レッド・オクトーバーを追え!
<THE HUNT FOR RED OCTOBER>
90年 アメリカ映画 135分

監督:ジョン・マクティアナン
原作:トム・クランシー
撮影:ヤン・デ・ボン
音楽:ベイジル・ポールドゥリス
出演:アレック・ボールドウィン(ジャック・ライアン)
   ショーン・コネリー(マルコ・ラミウス艦長)
   スコット・グレン(バート・マンキューソ艦長)
   サム・ニール(ヴァシリー・ボロディン副艦長)
   ジェームズ・アール・ジョーンズ(ジェームズ・グリーア提督)
   コートニー・B・ヴァンス(ジョーンズ水兵)
   ティム・カリー(ペドロフ軍医)
   ステラン・スカルスガルド(ツポレフ艦長)
   リチャード・ジョーダン(ジェフリー・ペルト国家安全保障局補佐官)
   ジョス・アックランド(アンドレイ・ルイセンコ大使)
   トマス・アラナ(コック)
   ゲイツ・マクファーデン(キャロライン・ライアン)
   ジェフリー・ジョーンズ(スキップ・タイラー)
   ピーター・ファース(イヴァン・プーチン行政官)

(あらすじ)
ソ連の新型潜水艦レッド・オクトーバーは、最新の航行システムにより、ほぼ無音で進む事の出来るクールな艦だ。
だが、そのレッド・オクトーバーの艦長となったラミウスは、この最新鋭の戦艦を手土産に、アメリカに亡命しようと企んでいた。この事を知っている乗員は副艦長他、士官クラスだけだった。他の乗員にこの事が知れたら反乱が起きてしまうかもしれない。いったい、ラミレスはどうやって亡命するつもりなのだろうか!?

一方、ラミウスの亡命に気付いたソ連側は、「艦をアメリカに獲られるぐらいなら撃沈してしまおう」「裏切り者のラミウスを海の藻屑にしてしまおう」という事で、レッド・オクトーバーに向けて大艦隊を出撃させる。
この事態にアメリカ側は「ソ連の侵攻だ!」と驚くが、CIAの異才ジャック・ライアンが本当の事情をズバリ推理する。

一方、アメリカの潜水艦ダラスは、有能な水兵とイカした艦長のおかげで、付近を通過した無音航行中のレッド・オクトーバーの位置を見事割り出す事に成功。密かにレッド・オクトーバーを尾行するのだった。
そして、ライアンはラミウスの意向を確認し、無駄な争いを避ける為にレッド・オクトーバーに乗り込む事を決意。レッド・オクトーバーに最も近い位置にいる潜水艦ダラスに飛び乗るのだった。

(感想)
ジャック・ライアンシリーズの記念すべき第一弾です。主人公が一緒なのに、シリーズ全て原題も邦題も違うというのは珍しいですね。ついでに言うと、ライアンを演じる役者が次々変わっていくというのも珍しいです(まあ、3作目以降、新作が出る毎にどんどん昔の話になっていくせいなんですが)。
後に、ハリソン・フォード、ベン・アフレックといったスター俳優が務める事となるライアン役ですが、この第一作目ではアレック・ボールドウィンという、また地味な配役でした。ですが、原作のイメージからすると、この3人の中では一番合ってるらしいですね(私は未読なので分からないですが)。
ハリソン・ライアンは頭脳派より行動派の面が大きかったような印象がありましたが、このアレック・ライアンは完全な頭脳派という印象ですね(ベン・ライアンはどっちともとれないような印象が・・・笑)。
相手の行動を見事に読んでいく様は、まるで探偵か刑事が事件を推理してる姿みたいです。また、ヘリから潜水艦に飛び降りたり(正確には潜水艦の側の海面に)、敵と銃撃し合ったりといったアクションな場面もあるんですが、頭脳を使ってるシーンと比べて、見てて何とも頼りないです。でも、そこがこのキャラクターの魅力なんですよね。これで肉体を使うシーンに頼もしさがあったら、単なる「アメリカ版ボンド」ですからね。

さて、そんなアレック・ライアンですが、「ジャック・ライアンシリーズ第一弾」なのに、クレジットのトップがアレックではありません。では、代わりに誰がトップなのかと言うと、あの超大物、ザ・コネリーです。こんなビッグなのがいるのでは、いくら主役といえど、クレジットのトップは取れません。
ただ、映画自体も、「ラミウスとライアン、どっちが主役なんだろう?」という感じで、このラミウス艦長自体、コネリーが演じてる以前に、かなりデカくて重要な役ではあるんですよね。

ストーリーは、亡命計画を企てるラミウスに、それを阻止しようとするソ連。そして、それに翻弄されるアメリカ。という図式なんですが、冒頭からラミウスが中心に描かれているので、見てる側としても何とか亡命が成功して欲しいと思ってしまいます。
そして、その亡命の際、こちらの事情を分かってくれる、話の分かるアメリカ人の存在が必要となってくるんです。そこで登場するのが、我らがジャック・ライアンというわけです。まさに「ヒーロー登場!」といった感じですね。
ラミウスの方には、艦内に、艦長に対する不審の感情が湧き出してきたり、破壊工作員が紛れている事が判明したりといった事があり、ライアンの方も、「ラミウスが亡命しようとしている」という説がお偉方に信じてもらえなかったりといった問題事があります。
『トータル・フィアーズ』みたいに、「失敗したら間違いなく戦争勃発」ほどの背景は無いものの、これはこれで、中々の緊迫感を持ったドラマ展開となってましたね。

また、潜水艦映画のお約束、「敵の魚雷をどうにかする」というアクションシーンも登場し、映画を盛り上げてくれます。ここは、アクションシーンと言うより、サスペンス的な緊張感のあるシーンでしたね。