監督:スチュアート・オルム
原作:ロバート・A・ハインライン
出演:エリック・タール(サム・ニーベンス)
ドナルド・サザーランド(アンドリュー・ニーベンス)
ジュリー・ワーナー(マリー・サフトン)
ウィル・パットン(グレーブス)
キース・デイビット(アレックス・ホーランド)
(感想)
エイリアンの侵略物の映画です。人間が乗っ取られる!というのは、『ボディ・スナッチャー』を思い出させる設定ですね。リメイク作の『SFボディ・スナッチャー』に出ていたドナルド・サザーランドがこの映画に出ているのも偶然ではないのかもしれません。
また、『ボディ・スナッチャー』の他にも、エイリアンの造形の不気味さなんかが『ヒドゥン』を思わせます。この辺を「パクリ」ととってしまうと、少々ツラい映画になってしまうので、見るときはそこそこの広い心を持って臨みましょう(笑)。
映画の作りはアクション映画風になっていて、エリック・タール演じる主人公のサムのキャラクターがほとんどアクション・ヒーローのそれです。髪型も『ブロークン・アロー』のクリスチャン・スレーターみたいです。生え際も似てるんで、今頃は「生え際後退」に苦労してるかもしれません。
また、主人公が町人ではなく、事態に対処しなければならない立場の政府の役人という点は、よくある侵略物映画とは異なる点ですね。侵略物というよりも、『アウトブレイク』みたいなパニック映画みたいで、事件の規模の大きさも感じられて、面白いです。序盤の方には、大統領がエイリアンに乗っ取られたエージェントに暗殺されかかるなんてシーンも出てきます。
ただ、映画が進むにつれて、思ったよりもテンションが上がっていかないという難点はありますが。この手の映画では出来ればカットしてほしい、ロマンスの要素が中盤で出てきてしまうのも痛い。これで映画の流れが止まってしまいますからね。
このエイリアンは、どんどん増殖して凄い数になっていくんですが、本体は一つということらしいです。その本体がいる所に終盤、潜入していく事になるんですが、そこで操られた町人の襲撃を受けます。この、「襲ってくる町人」の姿は、『ザ・クレイジーズ』を思い出してしまいました。『ザ・クレイジーズ』を見てる時、「もし、この映画の主人公がアクション・ヒーロータイプだったら、どんな映画になったんだろう」というのを思った事があったので、まさにその通りな展開を見せたこの終盤のシーンは興味深かったです。
ただ、操られているとはいえ、元は善良な市民だった人々をあっさり撃ち殺していくのはちょっとどうだろうとは思いましたが(笑)。まあ、主人公は政府の役人ですからね。アメリカを守る為には多少の犠牲はやむなしという考えを持っているのでしょう。
ただ、乗っ取られた人も、取り付いてるエイリアンをうまく剥がせれば元に戻るという設定だけに(主人公のサム自身、序盤で乗っ取られてしまう)、少々、心苦しいものがありますね。