ロードレージ
<ROAD RAGE>
01年 アメリカ映画 96分

監督:シドニー・J・フューリー
出演:キャスパー・ヴァン・ディーン(ジム)
   ダニエル・ブレット(ソニア)
   ジョセフ・グリフィン(ボー)

(あらすじ)
ある大学のキャンバスでの事。ソニアは、恋人のボーが自分の女友達と一緒にいた事を詰め寄っていた。だが、逆ギレしたボーはソニアを突き飛ばし始めたのだ。それを助けたのは、黒のスーツ、黒のリムジンを持った若者、ジムだった。
ジムに家まで送ってもらう事となったソニア。話していくうちに、ジムが同じ大学の学生で、リムジンはバイト先のリムジン会社で借りたものだという事が分かった。

ハイウェイを走るジムのリムジンは、強引な割り込みをしたせいで、あるトラックをスピンさせてしまった。すると、そのトラックが後から追いかけて来だしたのだった。

(感想)
謎のトラックに追いかけられる男女を描いたスリラー。そう、あのキャスパー・ヴァン・ディーンが『激突』に挑戦した意欲作が、この『ロードレージ』なのです!

ですが、スリラーやサスペンス面に関する面白さはこの映画にはほとんどありません。敵の正体も中盤ぐらいで割れますしね。それよりもカーアクション方面に力を入れた映画なので、『激突』風の面白さを期待するとガッカリするハメとなります。まあでも、主演がキャスパー・ヴァンですからね。これでアクション面に力が入ってなかったら、それこそガッカリてなものですよ。
ですがこの映画、ストーリー面、と言うか、登場人物のキャラ造形の面で結構な破壊力の爆弾を抱えてる内容でして。数少ない登場人物が、揃いも揃って魅力の無い連中ばっかりなんですよね。
主人公の二人も、例えるなら、『13日の金曜日』みたいな感じの若者が殺人鬼に殺されまくるタイプの映画で、間違いなく最後まで生き残らない、中盤辺りまでで確実に死ぬようなタイプのカップルというキャラクターです。そんな二人が映画の90分強の時間中、ずっと出てるんだからたまらないです。主演がキャスパー・ヴァン・ディーンなのに!?と思うかもしれませんが、ここまで彼を格好悪く見せられるほどの凄い脚本なのです。
で、この二人の会話のつまらない事。例えるなら、本来ならジェイソンなりなんなりにとっとと殺されて、最後まで聞かなくて済むような戯れ言を、映画の90分強の時間中、延々聞かされるんですよね。
そして、キャスパーの相手役、ソニアを演じる女優が微妙なブサイクというのもかなり痛いところです。そのくせアップで映る事が多いという。吹き替え版だと声もとってもうるさくて嫌になってきます(ちなみに、キャスパーの声も少々情けない声になってて、違和感有りです)。

と、少々苦行めいた要素のある映画ですが、肝心要のカーチェイスのシーンがかなりいい出来なのは不幸中の幸いでした。
序盤の、ハイウェイでのカーチェイスシーンでは早速、パトカーが意味も無く宙を舞い、事件と無関係な一般人の車が回転しながら天高く舞い上がる様をスローモーションで見せるという爆笑シーンが出て来たりします。
そして、中盤からラストまでは延々カーチェイスが続き、映画が終わる頃には車酔いしそうなぐらいのボリュームです。それも、場所をちょくちょく変えつつ、見事なカースタントテクニックも見せつつという、いい感じのチェイスシーンになっていました。もちろん、このカーチェイスの間も、魅力の無い主人公の二人は、ウィットにとんでないジョークを言ったりするなどし、見てる人をゲンナリさせる事を忘れていませんでした(忘れてくれ)。