ラッシュアワー2
<RUSH HOUR 2>
01年 アメリカ映画 90分

監督:ブレット・ラトナー
音楽:ラロ・シフリン
出演:ジャッキー・チェン(リー)
   クリス・タッカー(カーター)
   チャン・ツィー(フー・リ)
   ロゼリン・サンチェス(イザベラ・モリーナ)
   ジョン・ローン(リッキー・タン)
   アラン・キング(スティーブン・レイン)
   ドン・チードル(ケニー)

(あらすじ)
香港に帰ってきたリーは、休暇をとって付いてきたカーターに香港の観光案内をしていた。だがその途中、リーに極秘捜査の任務が入ってしまう。アメリカ大使館で爆破事件が起こり、それには香港マフィアの大物、リッキー・タンが関与しているらしいのだ。
リーは、この事をカーターには内緒にし、観光案内と偽って、繁華街のリッキー・タンがいると思われる所に連れまわす。
が、結局カーターに騒ぎを起こされ、極秘捜査はおじゃん。さらに、警察署を爆破されたり、全裸でハイウェイにおっぽり出されたりと大変な目に遭うのだった。

(感想)
刑事コンビアクションコメディの傑作『ラッシュアワー』待望の第二弾です。
ジャッキーとクリス・タッカーのコンビの面白さは前作同様。今回はさらにジャキーのカンフーシーンが大幅に増やされました。その代わり、ストーリーは前作よりいい加減になったような(笑)。
前作は、誘拐事件の捜査を軸に笑いのシーンを詰めていった感じがありましたが、今回は二人がアクションやらボケやらをやってたら勝手に物語が進んでいるみたいな感じです。きっと、前作で二人のスクリーン上での相性の良さは充分分かったので、今回はストーリーよりも二人の絡みのシーンをメインにしてみたんでしょう。

で、相変わらずこの二人の絡みはほんと見てて面白いです。ジャッキーのアクション技術とクリス・タッカーのコメディ話術のあまりの見事な融合具合はほんと素晴らしい。
お互いの役割がしっかりしているんですが、二人がただ、自分の持ち味を「出してるだけ」で終わってないんです。この辺は監督の上手さなんでしょうね。お互い、自分の仕事をキッチリやれば、あとは監督が「見事なアクション・コメディ」として組み立ててくれるというわけです。
例えば、クリス・タッカーメインのギャグシーンでは、ジャッキーが半ばクリス・タッカーの暴走に巻き込まれる形でギャグシーンに参加していたり、アクションシーンでは逆に、ジャッキーのアクションにクリス・タッカーが巻き込まれるように参加してるんですよね。この辺から、二人の技術が「完全融合している!」と感じられるんでしょうね。
そして、クリス・タッカーの暴走を見て困ったり呆れたりと様々なリアクションを見せるジャッキーがまた面白いんですよね。そもそも、ジャッキーはただのアクション俳優ではなくて、アクション・コメディアンでもあるんですからね。
クリス・タッカー専用と思われてた「エロネタ」にジャッキーが絡んでくるあたりも面白いです(真面目な刑事という役柄だけに)。何故か下着姿になる囮捜査官のイザベラの姿を望遠鏡で覗いていたカーターが「スヌーピーの刺青がある」と言うと、リーが「スヌーピー大好きなんだ」と言って双眼鏡を奪おうとする辺りはもう大爆笑でしたね。セリフや状況がどうこう言う以前に、ジャッキーが「オー!アイ・ラブ・スヌーピー」とか言ってる姿がもうおかしくてたまらないです(笑)。

アクションシーンにおいても、物語のテンポを壊さないギリギリの線の量のカンフーが散りばめられ、さらにジャッキーならではな「見た事も無いアクション」が所々で顔を出します。特に、船に潜入する際に、足に発泡スチロールの箱をはめて海を渡って行く方法なんて誰が考えたんでしょう(多分、ジャッキーなんでしょう・笑)。
ジャッキーのアクション単体でみたら、確かに香港時代のものと比べたらほんのオマケ程度なものかもしれませんが、この映画がコンビ物のアクション・コメディだというのを考えると、無駄の無い量だと思います。それに、質は決して低くないですからね。ただのカンフーシーンではなく、このカンフーアクションシーン自体にも、色々とコメディ要素が入っていたりと、見てて興奮するだけでなく、笑う事も出来るんです。
もちろん、これはこれまでのジャッキー映画にも見られた事ですが、「動きで笑わせる」と言うより、合間にクリス・タッカーのシーンを挟むなどして「演出で笑わせる」という感じがあるんですよね。
一つ不満なのは、クライマックスに派手なアクションシーンが用意されてなかった事でしょうかね。何しろ、敵の武闘派幹部であるところのチャン・ツィーとやり合うのがクリス・タッカーの方でしたからね。ジャッキーは敵の大ボスであるジョン・ローンと対峙する事になるんですが、この人はカンフー使いじゃないですからね(笑)。