アウトランド
<OUTLAND>
81年 アメリカ映画 109分

監督・脚本:ピーター・ハイアムズ
編集:スチュアート・ベアード
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:ショーン・コネリー(オニール保安官)
   ピーター・ボイル(マーク・シェパード)
   フランシス・スターンハーゲン(ラザラス)
   ジェームズ・B・シッキング(モントーン)
   キカ・マークハム(キャロル)
   クラーク・ピーターズ(バラード)
   スティーブン・バーコフ(サガン)

(あらすじ)
木星の近くにある鉱山の惑星“イオ”。ここには巨大な採掘基地が作られ、多数の従業員が住み込みで働いている。ここの秩序維持の保安官が交替になり、新任のオニールがやってきた。
だが、着任早々、謎の自殺事件が相次いだ。状況が異常なことから調査をすると、原因が“麻薬”であった事が判明した。
それを追ううちに、オニールは自分の追っている相手が巨大である事に気付くのだった。今までの保安官は、相手の巨大さゆえ、麻薬事件を見て見ぬふりをしていたのだ。だが、オニールはこの事件に立ち向かう決心をするのだった。

(感想)
ショーン・コネリー主演のSFサスペンス・アクションです。監督&脚本が、『タイム・コップ』『レリック』のピーター・ハイアムズ、編集が『エグゼクティブ・デシジョン』で監督に挑戦したスチュアート・ベアード、音楽がジェリー・ゴールドスミスと、豪華な布陣です。

中盤までは割りとゆっくりしたペースで、保安官コネリーの調査シーンが展開されていきます。ですが、容疑者を追いかけるシーンでアクションが始まります。舞台は惑星にある採掘基地で、『エイリアン』の宇宙船内部みたいな感じの造りになっています。そんな、狭々しいところに従業員やら居住者やらがウロウロしている、とっても走りづらい場所なんですが、そんな所で犯人との白熱追いかけっこシーンが展開されるんです。これは、刑事アクションでいうところの、カーチェイスシーンに相当するんでしょうか。逃げる容疑者は、そこらじゅうの物を派手に吹っ飛ばしたり、通行人を突き飛ばしたりしながら疾走していきます。今までのスローペースな展開と打って変わった激しいチェイスシーンで、監督のアクション描写のうまさが感じられます。
そして、容疑者を調理場で追い詰め、ちょっとした格闘戦になるんですが、一瞬、ハイアムズ監督が後に撮る『サドンデス』の調理場での格闘シーンが思い浮かんでしまいました。まあ、同じなのは「調理場で戦ってる」という点だけではあるんですが。

最終的に話は、「巨大な敵に一人で立ち向かう勇気があるか?」という方向に行きます。この辺り、スタローンの『コップランド』を連想させる、とっても興味深い展開です。
当然、コネリーは元ボンドですから、戦う事を選択します。この辺の葛藤みたいなのは全然描かれないんですが、「不安」はかなりしっかり描いてきます。
でも終盤、黒幕を追い詰めるのが目的ではなく、黒幕が呼び寄せた暗殺者と戦うのが話の目的になります。この辺、なんでこんな展開になるのかよく分からなかったんですが、コネリー保安官には黒幕を逮捕する権限か証拠がこの時点では無かったんだろうか?そして、やってくる暗殺者を仕留めたら任務完了になるのは何故?
という謎を残しつつ、暗殺者が乗ったシャトルの到着が50時間後、40時間後、と経過していき、コネリー保安官も協力者を見つけようとしたり、戦いになりそうな場所に武器を隠しておいたり、冒頭で子供を連れて出て行った妻からテレビ電話で決意に水を差されたり(この手のアクションでありがちな展開)と色々します。
そしてついにシャトルが到着!一体、何人の敵が来たんだろうと思ったら、銃を持ったおっちゃんが二人だけでした(笑)。まあ、主演がヴァン・ダムとかじゃないんで、2人でも十分危険でしょう。
この、主人公が無敵のアクションスターじゃないという事で、終盤の対決シーンは緊張感が結構ありますね。コネリーもボンド映画を6作こなしていたりしますが、「アクション俳優」というわけではないですからね。
結局、意外な助っ人が現れて、二人で協力して敵を倒していくことになるんですが、敵の死に様が結構、グロ入ってます。ここの暗殺者に限らず、この映画で死ぬ人はみんな気持ち悪い死に方をしてくれます。ホラーじゃないので、はっきりとは映さないですが。
どういう死に方かと言うと、「宇宙服無しで外に放り出す」というものです。『トータル・リコール』で目玉を飛び出さんばかりのシュワを思い出していただければ、どんな感じか分かると思います。まあ、描写はあんなにしつこくなく、すぐに顔が膨張して破裂して終わりなんですけどね。

この映画、全体的にアクション、サスペンス、グロが割とバランスよくミックスされてる、といった印象でしたね。そして、「ショーン・コネリーが宇宙基地をショットガンを持って走り回ってる」という映像も珍しくて面白かったです。