エイリアン・ビギンズ
<THE SALENA INCIDENT>
05年 アメリカ映画 87分

監督・製作・脚本:ダスティン・リカート
製作・脚本:スーン・ヒー・ニューボールド
出演:ダニエル・サウスワース(ジョン・ブラッドリー大尉)
   エイベリー・クラウド(ドクター・タイラー・ケイシー)
   サム・マッコンキー(ケビン・ポーター)
   ジェームズ・リカ(プランド・エンジオ)
   タンク(カルバーン・ウェイロン)
   ポーリーノ・ハマー(アラノ・マルティネス)

(あらすじ)
アリゾナ州のハイウェイを走行中の護送車から囚人が逃走した。
乗っていた護送官と女医を人質に、仲間との合流地点である近くの町まで移動するが、着いてみたらその町は無人のゴーストタウンとなっていた。

隙を見て逃げ出した護送官達は、ある建物の中に隠れるが、まんまと見つかってしまう。だがその時、囚人の一人が謎の存在に襲われるのだった。さらに数人の犠牲を出しつつ、部屋に立て篭もる生存者達。そこに、ブラッドリーと名乗る海兵隊員が飛び込んできた。彼は、この地に墜落した宇宙船から出てきたエイリアンの掃討の任務についていたのだが、仲間の隊員は全員エイリアンにやられてしまっていたのだ。そう、謎の存在とはエイリアンの事だったのだ!

ブラッドリーの案内で、町の地下に張り巡らされている地下通路を通り、脱出を図ろうとする生存者達。果たして、凶暴なエイリアンから逃れる事が出来るのか!?

(感想)
凶悪・凶暴なエイリアンを相手に、囚人・護送官・軍人・女の連合チームがサバイバルを繰り広げるSFアクション・ホラーです。
ですが、ただのアクション・ホラーではありません。ヌルいアクション・ホラーです(笑)。まあ、何しろ『エイリアン・ビギンズ』なんてタイトルの映画ですからね。その内容は推して知るべしですよ。

そんな映画ですが、私は結構楽しめましたね。まず、内容がいいじゃないですか。脱獄囚と人質の護送官というクライムな雰囲気の連中が凶悪なエイリアンの攻撃に晒される、というのは、ちょっと『要塞警察』みたいな雰囲気もありますしね。ただ、囚人側の頼もしそうな連中が早々に死ぬんで、「手を組んで乗り切る」みたいな感じにはならないんですけどね。まあ、代わりに軍人が飛び入り参戦してくれるからいいでしょう。とりあえず、戦える奴が増えるのはいいことです。アクションシーンが増えるという結果に繋がりますからね。
ちなみに、エイリアン側の方も、実は、護送中に逃げ出したか何かした、「凶悪犯エイリアン」である事も後に判明します。これで、「護送官エイリアン」も出てきたら面白かったんですが、そういう複雑な展開にはなりませんでした。
そして、私がこの映画で一番良かったと思った点は、どことなく古臭い感じが漂ってた所ですね。最近のこの手の映画に出て来るエイリアンなりモンスターなりは、安いCGで描くのがトレンドです。そこを敢えて、着ぐるみで勝負してるんですよ。しかも、その出来もあんまり良く無いものらしく、ほとんど画面に映してこないんですよね。
この「エイリアンが着ぐるみ」という辺りには、80年代後半から90年代前半辺りに作られた“この手の映画”な雰囲気があって、何だか懐かしい感じがしたものでした。

あと、登場人物の色分けも分かりやすくて良かったですね。見るからにナイスガイな奴がいたと思えば、見るからに嫌な奴もいて、頭のいい女がいて。そして見事に、嫌な奴と頭の悪い女だけが死んでいくという展開。そうそう、差別の目で見られてる黒人の囚人と、差別していた白人の囚人が最後に分かり合うという、清々しいまでに分かり易いドラマも入ってましたね。
分かり易いと言えば、敵エイリアンの特徴が「ほぼ無敵」という説明が出てきたのには笑いましたね。何だ、このアバウトさ(笑)。