監督:ブルース・マルムス
製作総指揮:ドルフ・ラングレン
出演:ドルフ・ラングレン(エリック・ブロガー)
デヴィッド・ソウル(ハインリッヒ・ミューラー)
レニー・コールマン(ジュリア・デイビス)
ロジャー・E・モズレイ(ジョン・クリース)
(感想)
中盤まではとっても素晴らしい映画なんですけどねえ・・・。
あらすじに書いたようなスポーツ物の映画で、セカンドチャンスに賭ける男の復活のドラマという感じの話なんですが、後半は元東ドイツの秘密警察の人達に襲われるというストーリーに変わっていきます。これだけでも何とも蛇足な感があるんですが、さらに、これがサスペンスストーリーとして演出されるわけではなく、アクション映画風の演出で描かれるんです。それも、ややヌルめのアクション演出ですよ。
ついでに、中盤までの「オリンピック編」での登場人物が全ておざなりにされて、悪役の方が前面に出てきてしまうんです。しかもコイツら、ネオナチ気取りのただのアホ。
さらに困った事に、今回のドルフは武道に秀でた刑事みたいな役柄ではなく、スポーツ選手です。そのせいか、格闘シーンの動きにキレが全然無いです。ハイキックどころか、普通のケンカパンチ、ケンカキックぐらいしか使わないんです。こんなんじゃ、アクションシーンも全然盛り上がりません。
ついでに、音楽が全体的にショボめだったりもします。とどめに、ラストも意味不明で、「あれ、ここで終わりなの?」って感じです。
そんなわけで、トータルで見ると、ちょっと「うーん・・・」な出来なんですが、中盤までのドラマは個人的に好きな題材なせいか、とても面白いんですよね。ドルフの役柄が「オリンピック選手」ってのも新鮮味があっていいです。
せっかく、原題が『ペンタスロン』という競技の名前なんですから、この競技をメインにしたスポーツ物映画で最後まで行って欲しかったですねぇ。ドルフはアクションを期待されるアクション俳優ですけど、たまには格闘や銃撃ではなく、スポーツをやらせてみてもいいではないですか。スポーツもアクションと言えばアクションですしね。
と言う訳で、個人的には「何とも惜しい映画」という印象ですね。前半のストーリーが良かっただけに尚更ガッカリ感が激しいです。
ところで、最初の方のソウルオリンピックのシーンで、控え室みたいなところでドルフが仲間の選手にボクシングの動きでちょっかいを出すみたいなシーンがあって、「ボクシングもいいもんだな」みたいなセリフが出てきます。ちょっとした『ロッキー4』へのオマージュだったりするんでしょうかね。