが最高潮で、本来一番盛り上がるはずの、義兄のセイクラとの戦い(必殺の鎌ヌンチャクで襲ってくる。対するチャックは刀で応戦!)は、他の場所でのアクションシーンとの切れ切れ編集によって、迫力がちょっと落ちてしまってました。そこは残念でしたが、まあ、それまで美味しいシーンをたっぷり見せてもらったからヨシとしましょうか。